美術史家の源豊宗は、「日本美の特質は秋草にある」と
述べている。桔梗・尾花・稲穂・ススキ・萩・女郎花
などを、染織、陶器、蒔絵などに、草書のような曲線で
日用品の中に結晶化させてきた。それは雄大で厳格な
力の美からは遠い、つつましくゆったりとした感情移入
であると。それは日本人の先天的体質だと言う。
水や風の流れを象徴する曲線のイメージは、土器や
銅鐸の「流水紋」や「風紋」にも見られる。
「枯れゆくものではなく、照り返しのようににじんだ
明度は、過行くもの、移ろってゆくものへの哀感を
込めた優美だ。優美が結晶化すると、装飾性になる。
工芸品は優美の結晶化を、執拗に追い求めた」
優美で繊細な曲線は、良寛の書を想起させる。
私もそろそろ、ひらがなを練習しようかと思っている
今日このごろである。
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