歴史観 | 歴史エッセイ集「今昔玉手箱」

歴史エッセイ集「今昔玉手箱」

本格的歴史エンターテイメント・エッセイ集。深くて渋い歴史的エピソード満載!! 意外性のショットガン!!

私の手元にある教科書「世界史(山川出版社)」
東大名誉教授/村上堅太郎・江上波夫・山本達郎
東大学長/林健太郎 共著の第1章・先史の世界

「概観/人類は文化を持った生物である。しかしその
文化ははじめはきわめて単純・幼稚なものであった。
それが長い年月を経過する間に、複雑・高級なものに
進展して現在に至った。その間に生物としての人類
全体も進化してきたのである。」

 ここでは2つの事が語られている。1つは未進化で
単純・幼稚な「過去」があり、進化した「現在」が
あるという「直線的時間概念」・・・これは始めに
世界の創造(始まり)があり、中間があり、終末がある
とする「聖書的」時間概念であり、それに基づく世界
認識である事を示している。ここで「聖書」と言った
のは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教に共通する
からである。ちなみに東洋では、二重螺旋的円運動の
曼荼羅宇宙観や四季の循環(めぐり)などの「円運動」
の時間概念が一般的である。日本人にとって、明治
以降に混入された一神教的時間概念は、本来異質な
ものなのである。
 
 もう1つは文化についてである。
文化的要素として「家屋・土器・織物・持続性のある
定住社会経済生活」を挙げ、長い狩猟・採集の放浪生活
から「解放」されたと定義している。このように、原始
時代から「物や土地を所有」することによって進化して
きたとする歴史観を、「物質的進歩史観」という。物や
土地を所有する事こそが善であり、豊かさの証明だと
する信仰の根拠になった、「近代」の歴史観と言える。


 しかし残念ながら、歴史は直線的で単純なものではない。
暗愚なキリスト教徒によって科学的学問の進展が長時間
停滞したり、旧石器時代が未進化ではない事がだんだんと
明らかになってきたりと、行きつ戻りつしているのである。
さらにこの「物質的進歩史観」では、縄文の豊かさを語れ
ない。アボリジニやアイヌの超自然的能力に価値を与える
事は出来ない。近代の価値が根底から揺らいでいる理由は
ここにある。


 革命によって情報・教育の方針を変更出来る権利を得た
支配者は、初期設定を書き換える。考え方や行動を入力操作
された親や教師は、子供を「正しく」導く為にその情報を
伝えてゆく。これを「餌付けされた心(コンディションド・
マインド)」と言う。悲しい事に、真面目で素直、
成績優秀な良い子に限って、何の疑問も持たず従順に
従うのである。
私ですか? ははははは┌(・。・)┘└(・。・)┐┌(・。・)┘


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