大病を得て、ご実家に帰られたお母様を持つ少年がいました。
我が子と離れてどれほどお辛いか、そして礼儀正しく立派に育った少年がもう少し大きくなって、幼くして訣れたお母様に自ら逢いに行けますようにと願いましたが、新たな女主人を得たご一家は引っ越しされ、私の心にはお会いしたことのないお母様と、美しい瞳をした少年の面影だけが残りました。
あれから十数年、新たに得た友人のお嬢様は少年のお母様と似た境遇でいらっしゃいます。お嬢様が介助の方々とクリスマスの聖歌を聴きに来てくださったとき、扉のすぐ外のいらっしゃるところまで届くようにと願いつつ、これほど祈りをこめて歌ったのは初めてです。祝福された時間でした。
その夜、友からお嬢様が聖歌の祈り、美しさの中にいらしたことを教えていただき、私の中から十数年前の気がかりが消えていきました。
自らの願いのとおりにならない時も、私たちは主において喜び生きることができるのを教わった待降節、クリスマスに先駆けた喜びの日でした。
「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。
（マタイによる福音書1: 23）
メリークリスマス
主のご降誕を祝います。