④バブル崩壊という茶番劇はまだ続いている

 

 バブルは自民党政府が故意に発生させ、故意にハードランディングさせたものです。

 自民党政府が総量規制を開始し、間接金融が停止された1990年がバブル崩壊が開始されたときです。そして、202年の現在、いまだに間接金融は実質的に停止されたままであり、すなわち、バブルは崩壊状態のままです。

 2024の現在、現状は、自民党政府が敷いた「バブル崩壊」体制であり、すなわち、いまだに続くバブル崩壊の結果とされているデフレ状態は、自民党体制であるということが出来ます。

 日本のバブルを総括する上で、肝に銘じておくべきは、日本のバブルは政府の計略によって起こされたものであるということです。

 国家は強力な生殺与奪権を持ち、国民経済は嫌が応でも政府の強力な生殺与奪権にって導かれます。民間の経済活動に行き過ぎがあると言うならば、それは政府がそのように誘導したというに外ならないのです。

 「バブル」について言えば、民間が政府政策を跳ね返して、東京都の地価でアメリカ全土の土地が買えるといった、あのような巨大なバブルなど起こせるはずがありません。

 普通の企業や国民だけでなく、金融機関も事業的失敗は怖いのであって、自らの思惑だけで野放図に融資を続けたりはしません。政府と日銀の後押しがあったから、金融機関は安心して融資を拡大して行ったのです。

 当時、政府は、一方で、国土利用計画法などにより土地取引を規制するふりをしていたこともありましたが、他方において、日銀は、まさに、バブルを起こす目的をもって確信的に大規模な金融緩和を行っていました。

 さらに重要なことは、政府によるバブルのつぶし方に最も重大な意図があったということです。

 バブルがどのような理由で起こったとしても、政府は財政政策と金融政策で迎え撃つことになりますが、どのようなバブルであるにせよ、「バブルのつぶし方」で、後世にどんなバブルであったか、そもそもバブルであったかどうかが後付けで評価されることになります。

 もちろん、無能な政府か、あるいは、国会が混乱し通貨発行が妨害された政局によって、金融機関のデフォルトを放置しておけば、投資家の心理の不安定化が始まり、どこかで資産価格の下落が起こり、金融機関はおろおろして債権を回収しようと躍起になり、そうした金融機関の行動によって企業や個人デフォルトが拡大し、それによって、全ての金融機関が、どのような投資も回収できないのではないかと思い始め、土地資産に対する融資を止めたならば、「バブル崩壊」のような状態になるといったストーリーはあり得ます。

 しかし、そういう局面においては、政局を収拾し、そうならないように、財政政策と金融政策を駆使して、ソフトランディングさせる役割が政府にあります。そこにこそ、政府の腕の見せ所があるというものです。

 ところが、あろうことか、日本においては、政府が、政局を完全に掌握していたにも関わらず、率先してハードランディングさせてしまいました。それは露骨で、目に余るほどのものでした。

 政府は1990年に不動産担保融資の総量規制を行い、1993年にBIS規制を導入し、さらに、1994年に固定資産税の重税化を行い、日銀は土地価格が暴落しているにも関わらず、金融引き締めを継続し、これでもかと、政府は鉄拳をもってバブルをハードランディングさせたのです。

 竹中平蔵氏は赤字を抱えた企業をゾンビ企業と呼び、ゾンビ企業を生きながらえさせるのは間違いであり、全ての赤字企業をつぶすべきだと言っていましたので、地価の下落を推進し、故意に不良債権を拡大し、むしろ確信的に、中小企業つぶしを行ったものと思われます。

 中国などが現在不動産バブルだと思われているのは、他の産業部門や所得が低迷している中で、不動産市場だけが活況を呈し、「いずれ不動産の値崩れが起こり、債務不履行が続発するだろう」と漠然と予想されているからにすぎません。他の産業部門や所得も共に伸びていれば、値崩れは起こらず、これはバブルではなく実力だということになるでしょう。

 中国経済は実力と思われていないにも関わらず、さらに、あれほどデタラメな開発、あれほどデタラメな汚職が横行しているにも関わらず、中国政府は非常に優秀であるために、バブルは崩壊していません。

 中国経済を眺めていると、中国は、バブルがはじけるのを回避するため、いざとなったら、金融機関へ公的資金を注入し、債務者に対しては返済猶予を行い、間接金融を停止させることなく、全体的にはさらなるインフレ継続への道を選ぶものと思われます。というか、現に、そうしています。

 そして、全体の物価や人件費がバブルと呼ばれている不動産価格と整合するまで気長に何年でも待てば良いのです。中国は共産党一党独裁ですから、愚かな財政均衡派の非難を受けることもありません。

 中国は、また、当然ながら、一方で、不良債権の拡大を防ぐために、不動産価格が急激に下がることを防止するものと思われます。日本のように、不動産市場をつぶす事態は起こらず、せいぜい低迷という情況で推移するだけでしよう。

 そのときに不動産が売れなくても全く問題はありません。政府が金融機関に対して、産業部門に返済を要求させないように指導すれば良いだけだからです。むしろ、もっと融資させ続ければ好景気は持続します。

 中国政府も通貨発行権を持っていますから、政府がデフォルトすることはあり得ず、心配されるのはインフレだけです。

 もし、中国共産党が潰れるとすれば、バブルのハードランディングが原因ではなく、つまり、間接金融の停止ではなく、インフレに比べて、賃金の上昇が遅れ、投資家の富裕化に対して国民の貧困化が限界点を超えたときに、他の何かをきっかけに起こるものと思われます。

 そのきっかけは、日本国首相の公然たる靖国参拝かも知れませんし、尖閣における中国軍の敗北かも知れません。

 バブルに関する一般論としても、バブル崩壊は企業や個人のデフォルト(債務不履行)の連続という意味で捉えられていますが、それに関わらず、政府が返済を急がせず、間接金融が停止してしまう事態を回避するようコントロールして行けば、バブル崩壊という事態にはなりません。

 その後、徐々に金融引き締めを行い、国民への言い訳のために一つか二つの大手不動産会社をつぶすくらいにとどめ、全体的な倒産の広がりを抑えながら、ソフトランディングさせて行けば良いのです。

 現在の中国政府のやっていることは、正にそのことです。

 バブル崩壊の定義は、資産価格の暴落による不良債権の続出ではなく、そのことを口実とした政府の意志による「間接金融の停止」です。

 「間接金融の停止」が起これば、中小企業の投資活動において地獄のような停滞が始まります。

 「直接金融」が大企業(上場企業)という選ばれた者にしか使えない資金調達手段であるのに対して、「間接金融」は中小企業の頼みの綱だからです。

 それだけでなく、大企業としても「直接金融」だけでは不十分な資金調達分を「間接金融」に頼ることもあります。つまり、「間接金融」は「直接金融」をしばしば補佐して来たし、また、競合もして来たということです。

 しかし、多くの国際投資家たちは、自分たちの資本だけで、つまり「直接金融」だけで、生産活動を支配したいと思っており、自分たちの資本の希少性からもたらされる利益を最大にしようとします。

 そのため、投資家たちは、「間接金融」が投資家より良い条件で融資することを嫌がります。

 金本位制から脱した管理通貨制度においては、政府は無限に貨幣発行が出来るようになり、それを受けて、「間接金融」が資金供給の主役になることが自然の流れだったのですが、投資家は、無限の貨幣発行を止めさせるために、財政政策においては政府財政の均衡主義を政治家に刷り込み、金融政策においては、地価下落政策やBIS規制をもって、制度的に間接金融を停止させたのです。

 国際資本家たちは自民党を手先にして、日本のバブル崩壊を演出・興行しています。それはまだ続いています。

 そして、経団連や国際資本家たちへの追従に熱心な自民党政府が、デフレ経済体制を現在に至るもなお日本の経済体制としているのです。

 


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