マツタケ絡みの奇譚、マスコミは慎重に…。 | 零細企業の闘魂日記

【不可能とされた「マツタケ人工栽培」、韓国が世界で初めて成功】
http://japanese.joins.com/article/507/233507.html
『これまで不可能とされていたマツタケの人工栽培に韓国が世界で初めて成功し、マツタケ商業栽培の可能性を開いた。』
 
『山林庁国立山林科学院は16日、マツタケ人工栽培技術開発のために2001~2004年に植えたマツタケ菌を感染させた松の苗木から3本のマツタケが生えたのを確認したと明らかにした。』
 
『人工マツタケは2010年10月に同じ試験地で1本生えたことがあり、今回はそれに続く2度目の成功だ。不可能だとされてきたマツタケの人工栽培が可能であることを世界で初めて立証した結果と評価される。』
 
『韓国山林庁が使った技術はマツタケが生えた所に松の苗木を植えてマツタケの菌糸を感染させた後に広げる技術だ。こうして菌糸に感染した松の苗木をマツタケが生えない大きな松がある山に再び移植する。』
 
『世界のさまざまな国でマツタケの人工栽培研究をしているがまだ成功した事例はない。これまでマツタケ人工栽培成功に最も近づいたのは日本で、1983年に広島林業試験場でマツタケ感染苗を利用し、1本のマツタケが生えたのがすべてだ。その後日本では同じ方法で1万本ほど感染苗を作ったが成功できなかった。』
 
この方法は〈感染苗木法〉と呼ばれるもののひとつである。

 
林地での栽培は、2006年、山形県の民間研究者と山形大学の教授が成功したと報じられたが、私は「眉唾もの」と見ている。
 
以下に少しだけマツタケについて説明する。
 
マツタケは菌根菌という性質のキノコで、シイタケなどのように自分でセルロースを分解する能力が欠け、松などの根と互いに栄養の受け渡しをして増殖する。
 
松などの木も何かの菌類と菌根を形成して成長するわけだが、その際、マツタケの菌糸が真っ先に菌根をつくっている必要がある。つまり、腐葉土のように多くの菌を含んだ土地だとマツタケは負けてしまう。痩せた砂のような土地のほうが良いし、松林は手入れがほどよく入っていることが肝要。
 
深山ではなく里山にマツタケが発生しやすいのはそのような理由からである。
 
そこで、考えられることは…
 
1.もともとマツタケが生えていた松林を整備してマツタケが発生しやすい環境をつくる。

 

2.マツタケ菌糸が繁殖しているところに松の幼苗を植える。
 
3.上記2の反対で松の幼苗にマツタケ菌糸を感染させたあと、その感染苗を林地に植林する。

 

4.マツタケ菌糸の塊を松林に埋設する。
 
いずれもマツタケが発生する可能はあり、韓国の方法は2.の模様である。事実、他の菌根菌では「成功」と言えるレベルにあるものも存在する。
 
しかし、マツタケの場合、たまたま発生することはあっても再現性がなく
実用化されていないのが実情である。
 
仮に韓国・中央日報の報道が正しくても、2010年に1本、その7年後の今年3本の発生では話題性はあっても今後、商業生産に至るのはいつになるのだろうか。
 
私が試みようとしているマツタケの人工栽培は、そういった方法ではなく、生きた松の根と菌根を形成させなくても、商業生産的に栽培できる方法である。
 
なお、近年、再び
『イカサマツタケ』 が息を吹き返している。
商売の邪魔をするつもりはないが、少なくとも「マツタケとシイタケが融合した…」「シイタケ菌にマツタケ菌を作用させた…」などというあほなことは言わないことだ。

 
最近は、「シイタケの突然変異株」とのストーリーに変わっているが、そう語っている人物は昔と同じ。
 
〈参考〉
【イカサマツタケの研究】
http://www.geocities.jp/achakoyasuo/