時節柄なにかとご注意を! | 零細企業の闘魂日記

【大雨:山形では17河川が氾濫 1人不明】
http://mainichi.jp/select/news/20130719k0000m040039000c.html
『日本列島は18日、日本海から東北地方に進んだ低気圧の影響で、山形県を中心に東北の広い範囲で大雨が降った。山形県では、大江町の最上川と月布川、南陽市の吉野川など少なくとも計17河川で氾濫・洪水が起きた。舟形町では午後1時ごろ、自宅近くの用水路の様子を見に行った会社員、沼沢宗一さん(65)の行方が分からなくなり、県警新庄署が捜索している。県危機管理課などによると、約460人が小学校などに避難。』
 
凄まじい大雨の模様はテレビニュースで知った。
なぜか豪雨になると田んぼや用水路を見に行き、台風が来ると屋根に上る人がいる。そして行方不明や死亡事故として報道されるのは決まったように高齢男性である。何か誘因されるものでもあるのだろうか?
 
今まで生き延びてきたという自負があるのかあるいは、怖いモノ知らずになっているのかも知れない。くれぐれも蛮勇をふるったり、油断をしたりしないでほしいと思う。
 
 
【雑記帳:秋の味覚マツタケ 早くも入荷 福岡】
http://mainichi.jp/select/news/20130719k0000m040020000c.html
『福岡市中央区の岩田屋本店に18日、通常ならば9月末以降に店頭に並ぶ秋の味覚のマツタケが1本だけ入荷した。19日午前11時から地下生鮮売り場で販売する。』
 
『梅雨前に一度暖かくなり、その後気温が下がると秋と勘違いして生える「早松(さまつ)」と呼ばれる珍しいマツタケで長野県産。岩田屋によると九州では今年初入荷という。』
 
『連日の猛暑が続く中、気分だけでも秋を先取りしたい人にお薦め。ただし、長さ約8センチ、重さ30グラムと小ぶりで香りも少なめながら、価格は1万3650円の重量級です。』
 
かつて「マツタケの人工栽培に成功するかも知れない男」 と呼ばれていた私。
最近は、自分自身が研究する時間は皆無に等しく、むしろ、大学や地方自治体でマツタケの研究をする人たちのアドバイザー役になっている。
 
ところで、エリンギを初めて食べた人は「歯ごたえがマツタケに似ている」と思われたことだろう。
エリンギ栽培をしていたとき、私は、ふと気づいた。ある食用物質を培地に配合し、特別な条件下で栽培するとエリンギから、桜餅のようなニオイを強く発するようになるのだ。
この芳香物質が「クマリン」であることは直感的に分かった。
 
ここから、少し専門的になるが、できるだけ簡単に説明する。
エリンギがクマリンを生成しているとすれば、菌類でありながら植物的な代謝を行っていると推測される。

 

なぜなら、クマリンはアミノ酸の一種「フェニルアラニン」を出発原料とし、桂皮酸オルトクマル酸オルトクマル酸β-D-グルコシドオルトクマリン酸β-D-グルコシドクマリン酸クマリン、という経路で生成される。これは植物における生合成反応であり、菌類でのそれではない。
 
…とすると、二段階目の桂皮酸以降の代謝を停止させることができれば、エリンギの子実体内に桂皮酸が蓄積されていく。桂皮酸からその誘導体のひとつである「桂皮酸メチル」に変換させる変異株を得ることは、私にとってそれほど難しくはない。
 
ここで種明かしをすると「桂皮酸メチル」こそ、マツタケが放つマツタケ臭の主成分なのである。
 
お察しいただけただろうか「桂皮酸メチル」を豊富に含むエリンギ菌株の栽培がうまくいくと「マツタケの香りがするエリンギ」ができると考えたのである。成功すれば消費者は100円程度で、マツタケを食べた気分に浸れる…。
 
我ながらなかなか面白い発想であり、一部ではずいぶん嘱望されたのだが、「所詮、研究者的なお遊びに過ぎず、やはりこのような方法で新品種のエリンギを作出し一般に流通させることは、どうも私の理念に合わない…」。

 

そんなことが頭をよぎっているうちに当初の狙い通り、うっすらとマツタケの香りが漂うエリンギ菌株を作出するところまできた。あとはその変換効率がさらに高い変異株を見出せば良いだけだ。

 

目的の80%程度までたどりつき、完成が目前まで近づいていたが、「やめとこ!」の一念で、スッパリと研究を中止した。純然たる学者・研究者なら研究結果発表の事後にまで斟酌する必要はないのかも知れないが、私は事業者でもあり、それが社会に与える影響を配慮するのは当然だと考えた。

営利を抜きにして、「世に出さない」という決断を下すのも我々の重要な責務なのである。

 
平成9年のことであった。