日本で生まれ育った私には、
「ごめんね、ありがとうを言う」
ことは、とても自然なこと。
むしろ、「ごめんね」や「ありがとう」がないと、いらっとしてしまうこともシチュエーションによってはあります。
それは日本人らしいちょっとした気遣いの表れ。
これはきっと私だけが特殊なはずではなく、日本人がよく「すみません」を使う謝罪文化が議論になることもありますし、
パートナーシップを良好に保つ秘訣として、「ごめんねとありがとうを伝える」ことをあげる友人もいます。
これがオランダで子供を育てる際に、問題となってしまうことがあると実感したのは最近のこと。
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夏休みに入る前日。
オランダではひと学年の最後の日にもあたるため、みんなが名残惜しそうに放課後をプレイグラウンドで過ごしていました。
遊ぶ子供たちと、見守る親たちでいつになく溢れかえった状態。
そんな中、50m先で我が子がクラスメートAにどつかれて地面に倒れ込んだ様子が目に入ってきました。
私は一部始終を見ていたわけではありませんでした。
Aは息子が起き上がるのを助けることもなく、Aのママに連れられて私の近くを何も言わずに通って帰って行きました。
こういう子供のケンカに親が介入しない、子供たちに任せる、というのがオランダ流だと、私は何度か経験をしたので、ただただ同じ場所から見守っていました。
多分日本で同じことが起こったら、親が子供たちのところに仲裁に入り、何が起こったのかを聞いて、
親同士も謝罪をしたり、子供にもお互い「ごめんね」を要求する状況なのかな、と想像します。
以前からAが息子のことを”ばか”呼ばわりしているのを耳にしたことがあり、
もしかしたら、息子が反撃して押し倒されるようなことをしたのかも?
とも思いました。それでも力技や暴力はよくないので、私がAのママだったら、ごめんねと言うように伝えます。
っていうか、私も「ごめんね」って相手の子に言っちゃいます。
いずれにせよ、2人の間に「ごめん」のやりとりはなかったそう。
ただ、Aのママは、Aに「やっちゃダメ」とだけ言ったそう。
少しモヤモヤした私をさらにモヤモヤさせたのは、その様子を違う場所から見ていたクラスメートのママ。
彼女はオランダ人ですが、中国やインドネシア、アフリカン・アメリカンの血も入っています。
「押し倒されたの見てた?!あのママ、あなたにごめんと言った?!(言ってないでしょ、よくないわ、という意味)」
と言われ、
「あれ、もしかして私はあそこで介入すべきだったの?」
と困惑。
子供同士のことは子供同士に任せる、と思っていたものの、親同士で話したり、謝罪を教えるべきだったのでしょうか。
結局、オランダにもいろんなカルチャーが入っていて、どれが正解?!
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数人の日本人のお友達に聞いてみると、
オランダ人の子供も親も謝らない、とやはり同じ意見を持っていました。
みんなそれぞれ、公園遊びなどで、実にいい「謝らない」ネタを持っていて、驚愕を通り越して笑えますw
それどころか、「オランダでは簡単に謝ってはいけない」と子供に教えている日本人家庭もあるようでした。
謝ることは認めること。
自分が間違っていた、いけないことをした、と簡単に認めてはいけない。
認めることで、自分の立場を危うくしてしまうことになる、と。
確かに、それは私たち大人がオランダで住み始めてから身につけ始めていたことでした。
けれど、長くついた習慣はそう簡単に消えるはずもなく。
ましてや、日本人夫婦ですから、家族内で何かあれば、「こういう時はごめんね、っていうんだよ」って教えてきました。
ただ、この件で思い起こせば、小学校に通い始めてから、息子が「謝んないな〜」って思うことがたびたびあったんです。
それって、結局、息子の生き始めた世界では、ごめんねのシチュエーションではないからなんですよね。
学校で間違って誰かの足を踏んだ、誰かの机に乗ってたものをぶつかって落とした、水をかけちゃった、汚しちゃった、みたいな状況ではいちいちごめんねなんて「言われない」「言わない」そう。
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それが当たり前の世の中で、日本人の頻度で「ごめんね」を言っていたら、息子の学校での状況はどうなるのかな。
想像したら、ちょっとゾッとしました。
ただでさえ、オランダ人家庭の子よりオランダ語が遅れていて「ばか」やら「間抜け」やら言われることがあるようだし。
アジア人で体は小さめだし。
ちょっとしたことでたびたび「Sorry」って言ってたら。
立場としてはすごく弱くなるのではないかな。
「あいつはすぐ(大した意味もないのに)謝る」
成長すればするほど、思春期にでも入ったら、この「ごめん」をヘビーユースすることはよくなさそうに思えます。
オランダで生活しているのだから、郷に入れば郷に従え、だと私たち夫婦は思います。
相手を傷つけでもしない限り、ここではごめんねは言わなくてよさそうです。
でも、日本文化の素晴らしさも知っているからこそ、どのように教えていけばいいか迷うのです。
日本で生まれ育った私たち夫婦と、オランダで育つ息子には、違う人生が待っているんだな〜
大げさのようですが、かなりリアルにそう思います。
多分これって、竹を割るほど簡単にいかないので、今後何かのたびに自問自答しながら、息子や夫と、もしくは先生なんかと相談しながら進めていくことなのかな、って今は思っています。
まだ他の国のママたちには聞いてないので、情報収集していきたいなと思っています。
おそらく、謝らないのが世界スタンダード?!
日中の時間がどんどん短くなります。
9月10月はお天気悪くって、ほとんど太陽に会えた記憶がありませーん。