小学校に通学して早1ヶ月が過ぎました。

これまでも何度も書きたいタイミングがあったのですが、

ようやく重たい腰を上げて息子のオランダ語について書いてみようと思います。

 

 

子供の第二外国語習得について、

 

多くの人は人種国籍問わずよくこう言います。

 

「子供だからすぐ話し始めるわよ。きっと親より早くてびっくりするわよ」

 

オランダに住み始めてからの数年何度も言われてきたことです。

 

しかし、2年経って、息子や同じくらいの歳の子たちを鑑みると、

 

安易にそうとも断言できないとはっきり言えます。

 

 

 

息子と日本語

 

息子は日本で1年半保育園に通っていたので、

 

母国語である日本語の発達はとても早かったです。

 

オランダに住み始めてから、語彙力の増えにやや衰えを見せることがあったものの、

 

限られた日本人と、限られた会話しかしていない割には、

 

気持ちや状況をきちんと日本語に置き換えることができます。

 

もちろん、日本で生活している同年齢の子と比較すれば全然足りていないと思いますが、

 

どこで覚えたの?いきなりどうしてそんな綺麗な文章が話せるの?

 

と驚かされることも多いので、子供って本当に洞察力や記憶する能力に長けているなと思います。

 

 

 

オランダ語と他言語

 

オランダに住んでいるからといって、

 

オランダ語ができるようになる。

 

英語圏に住んでいるから、英語ができるようになる。

 

というのはかなり誤った解釈だと言えます。

 

その言語の使用頻度が高いほど、習得スピードは早いでしょうし、

 

間違えを恐れずに積極的に話しかける人たちはきっと早いでしょう。

 

そして、英語を母語とする子供にとって、オランダ語の習得はさほど難しくなかったりもするようです。

 

オランダの現地校で試験的に行われているバイリンガル教育が示すように、逆も然りでしょう。

 

また、なんの統計もとらずクラスメートや友達の話から肌感だけでお話ししてしまうと、

 

ヨーロッパ言語を使う子供たちにとっても、オランダ語の習得はさほど難しくないように感じます。

 

それこそ、2言語、3言語と理解する子供たちだって少なくありません。

 

そういう家庭の親は、

 

「ママが英語で話してあげて、パパが日本語で話してあげて、学校でオランダ語を話していれば、

 

すぐにマルチリンガルになるよ」

 

なんて簡単に言います、笑。

 

 

 

日本語と他言語

 

しかし、こと日本人となるとどうしても文字、発音、文法に大きな違いが出てきてしまいます。

 

例えば、

 

英語で”Christmas"というのと、オランダ語で"Kerstmis"(カタカナで置き換えるならば...ケルスットミス?のような発音)というのは互換性を感じることができますが、

 

日本語で「クリスマス」と発音すると別のものに聞こえてしまいます。

 

英語の"What is your name?"は、オランダ語で"Wat is uw naam?"(ワット イズ ユア ナアム?)ですが、

 

日本語だと「お名前はなんですか?」ですものね。

 

そもそも言語派生の段階が違うので当然なのですが、

 

やはり日本語を母語とする人々にとって、他言語を習得するのは圧倒的に不利なのだと思います。

 

また、同級生にも多いインド人の場合は、母語はタミル語やヒンディー語やテルグ語など様々ですが、

 

生まれた時から英語を使用する環境にあって、4歳でもペラペラです。

 

そして、彼らは、オランダ語の環境に入っても、わからないことがあれば英語で先生から補助を受けられるのです。

 

しかし、私の息子などはそうはいきません^^;

 

アルファベット26文字で表現される世界との隔たりは、子供とはいえ、そう簡単ではないと実感しています。

 

 

 

 

息子とオランダ語

 

小学校でオランダ語と接する時間は3倍に増えましたが、

 

オランダ語を理解し話し始めるのはもう少し先のように思います。

 

ただ、いい兆候も見られています。

 

例えば、

 

「先生がこれこれこうで、こうしろって言ったから、こうしたんだよ」

 

とか、

 

「誰々がこうだっていうから」

 

というように、オランダ語を日本語に置き換えることができる部分も出てきているようです。

 

一方で、頻繁に受ける質問

 

"Hoe heet jij?" (名前はなんですか?の別の言い方)

"Hou oud ben jij?"(何歳ですか?)

 

に対して、

 

一度聞いただけでは聞き取りきれず答えられない場面も多いです。

 

 

 

子供の脳はスポンジ

 

ここまでああだこうだ書きましたが、

 

ある程度日本語を確立した年齢から他言語を習うと、

 

習得スピードもより早いと思います。

 

つまり、他言語の習得には、基礎となる母語の発達が欠かせないからです。

 

幼稚園の先生にもよく言われました。

 

「子供の脳はスポンジで、どんどん吸収するの。

 

今は話さなくても、いつかそのスポンジをぎゅっと絞るように言葉が溢れ出すのよ。

 

それまでは家庭で母語をきちんと話してあげて」

 

いつ溢れ出すのか楽しみもありつつ、子供は毎日学校でオランダ語と奮闘しているかと思うと不安も多いです。

 

ひとまず、家では日本語の絵本をたくさん読むようにしたり、

 

大人の言葉でなるべく多くの単語を使って話をするように心がけています。

 

トドラー期にオランダ語環境にいる時間が長かった子は、

 

オランダ語がぐんぐん伸びるけれど、かえって日本語が伸びないという状況もあり、

 

日本語と他言語のバイリンガルはバランスが本当に難しいなと感じます。

 

ただ中途半端にバイリンガルになればいいというものでもありませんし、

 

望ましいバランスで2言語を操るためには、親のサポートが欠かせないと思います。

 

 

 

以上、個人的な経験に基づく意見でしたが、どなたかの参考になれば幸いです。