2011年に始まったシリアの内戦。

 

解決しようと、米軍率いる有志連合が軍事介入。数々の国際平和会議。政治解決を目指し、いくつもの和平交渉。

 

それでも激化するばかり。死者や難民が増えるばかり。

 

未だにこの問題が解決されない理由は何なのか?

 

数々の研究によると、内戦は平均的に10年間続くらしい。ではシリアの戦争も、あと何年か続くのか?

 

いや。おそらくだけど、この5年間、そして現状をみると、もっと長くなる可能性のほうが高いかもしれないです。

 

Why?

 

まず、一番大きな問題は、プレイヤーの数が多すぎること。

 

シリアの内戦なんだから、アサド政権と反政府勢力…この二つ以外関わっているプレイヤーはいないと思うのが自然だと思いますが。

 

残念ながら、そんな簡単な話ではなく…

 

アサド政権はロシアのサポートを得ています。プーチンがアサドの肩を持つ理由は色々ありますが、シンプルに言うと、他に中東に友達がいないから。経済的にも政治的にも、そしてセキュリティーの面でも、シリアはロシアにとって重要な同盟国。

 

イランも同じ。反イスラエルでシーア派なイランにとって、アサド政権はとても重要。

 

逆に、アメリカ、サウジアラビアとトルコは反政府勢力を支持していますが、目的と支援している反政府グループはバラバラ。

 

そして反政府勢力自体、かなりバラバラ。(サウジアラビアが支援する)過激派イスラム系もいれば、(アメリカが支援する)宗教関係なく、シリアの民主化を目指すものも。しかも過激なのはイスラム国だけだと思ってたら大間違い。ヌスラ戦線など、アルカイダと繋がってるグループも。

 

こうなると、何がなんだかわからなくなってしまう。通常、戦争はどちらかが負けたら終わりますが、この場合、色々なプレイヤーがいすぎて、「負け」が不可能に。

 

例えば反政府勢力がどんどん弱くなり、武器も資金もなくなったら、戦争は終わるはずですが、現状ではアメリカやサウジアラビアやトルコが「なくなったらもっと送る」という役割を果たしている。アサド政権も同じサポートをロシアとイランから受け取っている。

 

となると、両サイド強いスポンサーがいるため、無限に武器と資金がある。戦闘は激化するしかない状態。でも、激化しても、死者が増えても、根本的なバランスは変わらぬまま。本当に最悪な状態…悪循環。

 

プレイヤーが増えれば増えるほど解決は難しくなる。各プレイヤー、モチベーションや目的が異なるため。

 

そして最後に。内戦が終わったとしても、その次に何が来るのかがわからない…この不確実で不安定な戦争後の未来が怖くて戦い続けてしまう。これはアサド政権も反政府勢力も同じ。

 

反政府勢力が勝ったとしても、新しいシリアはどういう国になるのか、まったく予想がつかない。私がロイター通信にいた頃は、100以上の反政府グループの活動を追跡していたけれど、各グループの目的やビジョンはバラバラ。誰がリーダーシップとなって、果たしてそれを他が許すのか。

 

となると、現状維持が結局は一番いいんじゃないか、となってしまっている。両サイド、勝利よりも、とにかく敵を止めることに集中している。未来が不安定なため、今持っているものを守ろうと必死。


The future of Syria is dark.
シリアの未来は暗い…


長々と色々書きました滝汗

 

最近少しずつシリアの内戦や難民問題も日本で取り上げられますが、やはり芸能ニュースや国内ニュースが一番フィーチャーされますね。最近だとあれとかあれね。

 

グループの解散だとか、築地の移動だとか、勿論大切なんでしょうが。「グローバル化が」「オリンピックが」というなら、経済面だけではなく、社会的にも政治的にも、もっと世の中のニュースや出来事に焦点を置いて、議論してほしいです。経済的に世界にこんなにがっつりと関わりながら、国際政治や世界が抱える社会問題は関係ないから興味ないなんて、無責任でアンフェア。


Phew. On that note...

 

Have a restful night, everybodyお月様