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FranceMBA留学記&その後

2009年~2010年のフランスMBA留学&帰国後の東京でのお仕事日記

私よりも4才も年下の尊敬すべき友人が本を出しました。




ブータン、これでいいのだ/御手洗 瑞子
¥1,470
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彼女がブータンに赴任する1か月前に共通の友人を通じて知り合い、もう2年くらい経ちました。
彼女のブータンでの働きぶりに感銘を受けて今年の震災以降ブータン国王夫妻が日本を訪れたとも言われているくらい彼女のブータンへの貢献は大きかったと言われています。若干当時25才の日本人女性がブータンという異国の地で感じたありのままの日々を綴ったとてもいい作品に仕上がっています。

ブータンは「幸せの国」としてまるでおとぎ話のように日本だと言われていますが彼女からは渡航当初から苦労が耐えない話を聴いたりしていたのでこの本を微笑ましく読了しました。


もちろん、日常だけではなくブータンの人々の精神から学ぶことも非常に多い良書です。
中でも日本人との徹底的な価値観の違いを感じたのは彼らは現在生きていることを「現世」と考えていつも天性輪廻を前提に「来世」のために祈っているということ、日本人よりもよっぽど収入も平均寿命も20年余り短いのに胸をはって「自分たちは幸せだ!」と豪語しているところにあります。

一方日本人は個人的な幸せを常に追求している面がブータンの人々に加えて多いと思います。そのことを筆者が指摘したところで

「祈るほど強く願うことがそんな現世の個人的なことだったら、それがうまくいかなかった時、苦しいだろうね」

このフレーズ。たしかにそう。いくら周りが幸せでも自分が悩みを抱えていたら笑顔になれない。それが日本人。ブータン人は「現世は全てではなくて周りの幸せを祈っている。次の人生がうまくいくといいな。」と考える。たしかにそう思える方が幸せかもしれない。
自分一人じゃ抱えきれない課題に対してうーん、うーんと悩むよりじぶんのできることをする。それがブータン人の幸せの秘訣だと思いました。

そんな著者本人は東大卒、外資コンサル勤務の超エリートですが、人懐っこく幼稚園の保母さんのような雰囲気を持っています。実際小さい子供が大好きです。ついでに言うとブータン滞在中も「子供がほしいなあ。。。三人は欲しい・・・」なんていう可愛らしい女性でその話を共通の知人と話していたら「素晴らしいね。この少子化社会でこどもが三人欲しいって言う女性がどのくらいいるだろう。」と言うことでした。さすがに私も彼女も三人兄弟だったりするけど、私も三人は自信がないなあ。。。

私は彼女が近い将来日本を代表する総理大臣にでもなってしまうんではないかと思っている今日この頃です。
今日で日本を直撃した大震災からまる一年が経ちました。
震災から数日して単独で沖縄に避難していたコロのブログを見返すと当時の様子が次々に思い起こされるわけですが。。
とにかく本当は3箇月間くらい当時は恐怖を感じていたのでした。

しばらくしてから震災当日に新聞社で同じ会議室で数時間を共にした同世代のクライアントに「kayoさんてみんなが慌ててたのに全く落ち着いてらっしゃいましたよね。」と声をかけられたり(ここで何かあってもそれを受け入れようと覚悟が決まっていた)、会議室で一緒だった某会社の役員が横浜で帰れないというので夜中まで一緒に新聞社の報道部のフロアで雑談していたりしてそのご家族や社員の方から感謝されたりでした。(別に帰ってもひとりだから情報がある新聞社にいたほうが安全と居座ることにした。)

本音を言うと震災が起きた当日もアラサー女の独身一人暮らしが故、「帰ってもどうせひとりだし、みんなといよう。」と思い、地下鉄が動き出してその役員を見送ったあと夜中の1時近くに会社に戻り仕事を続けるという緊急時に全くよくわからない行動をとっていたのでした。東京都内ってアラサー女子の一人暮らしって多いはずだからこういう人も多いんじゃないかなと思う。
帰ってなんともなかった家が余計怖かった。

私自身数年前に家族と一切連絡を取らなくなってしまい、すっかり家族との絆とか大切な人との関係というのが破綻していたので正直どうなっても心配する人などいまいと思っていました。実際海外からの友人からメールやSkypeで次々と連絡が来てむしろそっちにうるっときている自分に愛情に飢えてるなあと実感しました。

1年経って感じることは家族のような存在を近くに作り上げたいということです。

ある日のビジネススクールのクラスでの30人余りの20代半ばから40代前半までの生徒に与えられた課題がありました。1週間準備に時間が与えられました。それは「この十年での自分の人生での計画を10分でプレゼンしてください。」というもの。そして発表当日全員がスピーチのどこかしらに入れていた共通のフレーズが「幸せな家庭を築きたい」「結婚してパートナーと幸せに暮らす」でした。

MBAのクラスというと社会人を一度中断してより金銭的な豊かさを求めて卒業後は投資銀行に就職したりや起業したりなどというとてもお金に対して貪欲で肉食な人々がイメージされるみたいですが14ヶ国の国籍のそれぞれの学生から出てきた言葉は「それらは幸せになるための手段にすぎない、最終的なゴールは幸せになること、それはハッピーな家庭を築くことだ」でした。

普段クラスで議論になるとものすごい形相や口調で主張を譲らない、中国人の女性さえも(フランス人の彼氏有)プレゼンの際にビジネスのパートでは「起業してそのビジネスで世界展開させて○▲×-10年後には初期の30倍の利益が・・・・」なんて流暢に熱を込めて語っていたものの「で。最終的にはフランスの田舎で広い庭があるシャトー(お城)で猫を数え切れないくらい飼って(猫好き)彼とのんびり読書しながら暮らしたいわ。」と目尻を下げて締めくくりました。

おそらくフランス人が多いフランスのビジネススクールであるからかもしれませんが、必ずしもビジネスでの成功者が人生の成功者とは限らない。両方のバランスをうまく保ってこそ成功者というのがほとんどの学生の意見でした。

日本の場合、ビジネスで脚光を浴びていたりする人はかなり高い割合で多忙で家庭をかえりみず目も当てられない惨状、離婚・病気・子供がぐれる(裕福な家庭の方が多い)などになっている場合が多かったりします。光と影なのでしょうか。本来サポーターであるはずのパートナーが精神的に追い詰められてしまい、自己嫌悪、パートナーの周囲への嫉妬となりプライベートな動脈硬化になってしまうこともよくあるようです。私は先輩の同期があまりに残業続きで帰宅しないのでその奥さんが精神的に参ってしまいマンションの屋上でワイシャツを切り刻んでたなんて話を聞いたことがあります。

私も留学前は週末も土日も関係の無い業務に日々追われており家で寝ていても夜中の2時くらいにクライアントの電話で起こされたこともありますし、不規則な食事のせいで激太りして
「いったいいつまで続くんだ・・・」と思いながらも走り続けるしかなかった時期があります。このプレゼンの授業が終わったあと、「やっぱりみんな思うところはおなじなんだなあ、幸せの尺度はそれぞれだけど人間なんだなあ」とクラスメイト一人一人がいとおしくなったのを覚えています。


私はというと「日本ではまだ女性が一生働き続けるというのがとても珍しく、特に結婚出産を機に戻ってこないというケースが非常に多い。でも私の世代、1980年以降の女性はできればこのフランス人の女性のように(仏人男性大笑)綺麗でプライドを持って一生何らかの形で仕事を続けたいと思っている。でもモデルがいない。例えば仕事はできるけど女らしさにかけるとか、外見に気を使って綺麗だけどパートナーがいないとか。私は仕事は続けながらパートナーと支え合いながら幸せな家庭を築きたい。」と発表しました。(抜粋)このあと、同年代の他の国の同級生とこういった話を良くするようになり卒業が近くなるにつれ、フランス人の親友(20代)から「あなた、日本に帰っても典型的なハウスワイフになんかならないでよ、でもオーバーワークで化粧が崩れたらみっともないからうまくバランスとるのよー」って冗談交じりに言われていました。

帰国後、たしかに前より小さいことでくよくよしなくなりました。でもすごく人を良くも悪くも純粋に見てしまうようになりました。日本では、日本に限らないかもしれませんがビジネス場で正直さが全て正義ととられることはなかなかなかったりします。ただ、たまにこの授業でみんなが「幸せな家庭を築いてハッピーになるんだ」とキラキラと生き生きしながら発表していたことを思い出すと「よし、今自分は幸せに向かって生きているんだ!」と勇気をもらえます。