熊本大学の久しぶり面白い論文をおねがい

(ポイント)
⚫ ケトン体合成によりミトコンドリアが保護されるメカニズムを解明しました。
⚫ 新生児期にケトン体合成が活性化される意義を明らかにしました。


クエン酸サイクルでは、食事によって得られた栄養素がアセチル CoAに変換され、さらにクエン酸と7種類の酸への変換を繰り返すサイクルの 中でエネルギーが作り出されます。
機能障害の原因を検索した結果、ケトン 体合成不全により基質であるアセチルCoAが蓄積し、ミトコンドリア内のタン パク質にアセチル化というタンパク修飾を過剰に加えることで機能を障害し ていることが確認されました(図2)。

HMGCS2が存在する通常の状態(左)と比較して、HMGCS2欠損のケトン 体合成不全状態(右)では1ケトン体の原料になるアセチルCoAが細胞内に蓄 積し、2ミトコンドリアタンパク(mtP)のアセチル化が過剰になる結果、3クエ ン酸サイクルの機能障害が生じることが確認されました。


一連の研究結果は、生後授乳に伴って脂肪酸の摂取が急速に増える状態に おいて、通常の状態ではケトン体合成が活発になることが、ミトコンドリア タンパクに過剰なアセチル化修飾が加わることを防止し、ミトコンドリアの 機能を維持して保護する作用を持つことを示しています。
今後この作用を利 用してミトコンドリア保護・臓器保護を目的とした治療応用が期待されます。