現代人のほとんどが糖質過多と評される中、糖質過多が引き起こす死に至る病の1つ、「糖尿病」。なぜ糖質過多によって糖尿病が発生するのか? 発症すると何が起こってどう危険なのか。糖尿病に関するワード「シ・メ・ジ」「エ・ノ・キ」とは? 実はよく知らない糖尿病について、管理栄養士の麻生れいみさんに解説していただきます。
肥満以外に糖質過多が招く恐ろしい病気の1つが、糖尿病です。
平成28年の調査では、日本では糖尿病の患者数は約1000万人に達すると推定されています。予備群も約1000万人と推定されており、あわせると成人男性の約3割、成人女性の約2割に達しています。まさしく国民病です。
改めて定義すると、糖尿病とは、インスリンの効き目が悪くなり、血糖値が高くなりすぎる病気です。血糖値が高くなりすぎると、尿からも血糖が出てくるため、糖尿病という名前が付けられました。糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病は、免疫の異常などにより、すい臓でインスリンを分泌する細胞が死んでしまって生じるもの。2型糖尿病は、遺伝的なバックグランドがあり、そこに糖質過多や運動不足といった悪しき生活習慣が加わって起こるもの。日本人の糖尿病の95%以上は2型であり、本書でもとくに断らない限り、糖尿病=2型糖尿病として話を進めています。
■糖質過多が糖尿病を引き起こす仕組み
糖質過多で糖尿病が生じるプロセスは次の通り。糖質を多く摂って血糖値が上がると、それを下げるためにインスリンが大量に出てきます。すると、肥満ホルモンであるインスリンにより、体脂肪の合成が進んで肥満が進行。肥満になるとインスリンの効き目が落ちます。
インスリンの効き目が落ちると、それを量でカバーしようとすい臓はより多くのインスリンを分泌しようとします。このような生活を長年続けていると、やがてインスリンを分泌するすい臓の細胞がダウン。それによってインスリンの分泌が減り、インスリンの効き目も回復しないと、血糖値が上がったままで下がりにくくなり、糖尿病が起こります。
日本人は太らなくても、糖尿病になる人が大勢います。日本人は欧米人などと比べると、すい臓のインスリンを分泌する力が弱いという弱点があります。
このためインスリンの作用で過度に太りすぎることはありませんが、インスリンで血糖値を下げる力がもともと足りないため、糖尿病になりやすいのです。世界的に見ると、糖尿病は太った人が罹る病気ですが、日本はその例外。太らなくても罹りやすいのです。
日本人の2型糖尿病の発症時の平均BMIは24~25です。日本に病的な肥満が少ないのは、肥満ホルモンとして働くインスリンの分泌力が低いためです。アメリカを旅するとしばしば目にするような、極度に太った人を日本で見かける機会はほとんどありません。
そもそも日本ではBMI25以上が肥満ですが、世界保健機関(WHO)の定義ではBMI30以上が肥満。アメリカでも同じくBMI30以上が肥満であり、人口の40%近くがそれに相当しています。
その一因は、インスリンがたくさん出せることなのです。欧米人の糖尿病発症時の平均BMIは32であり、かなりの肥満です。糖尿病の原因は糖質過多ですが、なかでも女性はご飯の食べすぎに気をつけましょう。
国立がん研究センターが45~74歳の男女約6万人を5年間追跡調査した次のような研究があります。この研究では、女性でご飯の摂取量と糖尿病発症のリスクに関わりがありました。
その結果、ご飯の摂取がもっとも少ないグループに比べて、1日3杯食べると糖尿病発症リスクが1・48倍、1日4杯以上だと1・65倍に達していたのです(American Journal of Clinical Nutrition 2010(92)1468-77)。この研究では、同じ糖質なのに、パンや麺類ではご飯のような傾向は見受けられませんでした。
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