(画像:Natureより)

「がん細胞の弱点が分かったかもしれない。

マウスでの研究で、転移するがん細胞は脂肪をエネルギー源として

利用している可能性が示されたのだ。

がん細胞が、発生した部位から全身に広がる過程は転移と呼ばれ、がんによる死亡の主な原因である。

マウスでの研究から、がんの転移を担う細胞が、浸潤を行う際のエネルギー源として脂肪に依存している可能性が報告された。

がん細胞の致命的な弱点を発見したのかもしれない」

「ランド大学(スウェーデン)の研究者は、癌細胞の中には脂肪滴を蓄積するものがあることを発見した。
この脂肪滴は癌細胞をさらに悪性化させ、転移する能力を増加させるようである。

腫瘍の内部は敵対的な環境である。
酸素は欠乏し、pHレベルは低く酸性で、栄養素も不足している
そのような環境で生き残る細胞はいわゆる『ストレス』を受けた状態であり、より悪性であると考えられている。

Mattias Belting教授の研究グループは最近、そのような細胞に化学療法薬を届ける可能性のある方法についての論文を発表した。


そんな彼らは今回、何年もかけて追求してきたもう一つの研究の経過trackから得られた発見について報告する。
それはストレス状態の細胞と脂肪細胞の類似性に関するconcernものだ」。



「腫瘍の内部で生き残るために、ストレス細胞は休止状態に移行する
そのような細胞は放射線療法や化学療法が効かなくなるが、脂肪滴は蓄積し続けることができる。
脂肪は後にそれらの癌細胞が休止状態を抜け出して増殖し転移する際には燃料となる」
Mattias Beltingはそのように説明する。

「癌性腫瘍のそのような細胞はしばらくの間『良い時と悪い時』の間を移行することが知られている。
癌細胞の視点から見ると、『良い時』は癌細胞が転移して再発を引き起こす時である。

「癌細胞の中で血流に入って転移を形成できるのは

非常にわずかな割合に過ぎない。


我々の考えでは、最も転移を形成する能力があるのは

脂肪細胞に似たような癌細胞である。
それらは脂肪滴をエネルギーとして使い細胞膜を構築するか、

シグナル物質を作り出すことが可能であり、

それらをすべて同時に行うこともできる」

 

「今回Cancer Research誌で発表された論文の筆頭著者でdoctoral studentのJulien Menardは言う。

この新たな知識は癌細胞の転移と戦うために使うことができる。
癌と関連する死亡のほとんどは転移が原因である。

ストレス細胞がどのようにして脂肪の貯蔵を蓄積するのかを知った。我々は、それらが余分なエネルギーを獲得するのを

防ぐことが可能である。
そのような効果を持つ薬剤は既に市場に存在する可能性がある。

例えば抗血栓薬anti-thrombotic drugとして知られるヘパリンは血餅blood clotを溶かすだけでなく、
癌細胞による脂肪パーティクル/fat particleの取り込みを減らすこともできる。

「数千人の患者の研究から、ヘパリンの投与を受けている癌患者の転帰は投与されていない患者よりも良いことが示されている
ゆえに癌に対するヘパリンの効果を調査するいくつかの臨床研究が既に進行中である。


もしこの治療がうまくいくなら、その理由の一部はおそらくストレス細胞が脂肪を蓄えるのを防いだためだろう」

「Cancer Research誌で発表された研究には患者のサンプルから撮られた画像が含まれ、
それには脂肪細胞と類似した癌細胞が正確に腫瘍の酸素欠乏領域内、つまり細胞がストレスを受けている場所に位置することが示されている。

脂肪と癌との間のつながりは、肥満があるタイプの癌の発症リスクを伴うというよく知られた事実とも一致する。
肥満の人々は血液中に脂肪パーティクル/fat particlesが多く、それはストレス状態の癌細胞にとっても利用可能になりうる
加えて、肥満の人々の腫瘍はより悪性になりうることも知られている」

 

goo.gl/pkPKPj

http://www.nature.com/news/fat-fuels-cancer-s-spread-in-mice-1.21092
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160602083554.htm