さて2018年、特定健診・保健指導はどう変わるか?
私も、そろそろ特定保健指導は若い方にお任せかしらと、
思っていますのよ
「2014年度時点の特定健康診査(特定健診)の受診者は
約2,600万人で、2008年度時点の受診者約2,000万人と
比較して毎年100万人増加している。
特定健診の実施率は全保険者平均で約50%であり、
目標の70%には及ばないものの、保険者、医療機関、
健診実施機関、専門職などの取組によって着実に実施されている。
一方、2014年度時点の特定保健指導の全保険者平均の
実施率は18%で、目標の45%を上回る優良な保険者も
一部あるが、健保組合・共済組合の3割は実施率が
5%未満であるなど、保険者間の差が大きい。
報告書では「保険者の厳しい財政状況や専門職の
限られた人的資源の中で、さらなる実施率の向上を
達成するためには、制度の運用の見直しだけでなく、
ICT(情報通信技術)の活用など現場での効率化の
工夫や運用の改善が欠かせない」としている。
内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目した
現行の特定保健指導対象者の選定基準を引き続き、維持する。
内臓脂肪の蓄積を評価する方法は、
現行の腹囲基準(男性 85cm以上、女性 90cm以上)を維持する。
なお、腹囲が基準未満であってリスク要因
(血圧高値、脂質異常、血糖高値)がある者は
特定保健指導の対象者とはならないが、
これらのリスク要因がある者への対応方法等に
ついては重要な課題であり、引き続き、検討を行う。
特定健診は8年以上運用され健診として定着しているので、
検査値の連続性を担保する必要性があるとした上で、
科学的知見の整理と労働安全衛生法にもとづく
定期健康診断の見直しをふまえて、以下の見直しを行う。
▼ 血中脂質検査:定期健診などで「中性脂肪」が
400mg/dL以上の場合や、食後採血のため「LDLコレステロール」
の代わりに「non-HDLコレステロール」を用いて評価した場合も実施とみなす。
▼ 血糖検査:原則として「空腹時血糖」または
「ヘモグロビンA1c」を測定し、空腹時以外はヘモグロビンA1c
のみの測定とする。
やむを得ず空腹時以外にヘモグロビンA1cを測定しない場合は、
食直後を除き「随時血糖」により血糖検査を行うことを可とする。
▼ 血清クレアチニン検査:糖尿病性腎症の重症化予防
の点でも、血清クレアチニン検査(eGFR)は分かりやすい
腎機能の評価なので、詳細な健診の項目に追加し、eGFRで腎機能を評価する。
対象は「血圧または血糖検査が保健指導判定値以上の者のうち、
医師が必要と認める者」とする。
▼ 心電図検査:「当該年の特定健診の結果などで、
血圧が受診勧奨判定値以上の者または問診などで
不整脈が疑われる者のうち、医師が必要と認める者」を対象とする。
▼ 眼底検査:「原則として、当該年の特定健診の
結果などで、血圧または血糖検査が受診勧奨判定値以上の者のうち、
医師が必要と認める者」を対象とする。
▼ 標準的質問票:生活習慣の改善に関する
歯科口腔保健の取組の端緒となる質問項目の追加などを行う。
保険者の厳しい財政状況や専門職の限られた人的資源の中で、
特定保健指導の質を確保しつつ、対象者の個別性に応じた
現場の専門職による創意工夫や運用を改善し、
実施率の向上につながるよう、以下の点について実施方法を見直す。
▼ 行動計画の実績評価を3ヵ月経過後(積極的支援
では3ヵ月以上の継続的な支援が終了後)に行うことを可能とする。
なお、3ヵ月経過後に実績評価を行う場合は、対象者自らが
生活習慣の改善を継続して実践できるよう、健診結果や生活習慣の
改善の必要性を理解するための的確な初回面接の実施が重要となる。
また、実績評価後に、例えばICTを活用してフォローするなど、
対象者の個別性や保険者の資源に応じた取組が期待される。
▼ 保険者と委託先との間で適切に特定保健指導対象者の
情報が共有され、保険者が対象者の特定保健指導全体の
総括・管理を行う場合は、初回面接実施者と実績評価を行う
者の同一性を求めない(保険者のマネジメントの強化がはかられる)。
なお、異なる実施機関が初回面接と実績評価を行った場合は、
保険者は委託先の初回面接の実施機関に対して、
実績評価の結果を共有することが求められる。
特定健診受診当日に初回面接を行うことは、健康意識が
高まっている時に受診者に働きかけることができ、
受診者にとっても利便性が良いため、実施率の向上につながることが期待できる。
また、定期健康診断等と連携することで、産業医・産業保健師との連携もはかられる。
▼ 検査結果が判明しない場合の初回面接について、
(1)把握できる情報(腹囲・体重、血圧、質問票の回答、
前年度の検査結果など)と面接内容をもとに、
医師・保健師・管理栄養士が行動計画を暫定的に作成し、
(2)後日、全ての項目の結果をもとに医師が総合的な判断を行い、
専門職が本人に電話等を用いて相談しつつ、
当該行動計画を完成する方法を可能とする。
▼ 2年連続して積極的支援に該当し、1年目から
2年目にかけて状態が改善している者については、
2年目の指導は動機付け支援相当でもよいこととする。
なお、2年連続して積極的支援に該当した者のうち、
1年目に積極的支援の対象者に該当し、かつ積極的支援を終了したものに限る。
状態の改善は、2年目の特定健診結果(腹囲・体重など)により評価する。
▼ 保険者がICTを活用した初回面接(遠隔面接)をより導入し
やすくするために、国への実施計画の事前の届出を
2017年度から廃止し、2018年度からは保険者による
特定健診・保健指導の実施状況に関する報告の中に
遠隔面接を位置づけ、より簡便に実施し、国もデータを蓄積し評価できるようにする。
特定健診は、本人が定期的に自らの健診データを把握するとともに、
治療中でも生活習慣を意識し、改善に取り組む端緒となることが期待される。
そのため「医療機関(かかりつけ医)との適切な連携」を進め、
治療中であっても健診の受診勧奨を行うようかかりつけ医に期待する
とともに、「治療中であっても特定健診を受診するよう、
かかりつけ医から本人へ健診の受診勧奨を行うことが重要」としている。
その上で、かかりつけ医と保険者との連携や、
受診者や社会的なコストを軽減させる観点から、
「本人同意のもとで保険者が診療における検査データの提供を受け、
特定健診結果のデータとして円滑に活用できるよう、一定のルールを整備する」と定めている。
▼ 歯科医師が特定保健指導における食生活の改善指導を行う場合の研修要件を緩和する、
▼ 看護師が保健指導を行える暫定期間を2023年度末まで延長する、
▼ 保険者協議会で、保険者間のデータ連携のための共通ルールを整備し、
健診・レセプトなどのデータ分析を通じて健康課題を共有し、
効果的な保健事業に取り組む環境整備を進め、
加入者の生涯を通じた健康づくりを医療保険者全体で支援する、
――といった運用面の改善も行われる。
健診受診率などの目標値を次のように設定し、
全保険者の実施率を2017年度実施分から公表し、
保険者機能の責任を明確化する。
【特定健診の実施率目標】 市町村国保 60%以上、
国保組合 70%以上、協会けんぽ(船保含む)65%以上、
単一健保 90%以上、総合健保(私学共済含む) 85%以上、
共済組合 90%以上。
【特定保健指導の実施率目標】 市町村国保 60%以上、
国保組合 30%以上、協会けんぽ 35%以上、船員保険 30%以上、
単一健保 55%以上、総合健保(私学共済含む)30%以上、共済組合 45%以上。
【メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率】
特定保健指導の対象者2013年度までに2008年度比で「25%減少」する
保険者による健診・保健指導等に関する検討会(厚生労働省)