多く
成功した超持久力アスリート
高炭水化物から低炭水化物ダイエット
切り替えているグッ!

筋肉内のグリコーゲン量は維持され,

運動耐容能も低下しないことを示す論文が

Metabolism2016; 65: 100-110 )に掲載。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26892521


「ケトン産生食研究のトップランナーである

米コネティカット大学のVolek氏,米カリフォルニア大学

デービス校のPhinney氏らの共同研究である。

21~45歳の50km以上を走るスーパーマラソンや

トライアスロンの男性選手で,認定された大会の決勝の

上位10%に入ったエリート選手を対象として研究への協力を依頼した。

普段からカーボローディングを行っている人

(High Carbohydrate;HC群)と,

普段からケトン産生食を行っている人

(Low Carbohydrate;LC群 )を集めるようにし,

参加に同意した運動選手に(食事以外の背景因子が

HC群とLC群でマッチするように参加者を選択した上で),

研究施設に2泊3日で滞在することを要請した。


①試合期間中でも糖質制限食で

問題がない(グリコーゲン量,最大酸素摂取量などに

HC群とLC群で差異がない)ことが示してくれた。

運動前に糖質摂取を増やすことにより

グリコーゲン貯蓄を増やすことができ,

それが運動耐容能を向上させるという

カーボローディングの概念は根底から否定されたのである。


②最大酸素摂取量の65%という

比較的しっかりした強度の走行を3時間した後でも

高糖質食を摂取した際には,(アスリートですら)

血糖を維持するのにインスリン分泌が必要だったということである。


北里研究所病院糖尿病センターセンター長 山田悟医師は

考察で述べている

「私たちは,2型糖尿病治療において食事療法と

運動療法は車の両輪であり,両方が必要であると指導している。


そして,しっかりした運動をした際には運動により

糖輸送担体(GLUT)4の細胞膜への移動が生じ,

インスリンを使わずに血糖値を下げることができると考えてきた。


しかし,今回のデータでは,しっかりと運動をした後でも

高糖質食を摂取するとインスリン分泌が必要であり,

アスリートにおいてすら血糖の若干の上昇が生じているということである。


インスリン分泌が低下しているような2型糖尿病患者

(大半の日本人2型糖尿病患者)では,

運動していても糖質制限食の方が

(食後高血糖を防ぐという観点からは)安全であることを示している。


なお,本研究の糖質制限食はケトン産生食という

極端な糖質制限であった。


極端な糖質制限食については,今年(2016年)1月に

nutritional ketosisについての研究会が米国のフロリダで

開催されており,既に確立されているてんかんに加え,

アルツハイマー病,パーキンソン病,

がんの治療食としての可能性が検討された。


もちろん,血管内皮への悪影響や

(おそらくは遺伝子異常に伴う)

ケトアシドーシスなどへの懸念はあるが,

そろそろ日本でも冷静にケトン産生食のことを議論すべき

時期に来ていると思う。」

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2016/0322500506/?utm_source=mail&utm_medium=recent160323&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005wT1xAAE&fl=1


※カーボローディングが何十年来提唱されていた一方で,

ケトン産生食の運動選手への有用性も以前からいわれており,

体脂肪の酸化能力が向上して運動持久力を高める可能性が指摘されていた(Metabolism 1983; 32: 769-776

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6865776