今の日本の住まいには、今年の3月に引っ越してきたばかり。

やっと色々と慣れてきたころにアメリカ旅行に二ヶ月も出てしまったので、なんとなく今また一からやり直しな感じです。

そして、ずーっとやらなくちゃやらなくちゃと気になっていたマンション入り口の顔認証登録を昨日やっと済ませました。

申込書にピザ雄と私の証明写真を貼り付け、管理人室に持参。

管理人さんのパソコンでそれぞれの顔写真を撮影し、登録してもらうだけなのですが、これが存外に時間がかかってしまいました。

何が理由かというと、多分担当してくれた管理人のおじさんが、システムを全く理解していなかったから(だと思う)。

写真を貼り付けた申込書を手渡すと

「え?」

と目が点。

「あの、その顔認証システムに登録していただきたいんですけど…」

「…え。これ、え。今日するんですか?」

「えー。あのー。ええ。はい」

もうすでに怪しい雰囲気。できるのかな、おじさん…

「ああ〜そうですか〜はあ〜。ほなまあ、ちょっとええっと、お待ちくだ…さい…」

そこから延々、延々、延々延々延々延々、待たされた待たされた待たされた。

覗き込むとマニュアルを一から読んでいました、おじさん。

やっぱり初めてなんだな。今まで他の管理人さんがやってたんだな。多分。

もういいです明日出直してきますと言おうかと思い始めたころ、ようやく

「じゃあ、ええと、ご主人さんから部屋に入ってください」

「あ。部屋に入るんですね。はい」

「ご主人さん一人だけですよ。一人で入ってくださいよ。奥さんは後からですよ。一人で入ってくださいよ」

わ、わかりました。そんな何回も言わなくても…。

「ほな。ご主人さんだけ」

念を押された。

裏口から招き入れられたピザ雄さん。

管理人さんのデスクに座り、モタモタと手間取りながらもなんとか撮影終了。

最後にシステムへの登録を終え、一旦玄関に回って顔認証が本当に登録されているかを確認して、ピザ雄とおじさんが戻ってきました。

次は私ね。

と思ったらまたなぜかそこから待たされる待たされる待たされる。

おじさんは、パソコンとマニュアルを手に、デスクで固まった状態。

何をしているんだろうか。

 

廊下で寝落ちするかと思い始めた頃

「…あ、ほな奥さん、どうぞ…」

と言われ、やっと管理人室に招き入れられました。

カチカチ。

二度目だからか、割とスムーズに撮影と登録が終了。

「ほんなら次は、ちゃんと登録されてるかどうか、確認しますんで」

と裏口からエントランスまで案内されました。

そこで私の顔がシステムに登録されているかどうかを確認するため、『ここらへんに立ってください』と言われた場所に行きました。おじさんは私の隣に立ってます。

タイミング悪く、学校帰りの子供達や犬の散歩の奥様たち、宅配便の人たちが引も切らず出入りするので、なかなか確認ができませんでしたが、やっと人通りが途絶え、指定の位置に立つとドアがガーと開きました。

「これで完了ですね!」

ほっとして振り返ると

「うーん…ほんまに大丈夫かなあ」

首を傾げるおじさん。

なぜここで疑問に思うのか? 今無事にドアが開いたのに。

「もう一回ちょっとそこに立ってみてください」

言われるがままに立つと、またドアが開閉。

「これで大丈夫ですよね?」

「いやー…でも…」

ええ? 何が問題?

「いやーだって僕も顔認証システムに入ってるからなあ…」

 

いや!

だったら!

私の隣に立たないで、どっかに隠れててくださいよ!

わけわからなさすぎませんか!

 

うーん?と首を傾げながらおじさんがスリスリスリと後退り。

管理人室に通じる裏口の壁の背後に隠れ、顔だけ出してこちらをみています。

それ、その出してる顔も認識されるんじゃないの?と思ったけど、私はもう早くこれをすませて部屋に帰りたい一心。

おじさんを無視して所定の位置に立ち、扉が開閉するのを確認して

「これで!ばっちりですね!ありがとうございました!」

おじさんが口をパクパクさせていたけれど、そのまま部屋に走って帰りました。

あー疲れた。

何だったんだ一体。