ピサ雄がピザ雄になったのは、もちろん他でもない、毎日ピザばっかり食べていたからです。
忘れもしない二年前。
鬱やら強迫観念症やらアレやらこれやらが一気に悪化して、ひきこもり暴れまくりだった日々を過ごしていたピザ雄は、夜中になるまで部屋から出てこず、無理やり食事を部屋に運んでも、ひたすら迷惑そうにするだけでした。
そしてやっと部屋から出てきて何か食べるか、というと、ドミノピザ一択。
毎日ドミノ。
本当に毎日、エブリデイ、オールウェイズ、ドミノピザ。
それもマルゲリータのみ。
家に戻ると部屋中にドミノ臭が漂い、冷蔵庫を開けると皿に乗ったドミノピザが目の前に鎮座し、冷蔵庫もドミノ臭。
あの頃は、本当にドミノピザ店舗の前を通るのもいやでした。
あれから2年。
最近のドミノ氏は当時と比べるとまるで別人です。
今日は区役所に用事があったので二人で出かけたのですが、用事が終わった時
「レッツゴーマゾロー」と一言。
「は?マゾロー?何?」
「マゾローといったらマゾローだ!コーヒーを飲みに行くマゾローだ!」
「いや知らんがなそんな悪魔の呪いみたいな名前のカフェ!」
「マゾロー!君が大好きなあのチーズケーキを売ってるマゾロー!」
チーズケーキだとう?
マゾロー?
マゾ・・・?
え、もしかしてモロゾフのこと?
「whatever」
出たよ自分の誤りを指摘されると誤魔化すwhatever
以前のピザ雄はとにかく全てに対して拒否一択だったので、カフェも立ち飲み系かスターバックス専門でした。
私はカフェでゆっくりゆったり座って美味しいお茶を楽しみたいタイプなので、慌ただしいカフェにお付き合いするのも苦痛だったんです。
それがああた。
マゾローでもなんでもいいけど、カフェに行こうと自分から言い出すなんて。
しかも結構じっくりと時間をかけてお茶を楽しむ余裕まで見せるんですよ。
その後、ピザ雄が大好きなダイマルウーの地下で食糧調達です。
ダイマルウーに行くとまず絶対と言って良いほど彼が行くのがポール・ボキューズ。
毎日毎日ポール・ボキューズ。
他のものも食えよ!
と思うけど、毎度毎度ポール・ボキューズのキッシュとチキンです。
それが今日は奥さん。
私がじーっと見ていたホテルブランドのロールキャベツを見て
「それは何?」
「ロールキャベツ」
「その隣は?」
「ビーフストロガノフ」
「じゃあそれにする」
えっ。
これ?
ポール・ボキューズじゃなくて?
キッシュでもチキンでもなく?
「美味しそうだからこれにする」
なんとピザ雄さん、新しいものに自らチャレンジする勇気まで出てきました。
しかも。
しかもですよ。
私がロール・キャベツを買うのを見ても
ゲエー
とか
まずそうー
とか悪態もつきませんでした。
彼はロール・キャベツを理由もなく(多分食べたこともない)憎んでいたので、私がキャベツを煮込んだ系の料理をすると、本当に嫌そうだったし、私が勝手に食べるロール・キャベツに対してもいつも酷い悪態をついていたんです。
それもなかった・・・。
成長した!ピザ雄!
まだまだ常人レベルには達していないけど、いいぞがんばれその調子だ!