飛行機の中がガラガラだったのと同じく、関空もガラガラです。

出発の時も思ったんですけど、空港ビルに入った瞬間「え?クローズ?」と思ったぐらいガラ空きで、お店も全部クローズ、人もいない。ゴーストタウンみたいでした。

 

飛行機を降りるとまずは延々と歩きます。延々と延々と歩きますが、要所要所で係の人が

「お疲れ様ですー」

「お帰りなさい!」

と声をかけて親切に出迎えてくれるので、ちょっと心安らぎます。

 

案内される通りに歩き、まずは陰性証明書の提出デスクに座ります。

家族は一緒のデスクに座って良いと言われましたが、私的にはヒマポが超不機嫌な地雷状態だったので、いやーお願いだから英語の係りの人にお世話してもらってー、という気分でした。

でも、もちろんヒマポは私の隣の椅子にドッカーンと腰掛け、不遜な態度で書類を投げ渡し。でも親切ーな係りの女性たちは、懇切丁寧に説明してくださり、書類をきちんとまとめて

「次のチェックポイントではこの書類をもう一度見せていただくことになります。こちらの書類はもう不要ですので、別の場所にしまっていただいて良いですよ」

と教えてくれたので、とても助かりました。

もちろん天邪鬼ヒマポは私の説明を途中で遮り

「どうでもいいから早く次のところへ行こう!」

と態度の悪さ200パーセント。でも、ビジネスクラスをおごってもらったのでググッと我慢ですよここは。

通路でなぜか空っぽのIDストラップを渡されます。

多分陰性証明書を提出した人とそうでない人を区別するためのストラップだと思います。

これをクビにかけてしばらく順路通りに歩くと、待ち構えていた係の人が

「ストラップ回収しまーす」

ストラップを手渡し、またまた延々と歩き続け、ようやく唾液検査の場所に到着。

ここでフラスコと小さな試験管を手渡され、小さなブースで唾液採取ですが、いろんな人がレポートしていた通り、壁にレモンと梅干しの写真が貼ってあってちょっと笑えました。

私は唾液採取は一瞬でできたのですが、となりのブースのヒマポは悪戦苦闘している様子でした。

係の人に唾液の量を見てもらい、私はすぐに

「オッケーです」

と言われましたが、ヒマポは3回ぐらい

「もうちょっと採取してください」

と言われていました。

しかも英語で案内してもらっているのに、なぜか私に

「何て言ってる?」

と何度も聞く聞く。

ビジネスクラスビジネスクラスと呪文を唱えながらお手伝いしてあげました。

 

唾液採取が終わると、次は待機場所へと移動です。

これがまた、最初に延々と歩いた通路を逆行する通路で、かなり長距離です。到着ゲートのすぐ近くのゲートまで案内され、電光掲示板で自分の番号が出るまでかなり長い時間を待ちました。

 

この場所に到達するまでヒマポの地雷が何度も爆発し、私の心の中で彼の名前はヒマポから『タリバン』に変更されました。

 

30分以上待った後、ようやく私たちの番号が表示されたので、係のデスクまで行くと『検査結果陰性』ステッカーを書類に貼られ、ようやく入管へと移動です。

どの通路にも大勢の係の人が待機しており、ちょっとでも迷うそぶりを見せている人に素早く駆け寄り案内をしてくれるので、本当に助かります。

 

最後にたどり着いた入管の手前でラストチェックポイント。

もうこの時点で、どの書類をどこに見せて何を返してもらって何を提出したのかさっぱりわからない状態ですが、ファイルに入った書類を丸投げで手渡すと、必要なものを取り出して記入したり説明したりしてくれるので、これも全然問題なしです。

 

さて。入管ではさすがに夫婦でもタリバンヒマポはアメリカ人、私は日本人。

別々の入管デスクに進まなければなりません。

直前に

「再入国許可書は記入した?」

とタリバンに聞いたら

「記入した!」

と地雷が爆発したので、内心『痛い目に合えばいい』と思いながら日本人用入管に進みました。

もちろんあっさりと手続きは終了。

スタンプも押してもらって外に出ながら振り返ると、タリバンは係の男性に捕まり、デスクで何かを記入させられていました。

あれは絶対再入国許可書に記入してなかったんだな。おざまあおみろだわ。

 

ニヤニヤしながら待ちましたが、これがまた長い長い長い。

何があったのか?

と思い始めたころ、ようやく入管チェックポイントの場所までやってきたタリバン。明らかに超絶不機嫌の極致です。

うわー。やばーい。いやだー。関わり合いになりたくなーい。

 

再びビジネスクラスビジネスクラスビジネスクラスと心の中で唱え、心を落ち着けました。

 

やっとタリバンの順番が回ってきたと思ったら、何やら係官に聞かれ、アイドンノー!と叫ぶタリバンの怒声が聞こえてきました。

 

ゲー!

入管オフィサーにあんな態度とったら、アメリカだったら国外退去か別室に連行間違いなしだわ。

何やってるんだ!

 

と思っていたら

「彼女は僕のワイフだ!彼女に聞いてくれ!」

と叫ぶんですわこれがまた。

やめてよう!

と思いつつ近寄ると、係官の男性がとっても困った表情で

 

「あのー。検査結果が陰性だったことを示すステッカーを貼った書類をお持ちじゃないですか?」

 

持ってるでしょ。それ。

さっきファイルに入れてたじゃん。

 

タリバンはこの時点で野生のクマよりタチが悪い飢餓激怒状態。

「書類?書類ならどこかにあるだろう!」

と大きな声を出すので、このままこいつはそこの大きめのゴミ箱に放り込んでいただいて結構ですから、と言いたくなりました。

 

「さっきのファイルは?」

 

と聞くと、

ハー!と嫌味なため息をつきながらバックパックを乱暴に探り、フォルダーをつかみ出しました。

もちろんその中に全ての必要書類が入ってるわけですよ。

落ち着いて対処すれば何の問題もないのに、勝手に埋めた地雷を勝手に踏んで勝手に大怪我して勝手に激怒してるようなもんですよ、この男は。

 

「あっそれですそれ。ありがとうございます!」

 

日本の入管オフィサーは本当に優しいなあ。

こんなわけのわからん中年アメリカ人、国外に叩き出してやればいいのに(いやそれはアカンだろう)。

丁寧な物腰で終始接してくれた入管の人に、超絶失礼な態度で接するわが夫を見て

「こんな大人、この世に他にいるだろうか・・・」

と呆れ果てました。

 

やっと全ての手続きが終了し、最後に向かったのはバゲージクレームです。

もうランディングから2時間近くが経過していたので、とっくに荷物は降ろされているはず。

遠目に見ると私たちのスーツケースが置かれているのが見えました。

 

「どうせ手続きをいちいちめんどくさくする日本のことだから、バゲージの受け取り証を出せとか言われるに決まってる!」

と喚くグリズリータリバンを無視してスーツケースに近寄ると、係の女性が

「あっお帰りなさいませ!お疲れ様でございました。ありがとうございます」

とにこやかな笑顔で丁寧にご挨拶してくれました。

ああ。癒されたよ。一服の清涼剤だよ。笑顔はプライスレスとはよく言ったよね。

 

これにて全ての手続きが終了。

長かった。

そしてタリバンが本当にタリバンでグリズリーで地雷だった・・・。

 

旅は楽しいしハワイは美しいし、こんな時期にハワイに行けて本当に嬉しかった。

ビジネスクラスも本当にありがとう。

でも、

ヒマポよ。成長しなさい。

大人になりなさい。

 

家に帰った時にはご機嫌が戻っていたタリバングリズリーヒマポ。

9月には国内旅行をしようね!

なんて言ってたけど、クマや地雷とは旅行したくないよ?

ちゃんとしてよ?

それからビジネスクラスもまたよろしくね。

 

 

↑オーチョとチョビのセルフィーinワイキキ。ああまた行きたいすぐ行きたい。