最近喧しく『女性蔑視』という言葉が飛び交っていますが、ちょっと色々考えてしまいました。

 

私が長いアメリカ生活の中で真に弁護士を必要とした場面は、不動産に関わることばかりでした。

不動産売買、賃貸、ローンなどに関わる全ての作業・場面で不動産弁護士の助けが必要になるのですが、フンフンが紹介してくれためちゃ長くてめちゃ覚えにくい名前のおじいさん弁護士がずっと不動産マイ弁護士でした。

ですが、その彼も近年ついにボケはじめたらしく(フンフン談)、何事か仕事を依頼しても「そんな依頼受けたっけ?」と首を傾げ、うっかり忘れていることが多いとか。私が初めて会った時からおじいさんだった彼は今一体何歳なのか知らんけど、昔からずっとずっとずっとエロじじいでした。多分今もこれからも、ボケても永遠にエロじじいだと思います。

でもこのエロ弁護士は本当に有能で知識経験が豊富で、彼のおかげでどんなに節税やら手数料を節約させていただけたことか。

それを知ったフンフンに、

「フィーをまけてもらえるなら、手ぐらい握らせてやれ」

と言われました。

あまつさえ、リン母までもが

「手ぐらい握らせてもいいじゃない」

とか。

今思い出してもひどいなしかし。

 

彼はミッドタウンのプライムエリアに美しいタウンハウスを所有しており、私の隣にピタリと座り

「君さえよければここに住んでくれてもいいんだよ」

とささやかれたこともありました。

 

 

このエロじじいのことを考えると、はて彼の言動は女性蔑視になるのかな?

女の人に仕事にかこつけてにじりよったり言い寄ったりするのって、女性蔑視というかセクハラというか、まあセクハラですよね。そして、男性が女性にセクハラをすると、女性蔑視にもつながる?

どうなんだろう?

なんだかよくわからないな。

いや。女好きなだけだよね。女性蔑視じゃないよね。ていうか、むしろ女性礼賛ていうか、とりあえず愛でてる?

エロじじいに手を握られたり髪の毛に触られたりするのはあまり気持ちよくなかったけど、まあかなりなご高齢だったこともあり、さらに言うなら彼からは私を下に見るような蔑視するような感覚は全く伝わってこなかった。

ただただひたすらエロだっただけ。

でも件の『女性蔑視』とされている発言、特に切り取られている部分だけ読むと

「女は言葉だけ多くて会議進行の邪魔になるよねハハハハ」

となり、女性蔑視になってしまう。

まあそれを言うなら、我がリン父だってひどいことをしょっちゅう言ってましたよ。

運転中にドヘタな車を見かけると

「あのヘタクソな運転。絶対女やで!」

とかね。

「お父さんひどいわ!」

と私と母が声を上げると

「いやでもほんまやで。ほれ見てみい!おばはんや!」

と、そりゃもうひどかった。

時が過ぎ、リン母の入院先に毎日二人で通っていた頃も、助手席に座るリン父が

「あのヘタックソな運転!ほれ見てみいおばはんや!」

と相変わらず。自分は運転してないくせに、口だけは達者すぎました。

「いやでもお父さん。あの運転してる女の人、私より若いよ絶対に」

とか

「ちょっとよく見てよ!おじいさんやんあれは!お父さんより若いおじいさん!」

と私が指摘すると

「えへええっ」

と変な声を出して笑っていました。

 

まあ、我が父ごときが車の中で家族に向かって発言する程度のことはどうでもいいことですが、今回の出来事はそんなレベルでの「女だから」的価値観が全然昭和のままそこら中に蔓延しているということが露呈した、ということですかね。

 

いえね。

ニューヨークでも、そう、あのフンフンでさえも一緒に歩いている時にヘエクショーイ!とくしゃみをして、私に

「ティッシュ持ってない?」

と聞くので

「持ってない」

と返事をすると

「なんだよ女のくせにティッシュぐらい持ち歩けよ」

とか言ったものでした。

なんだとっ?自分の鼻水の始末ぐらい自分でしろよ!わたしゃティッシュなんて使わないんだよ!ボケカスタコラッパ!

ですよ。

 

私よりずっと若い日本男子と、私が日本に出発する二日ぐらい前の夜に電話でおしゃべりをしていた時。

「もう荷造り済んだ?」

と聞かれて、

いや、私はいつも出発前日にパッキングするのよね。

と答えたら

「えー女のくせに!ちゃんとしろよ!」

と言われてびっくりしたこともありました。

女だから用意周到で前もって色々準備万端整えるのが当たり前ってこと?

ちゃんとしろって?言ってる意味、わからないんだけど?

「えー。そういう考え方するの、意外だわ。意外に亭主関白タイプ?」

と言うと

俺は男尊女卑じゃない!と逆ギレされましたけどね。

若い男子でもそういう考え方をするのか。と妙に感心したことを覚えています。

 

仕事相手の男性に、電話口で

「あー女性ですかー・・・男性の上司はいないんですか?」

と言われたこともあります。ニューヨークで。大手広告代理店の人に。

あれも衝撃的だった。

よく。本当によくぞああもはっきりと言えたもんだと、逆に拍手をしてあげたくなりました。

個人レベルならこんなこと、日常茶飯事です。

 

 

何れにせよ、世界的に『差別』に対する意識が危険な感じで激しく動いている気がしてなりません。

もうね。リン父をはじめとしてああいう考え方の人って、そりゃ絶対考え方は変わりませんよ。別に軽蔑してるつもりも差別しているつもりもないんですもの。

リン父は女性にとても優しかったし、自分の周りの全ての人を守り、できうる限り与え、愛でるタイプの人でしたが、それでも運転がヘタな車を見ると「女や!」というのが定番のギャグのようになっていましたからね。そんなことを言葉にしてはいけない、という意識はゼロでしたよ。ゼロ。

 

そもそも、性別や人種、肌の色目の色髪の色、性的指向等々。

そういう『違い』をいかなるレベルであっても、何かを語ることがここまで危険な世の中になってくると、もう怖くて誰も何も言えないしできないってことになりませんかね。

人は100人いれば100通り。私は私。あなたはあなた。違っていることが当たり前で、『普通』なんてものがそもそもはなはだ曖昧で存在しているようで存在していない価値観なのだと、皆が同じように認識できればここまでめんどくさいことにはならないんじゃないかと、トランプやMさんにまつわる一連の出来事を見ていると、そう思ってついついため息が出てしまいます。

 

 

↑何が言いたいかだんだんわからなくなってきたので、とりあえずオーチョとチョビピローでごまかしておく。