リン父がリン母と手を繋いでどっかに行っちゃってから、バタバタと慌ただしく様々な手続きをしていましたが、四十九日を終えて一段落・・・。

と思ったら、なぜか毎日のようにお役所から封書が届くんです。

全てリン父の名前プラス「ご遺族様」とか「相続人様」とか書かれていて、住所は今の私の住まい宛です。

開けてみると、市民税とか固定資産税とか県民税とか後期高齢者保険なんとかかんとか、とか、そんなんばっかり。

そしてそのほとんどが「金払え」なんです。

え?

死んだのに?

固定資産税はともかくとして、市民税とか県民税とか?

死人なのに?

 

と思って関係各部署に電話をしてみました。

もうとりあえず日本語は話せるけれど、中身が日本人じゃないなんか変な人なので、最初っから要領を得ないことこの上ありません。

 

「あのーえーと。私のあの、父がですね。この間亡くなりまして」

 

ここまで言うと、必ず相手は

 

「あっ・・・それは・・・」

 

と『お悔やみ申し上げます』的感情を込めた感じで反応してくださいます。

 

「いやあのそれでですね。その亡くなった父宛に市民税とか県民税とかなんか保健?とか、色々と『支払え』と言われているような気がするモノが送られてくるんですが、あっ宛名は私宛で。ちなみに私は竹内玲子という父の娘なんですけどね。もう死んでるのに、日本って市民税とか色々、死んでてもずっとお支払いするシステムになってるんでしょうか?」

 

支離滅裂もいいとこです。

しかも「死んでる死んでる」連発しすぎです。

こんな非常識な人物のわけのわからん電話に対しても、日本のお役所は本当に本当に親切で丁寧でお優しい。

 

「それでは、お父様の記録を少しお調べさせていただきますね。このままお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

 

と朗読劇のように、「お任せください」とか「お客様をお待たせして大変申し訳ない」とか、感情をたっぷりと込めた言葉が流れるように出てきます。

 

「あっお手数おかけして申し訳ありません。よろしくお願いします」

 

こちらも思わず丁寧に(なってるよね?)。

 

ほどなく戻ってきた担当の方。

それはそれは懇切丁寧に、何がどうなってそのような状況になっているのかをじっくりとご説明くださいました。

そして私が

「あーなるほど。今は死んでるけど、死ぬ前の市民税の残りを再計算して請求されているということで、私はそれをコンビニでお支払いすればいいと、こういうことですね?」

と言うと、私があまりにも死んでる死んでる言うからか、担当の方がちょっと言葉に詰まる感じ。

そして

「・・・はい・・・・もう本当に、大変申し訳ございません・・・もしよろしければそのようにしていただけますと、大変助かりますが、それでよろしいでしょうか・・・?」

とそりゃもう心の底から申し訳なさそうーーーーに、多分受話器を握りしめて頭を何度も下げてくださっているにちがいない雰囲気で言ってくださいます。

ですけどね。

アメリカ人な私は、そんな風に言われると

「え?もしよろしければ。とかそれでよろしいでしょうか。ってことは、こちらがそれでよろしくないと異議を唱えると払わなくてよくなるんですか?」

と思ってしまいます。

いわゆるアピールってやつです。

アメリカではなんでもかんでもアピールして、絶対払わなくちゃいけないものでも払わない!と主張して、なんだかんだで主張したもん勝ちになることもしばしばあります。

ついつい私のアメリカ根性が顔を出して「え・・・・?払わなくてもいい場合もあり得るんですか?」と聞きたくなるんです。

 

いや。

 

さすがにそれは聞かないですけどね。

一応日本人なので。

でも、一瞬言葉が出そうになりました。

あー危なかった。