予想外のヒマポの答えに内心「ヒー!」となった私。

自分で言うのもなんですが三十秒以上先のことを考えられないのがデフォルトの人生を送ってきた私は、相手を試すような難題を突きつけただけではなく、多分この時は五分ぐらい先のヒマポの速攻「ノー!」に対してどういう反応をしようか程度のことしか考えていなかったので、一瞬頭の中はパニック。

え?

そ、そうなの?

え?ほんとに?

他の何人いるか知らんけど、女性たちに「レイコとステディに付き合いたいから君とはもう会わない」って言うの?言えるの?マジでできるの?

「そうする」

 

えええええええええええ・・・・・

 

しばし考えたのですが、心の奥の奥ではたとえば万が一本当に一緒に暮らし始めることになったとして、さすがに浮気はしないんじゃないかという甘い考えが浮かばなかったわけではありませんが、今何人の女性とどういうリレーションシップを持っているのかはともかくとして、その全員にわざわざ連絡をして

「ガールフレンドを裏切りたくないから君とは連絡をとらない」

なんてことを言うなんて、彼に絶対できるはずがない、と思っていました。

 

「だから一緒に住むことになったら、キミも僕のことを信じなければいけない。もう浮気の話はぶり返さないで前向きなリレーションシップを僕と築かないといけない」

 

いやお前のそのどの口がそれを言う?

言ってることは至極まともだけれど、お前にだけは言われたくないんですけど。

 

「お前にだけは言われたくないって思ってるだろうけど、でも僕にも覚悟が必要なのと同じように君も覚悟しなければいけないと思う」

 

おお。まるで人の心を読んだような出だしと全体的なその言い草。腹立たしいけれど、これを第三者に言われたら100%納得のお言葉です。

 

うーん・・・

ううううううううーん・・・・

 

いつの間にやら究極の選択を迫られているのが私のような状態になっていました。

このパターン、ヒマポの得意パターンなのです。

明らかにヒマポに非があって始まった喧嘩でも、いつの間にやら本題をすりかえ、あたかも私に非があるかのような理論を展開して自分を正当化し被害者化し、私を煙に巻くこのやり方。

しかも私はこういうことになるとすごくドンくさいので、なんだこの消化不良な感覚は?と首をひねりながらもいつの間にかヒマポが正しい人のような状態で会話が終了し、後になってから『騙された!!』と気がついてさらなるフラストレーションがたまるということが頻繁に発生していました。

それはこの時も同じでした。

いつの間にやらヒマポ主導の会話に転換されてしまい、私こそが覚悟を決めて新しい生活に臨むかどうかを決めなければならないかのような雰囲気になってしまいました。

「わ、わかった・・・じゃあ努力する」

と返事をしてしまい、翌朝、起きた瞬間に

「あれっ?なんか私、彼と一緒に住む話になってしまった?しかも、彼のほうがあれこれと反省したり過ちを修正する立場だったはずなのに、その辺はうやむやになってない?」

と気がつき、モヤモヤモヤモヤと胸に黒雲が広がりはじめました。

 

<なぜにこんなに騙されやすいのだ。ひょっとしてバカ丸出しなのは私の方? しかもヒマポの大暴れがまだ先に待っている・・・待て、次号!>