ポール様のライブは本当に最高でした。
私の場合、小学生の頃兄の影響でビートルズを聴き始め一気に大ファンになったので、今となってはもうファンという領域を超えてもう神です。神。ポール神。
人生の困難な時期に合わせるかのようにポール様のライブがやってきて、何度心救われたことか。
ボストンで見たポール様は、鮮やかなネイビーのスタンドカラージャケットを着こみ、年は取っているけれど纏う雰囲気は気品溢れる少年のようでした。
彼がステージに登場した瞬間、人々の感動の声が波のように押し寄せ、スタンドは異様な興奮と熱気に包まれます。自分という存在がそんなにも人々の心に感動を与えるなんて、どんな気分なのかな。ポール様はずっとずっとこんな感動に晒され続けてきたんだなあと思うと、ドラッグはやらない、アルコールもほどほど、ベジタリアンで健康で長生きで、まともな人間に成長できたのは奇跡かも?と思うほど。こういう存在であり続けるって、どんな気分なんだろう。
色々考えているうちにも、ポール様(当時御歳68ぐらいかな?)のパワフルなステージがどんどん展開していきます。
それまでのストレスや悲しみを思い切り発散しようと思っていたけれど、あまりにも嬉しすぎて声も出せないほどでした。
全てが終わったのは実に3時間半後。
見ている観客たちは興奮のあまりヘロヘロ。特にアリーナ席はオールスタンドアップだったので、ヘロヘロのヘロヘロ。でも、ポール様はオールスタンドアップどころか、3時間半ずっとプレイしシャウトし動き続けていたのだから、体力半端ありません。
ああ。
たかが恋愛で。たかが男の一人のことでクタクタのヨレヨレになっている場合じゃない。
世の中はこんなにポジティブなエナジーと喜びで溢れているのに、私は一体何をしていたのだ。
嬉しくても悲しくても、生きているという実感に満ちていれば良い。でも、どす黒い怒りとストレスにまみれ、生きているのに死んでいるような無駄な時間を過ごしている暇は1秒だってなかった。
私がどんな風に考えてどんな風に1日を過ごそうと、ヒマポの人生には何ら関わりがないことだったのに、私は何を考えて彼の一挙手一投足に左右されていたのか。しかも、超スーパーウルトラくだらない理由にもならない理由で激怒する男を、なぜに一人前の人間のように相手にして一喜一憂していたのか。
もう2度と、恋に泣かない。
まるで女帝エカテリーナか風と共に去りぬのスカーレット・オハラのように、拳を握りしめ、空に向かって誓いました。
ニューヨークにやってきて味わった様々な苦労は、こんなことに耐えるために乗り越えてきたわけじゃない。
何があっても、自分の人生は自分だけが左右するべきだ。
そして、興奮した観客たちの波に乗って夜道を歩きながら、私は一つの決心をしました。
<何をまたくだらないことを決心したのか。いやでも当時の私は超スーパー真剣だったのよ。待て次号!>