先の天皇陛下の退位のお言葉を聞いて、なんだかちょっと涙が出そうになりました。
特に最後の「わが国と世界の安寧を」というお言葉が素晴らしかったなあ。
そして、私の人生中ずーっとずっと皇太子殿下だった人が『天皇陛下』として登場する姿を見て、またもやなんだか涙が。
ああ私ってやっぱり昭和の日本国民なのだわ、と思いました。
そして、一緒にライブストリーミングを見ていたポールが
「え。これが新しいエンペラー?髪型変じゃない?これが最近のトレンド?どうして彼はこんな髪型を選んだのだ?この後ろの女性がワイフか?何歳?名前は?子供は?」とごちゃごちゃごちゃごちゃ本当にうるさくて、顔面パンチしたろかと思いました。
ということで、新時代に入った初日に地獄のなれそめを書くのはやっぱり気が引けるので、今日は最近のリン父をご紹介させていただきます。
介護棟に移ってからしばらくの間は環境に慣れるのに時間がかかり、私とポールがいないと人生終わりみたいな気持ちでいたようですが、ようやく快適で安全でそれなりに楽しく日々を過ごせるようになってくれたようです。
ただ年齢なりのボケが日々進行していて、最近は車椅子オンリーの生活。そして右半身がほとんど動かなくなり、言語中枢もなんらかの不具合が出てきたようで、情報のインプットはほぼ完璧にできているようなのに(つまりちゃんと集中すればこちらの言っていることは全て理解し判断もできる)、言葉にしてアウトプットすることが大変困難であるという状態になってきました。
こちらが辛抱強く待っていると、かなり長い時間をかけて自分の言いたいことを伝えることができるのですが、畳み掛けるように質問を繰り返すと混乱して何もいえなくなってしまう様子です。
ということで、電話で話をするというのがお互いにとてもハードルが高い状況なのですが、しばらくぶりに電話をかけた時に、「じゃあまたね」と切ろうとすると「さ!!」とデカ声で引き止められました。
「え。さ?」
「再々!!!」
「?え?」
「再々してもらいたい!」
・・・・・・うー。もしかしてそれは、もっと頻繁に電話をかけてもらいたいということか?
「そうや!」
あーごめん。ごめんね。電話をかけるとストレスが増えるかと思って控えていたんだけど、そっか。もっと電話した方がいいのね。ごめんね。じゃあ明日も電話するね。
と電話を切りました。
それから、よほど私が疲れていて早寝をしたとかいう事情がない限り、毎日か一日置きに電話をするようにしているのですが、やっぱり会話がなかなか成立しません。
先日の会話なんてもう、むちゃくちゃ。
「おとうさーん」
「はい!」
「玲子よ」
「なんや!」
なんや!てああた。
「玲子ですけど・・・」
「あー?玲子?」
「はい」
ちなみにこのセリフ全て鼓膜が破れるかと思うぐらいのデカ声です。
「はあ〜〜〜!!」
めちゃデカ声でため息までつかれた!
「元気?」
「 」
果てしない沈黙。
「お父さん?」
「 」
「おーい」
「 」
「もしもーし!」
「もしもし!!」
もしもしだけ異様にリアクションが素早いな!
「元気?」
「 」
また沈黙!!長考!
「あのう・・・」
父の背後では、何かのアクティビティなのか『鯉のぼり』の歌が大音量で流れています。
このせいで聞こえにくいのか、あるいは気が散っているのか?
「お父さん。声が聞こえにくいでしょ。また明日電話かけ直そうか?」
「 」
めちゃ黙っているのは同意しているのか何なのか?
「もしもー・・・」
「いらかの波!!!!!!!!!!!」
うわっ!な、何っ?
「え?何?なんて?」
「 」
まただんまりか!
「ちょ、ちょっとお父さん、今なんて言った?も、もしかして、いら・・・いらかの波って?言った?」
「 」
なんとか言ってーーーー!!!
「お父さん?」
「いらかの波!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
リン父、BGMの『鯉のぼり』に気を取られ、自分が言おうとしたこととごっちゃになってしまった模様。
それにしても、鼓膜が破れるかと思ったわ・・・。