いつも元気でいつもハッピーな印象のリース。

声も喋り方も相変わらずとても元気だったけれど、この時の電話の内容には本当にびっくりしました。

 

「あ、あの・・・。う浮気って・・・」

「オンラインのデートサイト、知ってるよね。僕も独身時代にやってたああいうやつ」

知ってる・・・。リースの最高にイケメン(だと自分で思っている)なプロフィール写真、覚えてるよ・・。

プロフィール読んだら、「僕のパートナーになる女性は、黒髪でエキゾチックで細身、洋服のサイズは0か2まで。頭が良くてユーモアのセンスがあって、いつも明るく料理が上手な人でなければならない」的なお前何様な内容で、ドン引きしたよ。

 

「ベイビーの世話も放棄して、ずっとパソコンに張り付いてデートサイトで知り合った若い男と浮気をしていたんだ」

「ええええええ・・・・・ど、どうしてそのことがリースにバレたの?自分から告白した?」

「決まってるじゃないか。彼女のパソコンの履歴とメールを見たんだよ」

 

うっわー。めっちゃ堂々としすぎてて、なんか感動すらおぼえるよ・・・。

「当たり前だよレイコ。妻が怪しい行動をしていたら、メールをチェックするなんて当たり前だー!」

 

そ、そうですか。はい・・・なんか・・・ありがとう。

ちょっとだけ、勇気が出てきたよ・・・。

 

「チャットやメールのやり取りで日夜明け暮れていたみたいで、僕が疲れて帰宅しても知らん顔をして、そんなことを続けていたんだ!」

ううー。気持ち、わかるよ。痛いほどわかるよ。。。しかもあれだよね。。。セクシーなお洋服も着てもらえず、あまつさえ鼻の先でせせら笑われて浮気されてたなんて、いばりん坊のリースのプライドがどれだけ傷ついたことか。。。

その後20分ぐらいまくし立てまくった後、ふと気づいたようにリースが私に聞きました。

「ところでレイコはどうしてる?あの頭が狂ったボーイフレンドとまだ続いてるの?」

そうそう。

ヒマポとリースも2度ほど顔を合わせたことがあるし、リースには道端で出くわした時に「ヒマポって頭おかしいんだよ」という話をちらっとしたことがあったんだった。

 

「いやーそれがねえ・・・実はあの男もデートサイトで浮気しまくってたし、他の複数の女性と旅行に行ったり、色々あったことが最近わかって・・・」

 

えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!

と今度はリースが絶叫する番でした。

「本当に!?なんて偶然なんだオマイガッ!」

 

オマイガはいいけど、よく考えたらあんたの方がよっぽど深刻なんじゃ。

だって結婚してるし子供いるし嫁は子供をネグレクトしてるし。

 

「そう!そうなんだよレイコ!君はまだラッキーだよ!そんな男と結婚してしまう前に全てが明らかになって!」

 

そうだよねえ。

確かにそうだよねえ。

今はうっかり結婚しちゃってるけど、あの時は本当にそう思ったよ。

 

しかしリースよ。よくぞそんなことを私に報告してきたねえ。

プライド高くてそんなこと人に言わないと思ってたよ・・・。

「妻が僕とのエッチを体調を理由に拒み続けて、『あなたにはハッピーでいてもらいたいからエッチだけの相手を他に探してもいいわよ』って言った時の事覚えてる?」

あーーーあったあったそういうこと。だいぶん前だけどリースがニッコニコ笑顔で言うから、ジョークなのか何なのかわからなかったけど、

「ひいえーーそんなこと言うなんて、大丈夫なのかなあ。奥さん、他に好きな人がいるとかじゃないよね?」

って心配したこと、思い出したよ。

その時リースはザッツオッケー!って笑ってたよね・・・。

 

「君は正しかった!というか、周りの友人たちはみんな正しかったんだー!あれはサインだったんだっっっ!!」

 

サインだったんだっ!てああた。

私も人のことを言えた義理じゃないけど、能天気にもほどが・・・

確かその時、そんなことを言われた挙句に、奥さんの専属ヘアスタイリスト(これがまたラテン系。アメリカ人本当に好きだなラテン系女子!!)をお相手として斡旋されたとか言ってなかったっけ?

 

「そうそう!よく覚えてるねっっ。でも僕は彼女とは寝なかったよっ!僕は結婚したら絶対に浮気はしないんだ!」

 

めちゃドヤ顔で言ってるのが目に見えるようですが、言ってる内容がすでに地獄だということに彼は気づいているのだろうか。

 

年若い妻の両親を呼び出し、事の次第を報告して妻は一旦実家に帰らせたとか、赤ん坊は自分が働きながら面倒を見ているとか、事態は相当深刻そうだったけれど、あまりにも彼の声が明るいので深刻さが今ひとつ伝わってこない感じ。

根が明るいとこういう感じになるのかな。

ということは、私もヒマポのプロフィールを書き換えたりメールハッキングとか変なことばっかりしてるから、他人にはあんまり深刻そうに伝わらないのかな。

 

リースの話の隙をついてヒマポのワールドワイドなデートサイト浮気の話をすると

「オー。僕の場合妻の相手は多分一人だけだし、彼は他所の州に住んでいる男だから、ワールドワイドならぬネーションワイドな浮気だなあハハハハ」

リースよ。その冗談は、なんかあんまり笑えないぞ。

 

そうして電話は一時間半にも及び、私の話なんざロクに聞いてもらえませんでしたが、最後の最後にリースが言いました。

 

「でもねえレイコ。君の彼も僕の妻もだけど、この先僕たちがどんな結論を出すかはわからないけれど、彼らだけじゃない、誰が相手でもどんな人であっても、24時間ずっと見張り続けるなんて絶対無理なんだよ・・・」

 

100年に一度ぐらいはいいこと言うなリース。

私もそう思うよ・・・。

 

<リースに言われた言葉がきっかけで、とある考えが私に浮かびましたが、それがまた地獄を呼ぶことになるとは誰が予想できたであろうか・・・待て次号!>