スペイン語のメールを翻訳にかけると、その中身は情熱的なラブレターでした。
相手はもちろん我らが熟女キラーヒマポ。
タイトルがスペイン語だったのになぜ私の目をひいたのか。本文を読みながら改めて気づいたのですが、そこにはスペイン語読みのヒマポの名前が記されていたのです。
「あなただって(←ココ、ポイント)とてもスペシャルだわ。どんなに遠く離れていても、私たちの絆は永遠よ。休みがとれたらニューヨークに会いに行くわ。あなたもハリファックスまで来てちょうだい」
的なラブレターです。ものすごく長くて情熱的で、読んでいるこっちがめちゃ恥ずかしくなる内容でした。
「あなた『も』素晴らしい。あなた『も』スペシャル」
↑このフレーズが5回ぐらい出て来たんですけど、てことはお前(←ヒマポ)が先に「キミは素晴らしい君はスペシャル」って言いまくったってわけよね?
ええええええ〜〜〜・・・
あれだけいろんな女性とニューヨーク現地で付き合いまくってるだけじゃ足りずに、旅先でも?
そうなの?
マジで?
ちょっと。
本当にいい加減にしてくれませんか。
何をしたか知らんけど。
この人と遠距離恋愛みたいに付き合ってるのか、あるいは旅先の一夜限りのアバンチュールだったのか。
何がなんだか知らんけど。
もうそんなこたどうでもいいけど。
何なんですかああたは。
こういっちゃ本当に失礼なんですけど、本当に本当にごめんだけど、なぜこの超ウルトラおばさんと?
一体何を考えて、彼女をピックアップしたのか?
どういう経緯だったのか?
他にいなかったのか?
と、ドヤ顔水着姿の女性の写真を見ながら、頭の中でギャー!
なぜ。なぜ。なぜなぜなぜなぜなぜ。
いくらなんでも、もうちょっと相手を選んだ方が・・・・いやそういう問題じゃないけど。何も知らない赤の他人に向かって失礼千万だけど、でも、いくらなんでもああた・・・。
ていうか、何なんだよお前は。
焦点がずれた疑問が脳内を駆け巡り、真剣に「これはヤバいかも・・・」と思い始めました。
何がヤバイって、ヒマポの行状なんてとっくのとうにヤバかったけど、事ここに至るまで心の中でちょっとだけ面白がったりちょっとだけ何事かを期待したりしていた自分が、めちゃヤバい状態に突入しはじめたことを感じたのです。
そう。
この時、私が死ぬほど葛藤したのは
「ヒマポのメールをハッキングしてやろうか・・・」
でした。
くだらないデートサイトのアカウントハッキングや預かったパソコンの中身を暴いたことは、ある意味不可抗力的だったけれど、メールをハッキングするのは本当にヤバイと思って自分を戒めていたんです。
それにですね。
大体そんなもん、ロクでもないものしか出てこないに決まってるんだから、自分がこれ以上傷つかないためにもそれだけはやめておこうと思っていたんです。
けれど、彼女からヒマポに送ったはずのメールが私のところに届いた時点で、これは神の采配か?と思いました。
ヒマポからのスペイン語のメールは、彼女宛に送ったものがホテルのPCのヴィルスか何か知らんけど私のところに届いてしまったことといい、彼女からヒマポ宛のメールが私に届いたことといい、絶対におかしい。だって宛名は明らかにヒマポになってるのに。
神様が
「これ・・聞こえますか・・そこのアホな犬女よ・・・もういい加減に目を覚ましなさい・・・聞こえますか・・・」
と、ハリファックスからのラブレターを私に送ってくださったのかもしれない。
そういえば、前に見た日本語のテレビ番組で男性俳優が言ってました。
「バチが当たるってあるんですよね。浮気相手にテキストメッセージを送ったら、それがなぜか嫁さんのところに行っちゃって、浮気がバレて死ぬほど怒られました。何回見直しても、ちゃんと浮気相手のアドレスになってるのに、なんで嫁さんのところに行ったのか、いまだにわかりません」
って。
そういうこと、本当にあるんですよ。多分。
でも、当時の私はそんなことを考える余裕などなし。
ハリファックスのおばさんメールを見ながら、心のタガが外れる音が聞こえて来ました。
<どうなるんだこの先。ていうか、本当にいつまで続くのこの地獄。待て次号!>