オーチョ。スペイン語で8です。そして、ポールの消防署で、「その名前で呼ぶな!」と涙目になって抗議しても聞き入れてもらえず、リタイアするまで『オーチョオーチョやーいやーいオーチョ』と呼ばれ続けた気の毒なジェリー・スウィニーさんのあだ名でもありました。
わたしゃ彼のあだ名は消防士のID番号(メダリオン)が8だからオーチョなんだと思い込んでいたのですが、実はそういうわけではなく、8番目のシニアファイアマン(一般現役消防士の中で一番偉いのがシニアマン)だからオーチョと呼ばれていたらしいです。
そんなオーチョさんは、心身ともに調子を崩しポール(マッカートニーじゃない方)よりも一年ほど早く引退してしまいました。みんながオーチョオーチョ言っていじめたからじゃないのか?と密かに思っていますが、いじめっこのポールは悪びれもせず『あいつはもともと根性が腐ってるからいじめられたぐらいでちょうどいいんだ』と言い放っていました。
つまり非マッカートニーはオーチョのことをあまり好きじゃなかったはず、なんです、が。
前々回、私が一人で父のマンションに泊まり込み、入院中の父のお見舞いに日参していた時、あまりにも心細くなってきて思わず購入した抱き枕。
これが
↑コレ。
今はクローズしてしまった三宮駅前オーパの地下にあった、ヴィレッジバンガードで衝動買いし、毎日抱きしめて寝ていました。
モチモチでフニュフニュで、すっごくすっごく抱き心地が良くて超オキニだったのですが、今回の日本滞在中に非マッカートニーが「枕が足りない。ボディーピローがないと困る」と文句を言い、なんと備え付け家具のカウチの背もたれを引きずり出して抱き枕がわりにしようとしはじめたんです。
ギエー!やめてよ!そんなことしてカウチが汚れたら、弁償だよ!それに不衛生だよ!絶対やめて!!!
と怒ったら、「別にいいじゃないか!」と逆ギレ。
しばらくあれこれと言い争ったのですが、あーもう仕方ない!
私の秘蔵の抱き枕を特別に貸してあげるから、これでなんとかして!
とハスキー抱き枕を手渡すと
「・・・・これは女子供が使うものだ」
いいから!
女子供でもなんでも、誰も見てないから!
つべこべ言わずにとっととこれ抱いて寝ろ!!!
しばし抱き枕を見つめた後、
「この泣きそうな顔は、オーチョにそっくりだ・・・」
オーチョ!って、あの、消防署の?あのオーチョ?
「そう。顔がそっくりだ」
なんでもいいけど、とにかく今夜はそれを抱いて寝てくれ。そんでもって明日別の抱き枕を買いに行こう。
とカウチの背もたれを元に戻しながら言うと、
「いやだ!オーチョを抱いて寝るのなんて絶対いやだ!」
と言い出しました。
真剣に正面からグーパンチしたろか!!!と思ったら、殺気を感じたらしい非マッカートニー。プツと黙ってそのままシャワーに入りました。
そして翌朝。
隣で寝ている非マ(←めんどくさすぎてついにここまで短縮)の腕の中にはオーチョが。
ギュウと抱きしめられた悲しい顔のオーチョが。
↑オーチョ。
そして、この日から私の大切なハスキー抱き枕は非マのものとなってしまい、名前もオーチョとなりました。
挙げ句の果てに、『オーチ』という愛称までつけて愛でている非マ。
ニューヨークに戻ってからも、時々
「オーチはストレージで寂しくしているかな」
と呟くことがあります。
誰だよ。これは女子供の持ち物だ、とか言ったのは。