結局、暗闇の山中で携帯が何度も切れ、再びじゃかじゃかじゃんじゃかとかかってくる・・・というのを都合七回も繰り返し(宿坊の人、辛抱強いな!)、天神さんを通り過ぎたのかどうかわからんし、右に曲がったは曲がったけど、きっつい坂道はそれまでも同じことだったので、そこまできっつい坂道だったのかどうかもわかりませんが、とにかく必死のパッチで運転して(マッカートニーじゃない人が)、ようやく突然街中に出ました。
明るいとは言えないまでも、街灯の灯に照らされた通りと人の気配に涙が出るほど安心しました。
ああ・・・
やっと町に出た・・・
人が。人が歩いてるよ・・・。
メインストリートを走ると、ほどなく右手に私たちが予約した宿坊が見えてきました。
その名は『赤◯院』。
広い露天駐車場が入り口横にあり、左手奥には仁王様みたいな感じの人たちが二体睨みを利かせているのが見えました。
「コンビニに行かなければ!」
お腹をすかせて極端に機嫌が悪くなっているマッカートニーじゃない人がわめく。うるさい。
携帯マップでコンビニを探すと、宿坊の男性が教えてくれたのとは真逆の方向にファミリーマートがあることがわかり、そちらに向かいました。
ファミマの中は外国人観光客でいっぱい。
サンドイッチもおにぎりも、後少しで売り切れそうな勢いでした。
大急ぎでドリンク類とサンドイッチを買い込み、そのまま宿坊まで車で戻りました。
宿坊に到着すると、めっちゃくちゃ散らかりまくった奥のこたつ部屋(Officeと書いてあった)にお坊様とご住職様が暖かそうに座っておられ、ご住職さまが顔を出してくれました。
「ああー。思ってたよりはよう着かれましたなあ。大変でしたな。コンビニ、わかりましたか?ああわかった?言うたところにありましたでしょ?(←なかったけど)そんならもうお部屋にご案内しますから、どうぞごゆっくり。そうそう。お風呂は8時でおしまいですけど、入りはる?あ?入る?そんならもうちょっと開けておきますから、あつーいお湯に浸かってまあゆっくりしてください」
柔らかくてのんびりした和歌山弁に癒される・・・和歌山弁というか、関西弁ですよね。
若いお坊様がご案内してくださったのは、新館二階にある一室。
もちろん畳部屋で、バストイレ付き。
障子窓を開けると、大変美しい中庭が見渡せました。
雪がうっすらとつもった静かな中庭は、まるでタイムマシーンから見る景色のよう。物音一つせず、ただただ静寂の世界です。
宿坊の館内は、死ぬほど寒かった。
真冬の寒さ。
でも、お部屋はガンガンに暖房が聞いていてこたつもポカポカ。
お坊様がわたしてくださったオレンジ色の館内着に着替え、早速二人でお風呂に向かいました。
大浴場はすでにクローズしていましたが、小さい内風呂は私たちのために電気をつけてくださっており、もちろん貸切。
お部屋のお風呂に入ってもよかったんですが、ご住職様の「あつーいお風呂でゆっくりしはったら」というお言葉が魅力的で、温泉気分で飛び込みました。
お風呂のふたが半分しまったままの浴槽に?と首をひねりながら、蛇口のお湯でざぶんざぶんと掛け湯をして、いそいそと湯船にドブーン!速攻ギャー!!!!ギャーーーーーーー!!!ギャアアアアアアア!!!!!!
死に物狂いで飛び出ました。
あっつーいお湯ってあっつーいお湯ってご住職様!!!熱湯のこと!?やけど湯???
死ぬよ!!!
こんな熱いお湯!!死ぬって!!修行???修行の一環????
しかも、今飛び出したばかりの浴槽に目を凝らすと、なんか・・・なんか・・・色々浮かんでるんですけど・・・
ご、ゴミ?とか?髪の毛とか?が、なんか・・・ほぼ表面を覆い尽くしていると言っても過言ではないほどに・・・。
<うう。思い出してもゾゾゾゾゾ・・・あれはイカンわ・・・>