十津川村役場前で一旦停車し、マッカートニーじゃない人がアホな理由で選んだ宿坊に電話をしました。

「はいもしもし」

年配の男性です。ご住職様かしら。

「今日一泊で予約をしている竹内と申しますが、今十津川村役場のあたりなんですけど、高野山は雪かもしれないからお宿に訊いてみた方がいい、と言われてお電話しました」

こうやって書いてみると無茶苦茶な日本語です。

 

「えーと。竹内さん。。。いや。今日は予約いただいてませんよ」

え・・・

「竹内さん?竹島さんという方なら明後日予約いただいてますけど」

そんなこと言われても。

そしてプチパニック。

「えっえっ。あのホテルズドットコムというサイトから予約したんですけど」

「ブッキングドットコム?」

「じゃなくてホテルズドットコム」

「ブッキングドットコムならよく予約もらうけどねえ」

そ、そうかもしれないけど、でも私はホテルズドットコムを使ったんですよ・・・。

「いや、ホテルズドットコムです・・・」

「え?ホテル?ふーん・・・でも予約いただいてませんねえ」

雪かどうかの前に予約が入ってない・・・お金も先払いしてるのに・・・?

「お支払いしはった?」

「はいしました」

「あーそうですか。まあとにかくお部屋はありますけどね。今から?え?今どちらで?」

「十津川村役場のあたりです」

「え・・・・十津川村役場・・・今からこっち来はる?」

この時点で、かなり本気で行きたくなくなってきました。となりのマッカートニーじゃない人も、相当イライラしています。

「はい・・・」

「あー・・・そう・・・まあじゃあ気をつけて」

いや。

いやいやいやいやいやそうじゃなくて!

「あのっ。でもそれで、あの、予約は大丈夫なんでしょうか?」

「はいはい。お部屋確保しておきます。じゃあはいはい」

ブツ。

切れました。

マッカートニーじゃない人に事の次第を説明すると

「おまいが!だったら今から高野山に行かずに、途中の温泉宿に泊まっても良かったじゃないか!」

高野山に行くって言い出したのはてめえのくせに、いつの間にか「なぜそんなところに行かなくちゃいけない」風口調になっている。

 

とにかく急ごう!

ひた走る道はこの時点ではまだ舗装されていて、対抗車両が行き交っても大丈夫な道幅でしたが、山が深くなるにつれ、どんどん怪しい雰囲気が色濃くなってきました。

途中、カーブを曲がった瞬間に細長い滝が眼前に登場し、わー!と二人で感嘆の声を上げたりしていたのはまだ周囲がほの明るかったから。

だがしかし、山道を走り続けているうちに周囲はあっという間に真っ暗に。そして最悪なことに雪がちらほらひらひら。

不幸中の幸いは、後にも先にもその道を走っているのは私たちの車だけだったことでしょうか。

そりゃあ真っ暗闇で怖くて心細かったですが、対抗車両なんか来た日にゃもう最悪ですよ。どうしようもこうしようもないですよ。

「うー雪だー」マッカートニーじゃない人がうなりながら片手運転をしています。

ちょっとああた。

こんなに細くて険しくてグルグルカーブつづきで真っ暗で雪の山道なのに、どうして片手運転?

急カーブにさしかかるとさすがに両手でハンドルを握りますが、すぐにまた片手運転に戻ってしまいます。ハラハラして見ていると、道はさらにどんどんどんんどんんどんどどどどどどんどんどんどん細く険しく、そしてついに雪が積もって真っ白に。

もちろん山道なので、基本坂道です。

そして、助手席側は真っ暗な山肌が迫り、運転席側は地獄に通じてるのかもと思えるほど真っ暗な崖下が口を開けて待ち構えています。

怖い。

マジで怖い。

「だ大丈夫・・・?」

あまりに怖くて前方から目をそらせず、まっすぐ前を見ながらマッカートニーじゃない人に話しかけると

「アイドントノー」

アイドンノーてああた。

真っ暗な山道。

もう自分たちがどこに向かって何を目指しているのか、全然わからなくなってきた頃、突如手の中の携帯がジャジャジャジャカジャーン!!

 

ひいいいいいいいい!!!

二人で叫びながら電話をとると・・・

 

<続きは明後日・・・だって明日はフライトなんですもの>