あーなんかすみません。

仰々しい予告してしまいましたが、大したことないかも。

でも、私とお友達はマジでビビりました。

 

デザートはあるのにコーヒーがないピッツェリアはLibretto's Pizzeriaというお店です。

激辛パスタはShrimp Fra Diavoloという名前でした。お値段は$16.95。場末のピッツェリアのくせに、よく考えたら結構いいお値段だわ。

ご注文の際はアルデンテを呪文のように繰り返さないと、グダグダの麺が出て来る可能性大です。

 

さて、食後のコーヒーを、とお店を出たものの、この近辺にはあまりカフェっぽいものはありません。基本的にビジネス街&住宅街なので、スターバックスも早めに店じまいしてしまうんです。

しょうがないねえ。じゃあここにしようか。

と入ったのはピッツェリアのすぐお隣。Sarge'sというダイナーです。

1964年オープンの古いダイナーで、確か数年前に火事で店内が全焼したと思うんですが、再オープンしてから行ってみたらソファもテーブルもステンドグラスみたいなランプも、何もかも元のままでした。

もちろんリニューアルしていたので全て新品ですが、何一つデザイン変更せずに元どおりに再現していました。オーナーのこだわりなのかもしれませんし、こういう古いスタイルのダイナーはニューヨークでも珍しくなっているので、希少価値。

 

さて。

お店に入るとものすごーく年配だけど頭のてっぺんでチョンチョコリンをつけている髪型のウェイトレスさんが、わりと愛想よくハーイと声をかけてくれました。

そして「ツー?(二人?)」と聞きながら大きなブース席を指差して手招きしてくれました。

「ツーなんだけどコーヒーだけでもいい?」

とテーブルに近寄りながら聞き返すと、急転直下どえらい不機嫌な形相に。

そして むうううううっとしばらく押し黙りました。

気まずい沈黙。

そしてギロリと睨んでから「コーヒーオンリー?」と聞き返すんです。

「イエス・・・」

めちゃ不満げです。

超不機嫌です。

いやーな間の後、「オーケー」と嫌々丸出しの態度で小さいテーブルを指差して

「コーヒーだけならあっちに座って」

 

ヒェーひどい!

二人でささやき合いながら、おばさんウェイトレスが不機嫌に立ち去った後、いいよね、とうなずき合って大きいテーブルに座りました。

だってガラすきだったし。

 

程なくメニューを二つ持ってきたおばさん。

バサーっとメニューを放り投げて黙って立ち去りました。

うう。

怖い。

 

ビクビクしながら二人でドリンクメニューを見ると、普通のコーヒー以外に面白そうな品が目に入りました。

Ice Cream ShakeとLegendary Egg Cream

です。

アイスクリームシェイクはまあアイスクリームシェイクですが、レジェンダリーエッグクリーム!

こ、これは!?

と友達と色めき立ちましたよ。

どんな飲み物だろう??

わたしゃもう、すぐに注文したくなりましたけど、お友達はどうかしら?

なにせ彼女とは会うのが三度目で、二人でお食事するのは初めてです。

私の変人ぶりを知らない彼女がドン引きしたらどうしよう。

と思ったけれど、ゲラゲラ笑いながら

「やっぱこれ注文するしかないでしょう」

彼女、ノリが良かった!嬉しい!

 

おばさんに手を振って合図をすると、やってきたおばさん。

「なに?」

 

なに?ってああた。

ダイナーでお客が呼んだら、それは注文したいって意味以外に何が。

 

「えっと、アイスクリームシェイクとレジェンダリーエッグクリームをください」

 

「アイスクリームシェイク??そんなものない!」

 

えええ?

まさか売り切れ??

慌ててメニューを手元に引き寄せると、おばさんがグワッとそれを奪い取り、アイスクリームシェイクとはっきり書かれているところを指差しながら

「ない!」

 

意味がわからないんですけど。

 

「これはアイスクリームシェイクではない!そんなもの、うちには置いていない!」

 

怒っています。

なんか知らんけどめちゃ怒ってます。

 

「ええと・・じゃあ・・・」

友達と顔を見合わせながら違うものをオーダーしようとすると

 

「これは違う!アイスクリームシェイクじゃなくて、ミルクシェイク!!」

「あー。アイスクリームシェイクじゃなくてミルクシェイク・・」

「アイスクリームシェイクなんてない!!」

 

わかりました。

わかったから怒らないで。

 

「あの、じゃあ、そのミルクシェイクを・・・」

「はあ?」

「いえですからその、今あなたが説明してくれたミルクシェイクとエッグクリームをください・・・」

「バニラかチョコかどっち」

「えーと。えーと」

私が口ごもっていると、お友達が

「エッグクリームってどんな飲み物ですか?」と質問しかけましたが・・・

「はあ?あなたの質問が私には全然理解できない。何が言いたいわけ?」

とおばさんさらに激オコ。

あまりに態度がヒドすぎて、むしろ清々しい。

そして当然のような顔つきで彼女の質問を完全無視です。

「チョコかバニラ、どっちがおすすめですかね・・・?」

「知らない」

知らないってああた・・・。

「じゃあミルクシェイクはバニラで、エッグクリームは・・・」

言いかけると、

「これはデザートじゃない!わかってるの!」

とさらに激オコなおばさん。

わかってますわかってますから好きなものを注文させてくださいお願いします。

「わかってる!?これは飲み物であってデザートじゃないって言ってるのよ!」

「はいはいわかってます」

適当に流すとさらにおばさん激オコ。

「わかってるの?本当に!これは飲み物!!」

じゃかましいわ!

とキレるなんて想像もできないぐらいビビりまくりました。

だって見た目もめちゃくちゃ怖いんですものおばさん・・・。

「あ。はあ。じゃあ、まあそういうことで、エッグクリームはチョコで・・・」

「ミルクシェイクは!?」

「バニラで・・・」

 

↑お店の雰囲気はまあまあいいんですけどね・・・。

 

ものも言わず、メニューを奪って立ち去りましたよおばさん。

ああおそろしかった・・・。

 

程なく出てきたエッグクリームは、炭酸水とチョコシロップとミルクを混ぜた摩訶不思議な飲み物でした。

なんとブルックリンが発祥の地らしいのですが、なぜエッグもクリームも入っていないのにエッグクリームと名付けられたのかは永遠のテーマであり謎なんだそうです。

最近エッグクリームを出すお店が激減しているらしく、そういう意味でも、またおばさんのおそろしさでも、このダイナーはものすごく貴重な存在。

ちなみにミルクシェイクは溶けたバニラアイスクリームでした。

 

↑左がチョコ味のエッグクリーム。右が溶けたアイスクリーム。

 

二人で二種類の飲み物をシェアしたかったので、ストローがあと二本欲しかったんですが、おばさんにお願いするのがおそろしくておそろしくて、二人でビビりながら別のウェイトレスを手招き。

なのに、そのウェイトレスは「そこは私の担当テーブルじゃないわよーん」とばかりに激おこおばさんを呼び寄せてしまい、また死ぬほどおそろしい思いをするハメに。

激おこの表情でガッガッと近寄ってくるおばさん。

「なに?」

「あのーあのー、ストローをあと二本ください・・・」

「ストロー??二本??」

「・・・すみません・・・」

激おこおばさん、ストローを投げてよこしました。

 

ひいー。ヒドすぎる。

ストローを拾い集めました。あまりの態度にゲラゲラ笑いながら。

いやーひどかった。

あまりにヒドすぎて、また行きたい。

 

お会計の時、チップをはずまないと殺されるかも、と思いましたが、激おこおばさんは帰宅した後だったようで、別のウェイトレスがチェックを持ってきてくれて死ぬほどホッとしました。

Sarge's。

こわい。

まじ、こわい。