二日続けて人間じゃない早起き(私にとって)をしたせいか、ここ二日間使い物にならない状態でした。

とはいえ、リン父のところに行かないわけにはいきません。

ズルズルズルリとベッドから這うように出て、まずは濃くて熱いミルクティー。

グビグビとお茶をいただき、ちょっと目が覚めてきたところでパンを焼き、モソモソと食べてからシャワー。

ヌローンとした状態で身支度を整え、ノソノソーっとお出かけです。

リン父は午後のコーヒーを楽しみにしているので、ホット水筒にコーヒーを詰め、ミニミニミルクも持参しています。

リン父はリハビリが一日二度あり、その間に食事や入浴がありますので、ド暇で私を待ちかねているという状態ではありませんが、色々仕事をこなしたらできるだけ長くリン父に会いに行くようにしています。

 

で、運転免許試験場ですけどね。

この日は結局一日仕事となり、リン父に会いに行くことはできませんでした。

外国免許を日本の免許に書き換える手続きは、午前9時半からの受付。

9時23分に到着した私は三番目でした。

一番目は年配のアジア系男性。二番目は若い中国人カップル。そして、私のすぐ後に来たのはカナダ人のヒゲモジャ男性。そのあとはドイツ人の若い女性。

結構待ってから呼び出され、パスポートとアメリカの運転免許証、そして100年前に失効した日本の運転免許証を手渡すと、担当官の男性は、まずはパスポートの渡航記録を書き留め始めました。

何をしてるのかしら?と思って見ていると

「アメリカの滞在日数を調べているんです」

とのこと。

え。でも、あの、私アメリカに30年近く住んでるんですけど。

滞在日数というより、あちらに住んでるんですけど・・・。

と言うと、

「でも、私たちにはパスポートの出入国記録から計算するしか証拠がありませんので」

と、出入国スタンプをすべてチェックして書き留め、

「今年はアメリカに一度も行っていないんですね?」

と言われました。

ええ?そんなバカな。

今年は半年アメリカにいましたけど?

と言っても「アメリカの入国スタンプがありません」と言われました。

 

そこでハッと気がついたのがグローバルエントリー。

「この人は安全な人よ」と認められたIDと番号をもらえると、アメリカに入国の際に長い行列をすっ飛ばして入国スタンプもなしでスルスルっとパスできる超便利なシステムで、私は昨年からそれを持っているのでアメリカ入国スタンプがないんだった・・・。

それを説明しても

「パスポート上はあなたはアメリカ滞在が一年未満ですので、日本で運転をする際は初心者マークをつけなければなりません」

あー初心者マーク。

あー。なんだ、それなら全然いいです。

受理してもらえないのか、運転免許がもらえないのか、こんなに人間じゃないと思えるぐらいクソ早起きして来たのに。と絶望一歩手前でしたが、受理してもらえるなら初心者マークでも高齢者マークでも、なんでもおっけー。

 

無事書類を受理してもらい、やっと次の部屋へと案内してもらえた時には、外には大量の外国人が待ちかねていました。

あー9時半前に来てよかった。

 

お昼休みを経て、講習会と免許写真撮影のために再び試験場に戻ったのは午後1時。

外国免許を書き換えるために戻って来たのは、なぜかカナダ人の彼とドイツ人の彼女と私の3人だけでした。

そのほかは、生まれて初めての運転免許を取得した大量の若者たち。

ええええ。

この全員が写真撮影するの?

それ、私たちも待たなくちゃいけないの?

思わずカナダ人の男性と顔を見合わせ

「に、日本ってめんどくさいよね・・・」

と頷き合いました。

講習会で面白いと思ったのは、写真撮影の時の注意事項。

「えー。みなさん。度の入っていないカラコンは、撮影前に外してください!みなさん、こう言っても撮影前に外さない人がほとんどですけどね。撮影者は間近にみなさんの顔を見ますので、そうしたらカラコンはすぐにバレます。バレると、その場で外してもらうことになり、余計な時間がかかって、待っている他の皆さんの迷惑になります。カラコンはすぐに外してください」

カラコン外せ命令が超しつこかった。

時代が変わったんだなあ。

それから、撮影は意外にスルスルと進み、程なく私の順番が来ました。

すると、管理官の男性が

「あー。その前髪、ダメです」

え?前髪?え?

「眉毛にかかっている前髪は横分けにして下しあ」

よ、横分け!!!横分けですか!!!

「いや。真ん中で分けてもいいけど、とにかく前髪が長すぎます。証明写真は本人確認の大事な写真ですから、その人だと言うことがはっきりとわからないといけませんからね」

「あのーそう言うけど、普段の私は横分けでも真ん中分けでもなくて、この状態が普段の私なんですけど」

そう言うと、管理官さんも一瞬絶句。

「そりゃまあそうですけど、色々と事情があるんですよ」

と、甚だ納得のいかない返事でお茶を濁されてしまいました。

撮影の時も散々「笑わないでください。微笑む必要もありません。口角がまだ上がっています。普通の顔をしてください」と散々ダメ出しされたし。

その挙句に、二度と見たくないほどおばんくさい写真を取られてもう大ショック。

ああ。疲れた。

これから三年間、運転免許証はガムテープで封印します。