楽しくてキラキラなイメージの、ニューヨークのホリデーシーズンですが、いや、そう、本当にキラキラで心ウキウキでもあるんですけどね。

でも、最近のニューヨークのホリデーシーズンは、まず、ものすごい人ごみで大変です。

特にあの、100年前から多分今後200年先までずっと同じ飾り付けのロックフェラーのクリスマスツリー周辺。あの辺なんてもう、シャレになりません。

身動きが取れないぐらいの人混みです。

なんかツリーを見に来たのか、人を見に来たのかわからないぐらいすごいです。

 

そして、そんな風にあちこちが大変な人ごみだし車も混んでいるので、街を行き交う人々が結構イライラしてるんですよね。

 

この間も、ちょっとお使いに出かけて、ああもう仕事しなくちゃ早く帰ろう、と急ぎ足でバス停に向かったんですが、タッチの差で乗り遅れ。

あーあ。

と思ってもう2ブロック歩いて、別のバス停を目指しました。

角まで来たところでバスが私を追い越し、目の前のバス停に停車。

あああああああ〜〜。

と思ったけれど、これは走れば楽勝で間に合うな、とダッシュ。

一人のおじさんが乗り込むのを見ながら必死で走り、やっと間に合った!とたどり着いたところで、目の前でドアがバッスーン。

え?

いや、今絶対私が走って来たの見えてたよね。

見えてたのにドア閉めたよね。

というタイミングです。

もちろん、バスは無情にも知らん顔で去っていき、寒風の中取り残されました。

振り返ると、そこには年配のレディーが一人。

 

「あなたが走っているのが見えたから、私も絶対間に合うと思ったのに。。。」

と両手を広げて悲しそうに立っていました。

 

全くもってニューヨークって、本当に世知辛いというか、意地が悪いというか。とにかくこういうことがよくあります。

特にクリスマスシーズンになると、みんな忙しいのと寒いのと早く家に帰りたいのと、そんな様々な理由から、ちょっとした親切心や笑顔を忘れがち。

混み合う道を行き交う人も、ちょっとイライラしている人が多いかもしれません。

 

そして今日。

仕事が切羽詰まってきたし雨も降ってるし、クリスマス翌日で何もする気が起きないし、といういろんなヘタレな理由から、地中海料理のデリバリーを頼んでみました。

注文したのはグリルドチキン。

お野菜もたっぷり入っているし、地中海料理って意外に健康的で美味しいですよね。

 

待つこと三十分弱。

まだかなあ。

お腹減ったなあ。

と思い始めた頃、携帯が鳴りました。

ハローと出ると、なんかものすごい訛りの強いおじさんが大声でがなっています。

は?だれ?なに?

と何度か問い返し、どうやら地中海料理レストランのデリバリーおじさんが、デリバリー専用エレベーターが動いてないから上の階まで行けない!と訴えているらしいことがわかりました。

 

あー。そうか。じゃあ今からロビーに取りに行きます。

 

と返事すると無言で電話が切れました。

 

もー。

無愛想だなあ。

と思いつつ、腹ペコだったのでイソイソとロビーまで降りて行きました

 

そこにいたのは結構年配の、顔のコイーーーーーイおじさん。

覆面のような毛糸の帽子をかぶり、黒ずくめの綿入れをきて、丸くなって私を待っていました。

 

そして、私の姿を認めると、ぱあーっと笑顔に。

タタタと小走りで私に駆け寄って

 

「降りて来てくれてサンキュー!」

 

とご飯の入った袋を手渡し、満面の笑顔でもう一度

 

「サンキュー!」

 

そして、もう一つのデリバリー袋を持って、タタタとロビーから出て行きました。

 

あー。なんか、心暖まった・・・。

たった一つの笑顔と、たった一言のサンキューだけで、ご飯もこんなに美味しくなります。

やっぱり大切ですね。

笑顔とサンキュー。

どんなに寒くても、どんなに忙しくても、笑顔とサンキューには各一秒。

それだけで、こんなにホワワーンと嬉しい気持ちが届きます。

おじさん、寒いのにご飯を届けてくれてありがとう。

グリルドチキン、美味しかった。