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観てきましたよ、ブロードウェイの新しい演し物、『LET IT BE』。
年季の入ったビートルズファンとしましては、実はこういったコピーバンドものは一切拒否だったんです。
どんなにうまかろうが、どんなに似ていようが、ビートルズじゃないものはビートルズじゃない。
ビートルズはビートルズでしかあり得ない。

というまあビートルズ純粋主義Puristってやつです。
でも、なんかこのミュージカルは気になるなあ、って思っていたら、なぜかポール(マッカートニーじゃないほう)が「行こうか」とある日突然誘ってくれて、なんとチケットも買い与えてくれたんです!一番安い席を。

そしていよいよショーの当日、待ち合わせの前に電話をかけてきたポールが
「このショーは、最悪のレビューをもらって今月いっぱいで打ち切りになるらしい」
という不吉な事を言い出したんです。

ええええーせっかく楽しみにしてるのにい。
そんな話聞きたくなかったー。

「安物くさいカツラにアホみたいなメーク。衣装換えも安物で、ただの物まねバンドショーだ、ってレビューだよ」

たたみかけるポール。
なんでもいいからとにかく黙って観ようよ……。

さて、そういわれながらもワクワクしてシアターに行くと、……ううーん。。。。
確かにショー直前とは思えないほど、ガラ空きのの劇場前。
でも、ポスターや看板の写真を撮って盛り上がっているコアなファンもちらほらいます。

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↑見えて来た見えて来た。ドキドキ。

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↑おお。Sgt. Pepperの衣装!

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↑似てるような似てないような。

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↑5星がついてますけどね。。

さて。
中に入ってまず一騒動です。
なぜかと言いますとですね。私たちのチケットは一番安いバルコニー席。$35也です。
なのに、シアターに入ると中二階席に誘導されました。
入ってみるとなるほど。ガラガラのガラ。空席だらけで切ないことこの上無し。
あーあ。なんか悲しい。ビートルズのショーなのに……。
そしてアッシャー(席に案内してくれる人)の女性が私のチケットを見て、
「この列の中の席に、間を詰めて座ってください」
と言いました。
その列を見ると突き当たりの席に、ええもう、こういっちゃ申し訳ないんですが、超ウルトラデ◎の男性がノッサーと座っています。
体の1/3が席からはみだして、隣の椅子に乗っかっています。
いや。
あれは無理でしょう。
お互い窮屈だし、それに回りはガラガラ。
しょうがないのでその列に入り、重量級の男性から1席空けて私が座り、隣にポールが座りました。するとアッシャーが大きな声で
「詰めて!間を空けないでください!」と手で指示してきました。
ええええ~……なんで?
そして、たたみかけるように私たちの後から入って来た女性二人組を私たちの隣に座らせ、
「詰めてください!」
と声を挙げて指示してきました。
私が詰めて座り、隣にポール、並んで女性二人が座ると、通路側の一席だけが空席になります。
おりしも開演のベルがなり始め、
「そこには誰も座らないんだろうから、こっちの1席は空けて座りたいんだけど」
とポールが言うと
「ノー!!」
と絶対拒否。
さて。
意外や意外。
私ではなく、ポールがブチ切れしました。超速攻で。

ガッターンと立ち上がり、ビクっとおびえた女性二人の前をノシノシっと通り過ぎながら私に
「レイコ。席をかわろう」
と声をかけてきました。
え?え?
急な展開についていけなかったっていうのもありますが、隣の男性の足肉に私の座席が詰まってしまい、なかなか立ち上がる事ができず、モガモガーっともがいていると、立ち上がったポールにアッシャー二人組が突進してきました。

「お客様!どこに行くんですか!?」
エラい剣幕です。
「通路側のこの席が空いているのに、どうしてぎゅうぎゅう詰めに座らせるんだ?」
ポールが問いかけると
「この席はすでに売れています!」
嘘丸出しですが、アッシャーは堂々と言い切ります。
「は?この席が?売れてるって?誰かが今から来てここに座るっていうのかい?」
「そうです!!!」
いやー。
ポールの剣幕もスゴかったけど、アッシャーもそこまで意地にならんでも……。嘘ですよいくらなんでも。だって回りはガラガラなのに……。
「ほら!見てくれよ!言いたくはないけど、あの男性の隣に座らせられると、彼も僕たちも窮屈な思いをするってことがわからないか?他に席は売るほど空いてるのに!」
「他の席も完売です!!」
マジでかっっっっっ!
ここ数年で聞いた中でも。最大級の嘘です。
アッシャーの一人が大急ぎで外に出て行き、マネージャーらしき女性を連れてきました。

「お客様。私たちはあなた方に1ランク上の席を提供しているんです。その中でも最も良い席をと思ってあのお席をお譲りしたのに、それがわからないんですか?」
慇懃無礼な態度に、ポールのぶち切れは最高潮に。
チケットを見せてくださいと言われ、ポールは
「チケットを見せろっていうけれど、そもそも僕が買ったチケットは自由席なんだ!バルコニーでいいから好きな所に座らせてくれ!」
チケットを背中にぱっと隠して抵抗するポール。
うーん。
黒リン出る幕無し。
一方マネージャーはますます無礼な態度で、薄笑いを浮かべて
「そうですか。わざわざ一番良いお席を、と思ったんですが、他のお席に座りたいとおっしゃるんですね。ではどうぞ、お好きに。はっ。こちらの好意がわからないんですね」
失礼千万です。
カーっと頭に血が上っているポールは、さっさとその場を立ち去り、一段上の真ん中よりの列に座りました。
私も並んで座ると、左右に人はいないし、真正面からステージが見えるし、こっちの方が全然良い席です。
もちろん、完売したはずの席には誰も座らず、ショーが始まった瞬間、ギュウギュウに座らされていた人たちは、三々五々散らばって好きな席に移動しました。
はーやれやれ。
ショーの前から疲れたよ……。
でも、気分を変えて楽しまなくちゃ。


いよいよ始まりました。LET IT BE!

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↑うおおおお。

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↑うおおおおっっっっ。

こ、これは……。
いや。
遠い席だったせいもあるんですが、そうかーなるほどー物まねバンドっていうのは、高度になるとこんなにもスゴいもんなのか……。
と感動するほどに、彼ら一人一人の仕草もギターの構え方も喋り方も、そして何より重要なのは声が!特にポール・マッカートニー役の人の声が!!!
に、に、に、似てる!!!
曲の合間のMCでの喋り方も声も、髪の毛にぱっと手をやる仕草も、いやいやいやいや、よくまあここまで観察して似せられるものだわ、と思うぐらいそっっくりです!
その細かい仕草が似ているとわかる私もマニアックなファンですが、ビートルズのコアなファンってみんなこんな感じだと思います。
ジョンはFとかTHの発音がすごくはっきりしているとか、ジョージはリバプールなまりが強いとか、ポールはMCの時いつも左の方をキロッと見ながら喋るとか、そういう細かい所も全てトレースしていました。
ポール役の人が、ベースギターの時はちゃんと左利きなのに、アコースティックギターの時だけ右利きでギターを弾いていたのはなぜなんだろう?
とか、
リンゴ役の人が一番長身で一番かっこいいのはなんかおかしいんじゃないか?
とか、色々細かい所はアレですが。。
なんといってもその時代をリアルにみることができなかった、私のような遅れて来たファンにとって、若かりし頃のビートルズのライブを見ることができたような、そういう幻的夢を見せてもらえる、まるで奇跡のような瞬間!

初期のロックンロールもノリノリだったけど、Sgt. Pepper以降のライブは、当時の技術ではライブは無理と言われていた楽曲が見事にライブになった瞬間を体験し、色々と感慨深いものがありました。
あの時代だったからスゴかったのではなく、現代に登場してもビートルズはスゴかったんだ、とか、いやまてよ、あの時代にあのビートルズが登場しなかったら、現代の音楽シーンは全く違うものになっていたんじゃないか?とか、いやそれにしても、今聞いてもスゴいよスゴいよビートルズ!!とか。もう頭の中は夢と憧れと感動と感激でぐるんぐるんでした。

ちなみに隣に座っていた暴れポールは、開演早々から
「あのポール役の彼さ。スゴいデブだよね」
とか
「あのカツラはいくらなんでもへんだ」
とか
「隣のおばさんが踊り狂っていてウザい」
とか、そりゃまあチケットを買ってくれたのであんまり言うと申し訳ないんだけど、同じ名前なのになんでポールはポール・マッカートニーじゃなくて、こんなうるさいまるで大きめのサルみたいな態度なんだろう、と腹が立って来て、しまいにゃ首根っこ掴んでシアターの外に放り出してやろうかと思ったほどでした。

しかし。
劇場は本当にガラガラ。空席だらけ。
それでも見に来ている人の多分90%はビートルズファンなので、めっちゃくっちゃ盛り上がりましたけどね。最後はスタンディングオベーションでアンコールの嵐(これもシナリオだろうけど)。
本当に盛り上がりました。

これ、ちなみにミュージカルではありません。
ストーリーは無いし、台詞もお芝居もありません。
純粋にビートルズのコピーバンドのショーです。
そうそう。著作権の問題だと思うのですが、ショーの間中、ビートルズとかジョン・ポール・ジョージ・リンゴとかの固有名詞は一切出てきません。
パンフレットにも一切書かれていません。
とにかくひたすらビートルズビートルズビートルズ!
ビートルズピュアリストのファンも、是非一度お試しください。
タイムトリップしたような、ノスタルジックでエキサイティングなひと時が味わえますよー。

私、もう一回見に行くかも……。


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↑売れなさすぎのせいか、価格表示は$10となっていたのに売値$15だったパンフレット。