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昨日から気温が下がり、やっと普通の夏程度の暑さになりました。
そして今日は朝から曇りで、午後になって雨。
湿気が多くてちょっと不快ですが、それでもあの危険な暑さに比べればましです。
気温がちょっと下がって思考能力も回復。
やっとジマーマン事件について書く気力が蘇ってきました。

単純に、人種差別と銃の問題だけで片付けられないこの事件は、簡単に言うとボランティアのエリア自警団ジマーマン氏が、自主的な夜回りをしていた最中に、小雨が降る中、フードを目深にかぶった黒人男性が通りを歩いているのを発見し、警察に通報しながら彼の後をつけ、取っ組み合いの喧嘩になった挙げ句、未成年の黒人トレイボーン・マーティン少年(17歳)を射殺してしまったというものです。
近隣住民の通報で駆けつけた警察に一旦は拘束されたジマーマン氏ですが、正当防衛を主張した後警察に認められ、即時釈放されました。フロリダ州や米国南部独特の州法Stand on your ground(スタンド・オン・ユア・グラウンド)という正当防衛の法律がここにまた絡んできます。
トラブルを回避する等の努力をしなくとも、本人が命の危険を感じたという理由だけで相手を殺しても認められるという類いの正当防衛です。
一旦釈放されたジマーマン氏ですが、トレイボーンの両親始め、主に黒人社会の猛抗議猛反発を受け、またオバマ大統領までが異例の『もし私に息子がいたらトレイボーンのような顔だっただろう。我が国は正当な正義を審判するべきだ』という発言をしたため、一州の地域事件であり裁判だったはずのこの事件が全米を揺るがす一大ニュースに発展。ジマーマン氏は再逮捕され、第二級殺人・故殺の罪で告訴され、数ヶ月にわたる裁判が行われました。
そしてその結果、ジマーマン氏は無罪の判決を言い渡され、さらに全米は大激震。
人種問題。
銃規制。
万民の自由を標榜する米国社会に実は根深く存在しつづけ、決して消える事の無かった問題がここにきて浮き彫りになり、そしてある意味無意識に暮らしていた有色人種、白人、マジョリティー、マイノリティー、ありとあらゆる米国に暮らす人々を叩き起こすような事態に発展しました。

さて。
漢字が多くて自分で読み返してもなんだかゴジャゴジャしてややこしいし、そもそもどこにも正解などないこの問題に、私が「こうあるべきだ!」という意見を公の場で主張するつもりなどございません。
ただただ思うのは、そもそもジマーマン氏が銃を持ち歩いていなければ。
警察に通報した時に「怪しい人物の後をつけないように。車内にいてください」と言われたのに、車を降りてトレイボーンの後をつけなければ。
そうすれば、トレイボーンは死なずにすんだ。
そして、ジマーマン氏も人を殺さずにすんだのに。
トレイボーンは、この先どんな人物にでもなれたその可能性を一瞬にして奪われ、ジマーマン氏は結果的に、全く罪科のない少年を殺してしまった事実を抱えてこの先の長い人生を生きて行かなければならなくなった。
その全ての悲劇が、彼の軽卒な正義感によって引き起こされたのだと思うと、本当に残念で悔しくてなりません。

そして、無罪判決後初めてオバマ大統領が言った言葉。
「この国では、ほとんどの黒人男性が、買い物をしていて怪しまれ後をつけられた経験があるはずだ。私を含めて」
にアメリカの根深い差別問題が現れていると思います。
そしてそれは、人種差別の代表とも言える黒人問題だけではなく、白人以外の全てのアメリカに住む人種に、多かれ少なかれあてはまることでもあります。

私も、警察官に一方的に指図され、指をさされて怒鳴られた事がありますが、本当に本当に悔しい思いをしました。まさしく、私が金髪の白人女性であったら、絶対に受けなかっただろうと思う扱いでした。
言葉が通じない。ネイティブの英語でない。
警官に何か問われて口ごもっただけで手錠をかけられているメキシカンの屋台おじさんたちを、何度も何度も見た事があります。
間違いなく、間違いなく人種差別は存在しています。
そしてそれは、程度の差や微妙な感覚の違いはあっても、誰の中にも、私自身の中にも存在しています。
日本人は、大方のアジア人よりも上だと思ってはいないか。
不当な扱いを受けたとき、○○人だと思われた、と一瞬でも思ったことはないか。
自らに問いかけると、自分の中の差別意識に嫌でも気づいてしまいます。
人種差別のみに焦点を当てるならば、ジマーマンは、つまるところその極端な行動例であり、実はどこの誰にでも起こりうることだったかもしれません。

この大変な悲劇には、誰にでもあてはまる正解などあり得ず、無罪という判決も、『どの判例、どの法令に照らし合わせても、ジマーマンを有罪とする材料が無かった』結果であり、なんの解決もなければ、誰もが納得する正義も正解もありません。
ただ、ジマーマンは銃を持ち、警察がとめるのもきかずにコンビニ帰りの少年のあとをつけまわし、反撃してきた少年に殺されると感じ、彼を射殺した。
真実はそれだけです。
自らもラテン系のマイノリティーであったにも関わらず、あからさまな黒人差別の言葉を発しながら通報したジマーマンが、この先、無罪判決を受けて「自分は間違っていない。被害者は自分だ。やっぱり自分は正しかった」と思って生きていくとしたら、法律がさばく事のできない彼の罪を一体誰が裁いてくれるのでしょう。
フロリダの正当防衛の法律や銃規制の問題など、さまざまな問題が絡み合って全米を揺るがせているこの事件ですが、ただ、個人にたちもどり、どんな状況であれ人一人の命を奪ってしまい、トレイボーンのための正義を求める人々から命を狙われ憎まれているジマーマンという一人の青年に思いを馳せるならば、彼はどんなに辛くても一生この苦しみと後悔を背負い思い続けて生きていくべきだと思っています。
そういう役割を担って生まれて来たのかもしれないと思うほどに、彼は絶対にそうするべきだと強く強く思います。
彼がこの先、真実自分と向き合い、自らに問いかける人生を生きてくれる事を願ってやみません。
そして、トレイボーンのご両親が、どうか一日も早く心安らかな日々を取り戻すように、それを何よりも祈っています。

最後になりましたが、ジマーマンに
「おのれがアホみたいに車からのこのこ降りて、警官気取りで人の後をつけまわして大騒ぎ起こしやがって、挙げ句の果てに自分で勝手に行動したくせに、殺されるー!とか思って、簡単に持ち歩いた銃なんかうちやがったから、この世にせっかく生まれて来た命が消えてしまったやないかっっ。アホ!ボケ!カス!!ラッパ!!お前みたいなヤツは一生苦しめ!!苦しんで悩んで後悔して泣いてのたうちまわって、一生後悔して懺悔しろっっっ!死ぬまで泣き続けて世界中から嫌われとけっっっっ!!!この大たわけやろうっっっっっっっっっっ!!!」
と怒鳴りつけて飛び蹴り食らわしてボコボコにしてやりたい。
というのが本当のところです。はい。