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いやー。いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。スゴいものを見てしまいました。
今日、ドラッグストアにお買い物に行った時のことです。

42丁目と3番街の角にあるCVSという大きなドラッグストアで、目的の靴の中敷きを見つけ(また靴の中敷きか!)、大満足でセルフチェックアウトをしていた時です。
パッコーン!とプラスチックの箱を蹴飛ばす音が聞こえてきたので振り返ると、濃い金髪に染めたドレッドヘアの黒人女性が、大きい声で悪態をつきながら早足で出口に向かっていました。そして、その後に黒人の男性店員がついて歩いていたんですが、そのまた後ろにいた黒いドレッドヘアの黒人女性がギャーギャーとわめいているんです。
「その人に指一本触れたら承知せんからなっ!」(←なぜか関西弁に聞こえる)
『その人』とは先に歩いていた金髪ドレッドです。
男性店員は「とにかく出ていってくれ」と強い口調で言っています。
そこでパっと振り向いた金髪ドレッド。(かなりコワかった)(←顔が)
店員の鼻先に指をつきつけ
「私の後ろを歩くなちゅうとるやろがっ!私に触ったらすぐに訴えたるからなっ!」
と怒鳴り始めました。そりゃもうものすっごく攻撃的で大声で、エラい剣幕です。
そして店員はというと、グっと堪えて「とにかく外に出てくれ!」と言っていますが、だんだん我慢の玄界灘。
いやー。そしたら案の定始まりました。ドレッド二人組の大立ち回りです。いやーいやいやいや。スゴかった!
最初は指を突き出して顔と顔を超接近させて(コレ、アメリカ人独特の喧嘩スタイルです)ギャーギャーわめいていただけだったんですが、ついに手が出ました。もちろん女性側です。
女性っていっても、いや、女性なんですけど、でもなんちゅうか、多分アレですよ。嵐の二宮君と戦ったら絶対彼女が勝つ、ていうか、大概の男性は、あの体型であの剣幕であの勢いだと、ちょっと命の危険を感じるんじゃないかいうド迫力です。
口汚くわめき散らしながらめったやたらに暴れているんですが、振り上げた手は完全にグーです。そのグーを突き出している腕なんて私の太ももぐらいの太さだし、胴回りは私とチョビを束ねて倍にしたぐらい。太もも一本だけで30kgぐらいありそうです。いやもうドえらい迫力でした。
それでも最初はドレッド二人組が悪態をついてわめきちらしながら、二人の男性店員に腕を振り上げてつかみかかる程度だったんですが、そのうちパンチが入っちゃったみたいなんですよね。男性に。
それでもああ、男はつらい。我慢です。必死のパッチで我慢です。
でもドレッドはもっとスゴかった。
我慢してるあたしは一体なんなんですか?
って店員たちが言いたくなるぐらい(多分)とにかく遠慮無し、無法地帯、暴力教室。
「おのれらの店は今日で終わりやからなっ!ぶっつぶしたる!!!触るなっっ!私に触るなっっ!!」とわめき怒鳴りつばをはき、ボンレスハムのような腕をぶんぶんと振り回し、もう店員二名ボコボコです。わけのわからんニューヨークキーホルダーや絵はがきラックは、乱闘の巻き添えを食い、商品が床に散らばり、鉄の棚はベコボコ。
パンチだけじゃなく蹴りも加わり、もう何が何やら無茶苦茶。
さあもうこうなったらいけません。
こちら(?)は黒人男性とラテン男性です。血が熱いことにかけては負けていません。
我慢のヒモがプツッ。
と切れた音がしました。

で、この辺りでわたしゃ逃げたんです。
こういう暴力場面って確かに面白いんですけど、まず巻き込まれたらまずいですしね。怪我なんてさせられた日にゃ、目も当てられません。それに、どうも心が貧しくなっていけません。
出口付近で小競り合い(いや。大競り合いか)を展開しているのを横目に、そそくさと出口に向かった。んですが。
ここからがまたもうそりゃおくさん。大変です。
ついに男性二人が反撃に出ましたよ。グーです。グーを振り上げて反撃です。
もちろん、ドレッドも絶対負けていません。
取っ組み合いです。マジで真剣な取っ組み合いです。大人の男女4人が、くんずほぐれつの大乱闘。ガラガラガッターン!!とお店の商品をヒックリ返し、棚のものを蹴落としながら、ゴロゴロゴローっと転がってきました!出口のドアハンドルを握りしめた私の方に、ゴロゴロゴロゴローっと!
このドアがまた巨大で重たい上に、今日は朝から強風大雨注意報。
風圧でドアが開かない開かない開かない開かないっっ。
ひーーーーーー来たーーーーーーーーーーーっっっ!

頭の中は大暴れする子犬の群れの前に出たドッグランのチョビ状態です。

ど。

ど。

どうしようっっっ!!!

と思っているうちにも、ぼこぼこに殴り合っている(95%はドレッドが殴っていた)店員とドレッド(X2)がそこら中のものを蹴倒しながら、ドンガラガッシャーンと転がってきます。出口付近にうずたかく積み上げられたショッピングカートも、私の目の前でドンガラゴロゴロガッシャーン!とひっくり返りました。

ひいータスケテヨン様!

マジでこれはマズい。
重たくて開かないドアを捨て、転がったショッピングカートの山を飛び越え、必死で店内に逃げ込みました。
もちろんその頃には、お店の中も外も黒山の人だかりです。
あまりの大乱闘に誰も出口に近づけず、外からお客も入ってくることができません。
さらにエグいことに、大暴れしまくっている黒ドレッドが、ひっくり返ったショッピングカートの一つをつかんで頭上に振りかざし、ラテン系店員に襲いかかりました。
これにはさすがに見物していた男性陣の一人が
「やめろ!」と間に割って入りました。
スーツを着たビジネスマンです。
しかし黒ドレッドは興奮の極地。自分の倍ほども身長がある、多分ドイツ系のビジネスマンなんてこの時の彼女にとっては目の前をブンブンいって飛んでいるガ以下です。
「じゃかましいわっ。どかんとおのれもぶん殴るでっっ!」(←どうしても関西弁に聞こえる)
「やめろっっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴っている紳士。しかしその努力は完全に無視され、黒ドレッドは金ドレッドと取っ組み合いをしているラテン店員にカートをブンッッッッと叩き付け、
「おのれはいっぺん殺したろかっっっ!」(としか聞こえない)とそりゃもうえらい剣幕です。

その場にいた誰もが事の成り行きを固唾をのんで見守っていましたが、よくある『視聴者の画像』や『視聴者の動画』なるものを撮影している人物は一人もいませんでした。あまりの大乱闘に、誰もが自分の身を守るのに精一杯な状態な感じだったし、注意して見守っていないといつ何時自分が巻き込まれるかわからない状態だったんです。
いや。私も何度か「ビデオ撮ろうかな……」とか「せめて写真を」とか思わなくもなかったんですけど、なんか手が動かない感じでした。それに、こういう場面を写真やビデオに収めるのって、どうもあまり気乗りしません。

さて。
事ここに至って、結構我慢し続け仲裁に入って事を収拾しようとしていた店長が、突然ブチ切れしました。
どう切れたかといいますと、おもむろに来ていたお店のロゴマーク入りジャケットを脱ぎ、床にバシーと叩き付けると乱闘に割って入り、金ドレッドに向かって
「お前!外に出ろ!今この瞬間から、この店は関係無いからな!思う存分やってやるから外に出ろ!」と宣言したんです。
それに従ってラテン店員も黒人店員も、そろって着ていたロゴ入りポロシャツを脱ぎ捨てました。

『ほう。店長はジャケットだけど、従業員はポロシャツかあ。切ないのう』
と的外れな感想を抱いている間もなく、大乱闘はさらにエグい展開に発展する様相を見せ始めました。そして、ジャケットを脱いだだけで店は関係無いっ!ていうのにはちょっと無理があるけれど、なんとなく彼らの気持ちに同調し気味な雰囲気が見物人の間に流れていました。
ぶっ殺したるからな!ていうお前が殴られろ、って思っていた人が多分30人ぐらいいた見物人の中で22人ぐらいはいたと思います。

ラテン店員は、つかみかかって来た金ドレッドを突き飛ばし、パっとボクシングの防戦姿勢。
それに対して金ドレッド。
「見た!見たか今!コイツが私を殴ったのを、みんな見たか!??」
とつばを吐き飛ばしながらわめき散らします。
見ていた全員が
『いや。殴ったのはお前だし。ていうか、お前が悪いとしか思えないんですけど』
と思っていたに違いありません。
それに、そもそもこの乱闘騒ぎの発端が何だったのか、誰も知らない状態です。

それにしても、どうなるんだこれから一体。
いくらガタイがよくて気が荒くても、カーッペッッッとつばを床にはいて啖呵を切るような野獣タイプでも、やっぱり女性です。女性なんです。ましてや店長と店員の一人はどちらも長身の黒人だし、ラテン店員はヘニャけたタイプだけど防護姿勢がボクシングだったし、本気で彼らがぶん殴ったら、両ドレッドちゃんたち、多分道の端までぶっ飛びます。骨とかも折れちゃうかもしれません。やっぱり我慢してるんです、気の荒い男達も。相手が女性だから(たぶん)。
でも、ドレッドたちはというと、おそらくぶっ飛ばされた瞬間獰猛さが倍増して、さらなる大乱闘騒ぎになること必至。
この頃から、見物人たちが「ポリスを呼べポリスを!」と言い始めました。
それまではあまりの急展開と阿鼻叫喚ぶりに、誰も身動きできない状態だったんですが、はっと皆が我に返った感じでした。

そうだそうだ。
おまわりはどこだ?おまわりを呼べ!
と言い出し、なんとなくみんなが周辺をキョロキョロと見渡すと、果たせるかな、大きなショーウィンドウの向こう側、ていうか、超目の前にパトカーがポテ、と停まっているじゃありませんか。
しかも、中に座っているおまわりが、じいいいいーっと店内の様子を見ているんです。

いや!
おまわりさん!
見てる場合じゃないし!
早く入って来て止めてよっ。

と、これまたその場にいた全員が思ったに違いありません。
ガラス窓をドンドンドンとたたいておまわりさんに合図するおじさん。
入り口付近で中に入ろうかどうしようか迷いつつ乱闘騒ぎを見物していた挙げ句、大慌てでパトカーに駆け寄ったおじさん。
店内の全員がパトカーに顔を向け、

「早く!入って来て止めてよっっ!」

と念波を送りました。

ボーと見ていたおまわり。
パトカーに駆け寄ったおじさんに急かされて、なんか渋々な感じ丸出しでゆーーーーーーっくりと車を降り、これまた『わざとかい!』と言いたくなるぐらいゆううううーーーーーーーっくりとした足取りでようやく店内に入ってきました。

はーやれやれ。
おまわりが来たからには、これで騒ぎも収束か。

と思ったのに、ドレッドはスゴかった。
この時点ですでに野獣化していたドレッド二人組。
おまわりが入って来たというのに、いやいやいやいやいや、スゴかった。
全然とまりません。
ていうか、さらにヒートアップして、他の店員に止められ店の奥に連れて行かれようとしていた二人の店員を追いかけ、つかみかかる始末です。
おまわりさんも唖然。
普通ニューヨークでおまわりに逆らうなんて、絶対あり得ないんです。
交通違反だって、おまわりに口答えされたらすぐ手錠です。
なのにドレッドよ。恐れを知らぬにも程がある。というか、興奮するにも程があります。もうそれこそ、明日世界が終わってもいいという勢いです。
ギャー!とかギーーー!とか、もう人間を超えた奇声を発しながらつかみかかってくるドレッドに、一旦は納めようとした店員二人+店長も、さらに興奮。

どうするんだこれからっ。

またもや見物人全員が、固唾をのんで見守っていると、おまわりが女性店員に
「そいつを奥に連れて行け」と命じ、なぜかニヤニヤと薄笑いを浮かべているラテン店員をドレッドたちから引き離しました。
次にドレッド達に店外に出るように指示しました。んですけどね。
いや。
もう、ドレッドスゴい。
「ノー!!!」
ですよ。
おまわりに向かって。
でもって、さらに口汚く、世界に悪口雑言をふりまく猛獣状態です。
さすがというかなんというか、おまわりはその興奮に巻き込まれることなく、静かにドレッドたちに「とにかく外に出なさい」と指示し、一旦は二人を外に連れ出しました。

この瞬間、ここぞ!とばかりドドドドドと店内の見物人が外になだれ出ました。もちろんわたくしもです。
ところがこれまた運悪くというか運良くというか、目の前の信号は赤。
そしてドレッドたちとおまわりさんは、私のすぐ横に立って話をはじめました。
ドレッドたちに「とにかく事のいきさつを説明してくれ」と静かに問いただすおまわりさんに対し、コーフンしまくっている黒金ドレッドは、わめきちらすのみ。
耳を澄ましていると「この店は今日で終わりやでっっ!」とか「あいつら全員牢屋送りじゃっっ!」とかそんなことばっかり。
これまたその場で固まった見物人たち全員が
『ていうか。そもそも何が原因なのか、早く説明しろよ』
と思っていたに違いありません。

あまりにも二人がわめきちらすので、おまわりさんが
「いい加減にしろっっっ!」
と叱り飛ばしましたが、ドレッドたちはさらに上を行っています。
「逮捕するんかっっ!?えっ?逮捕するんやったらしたらどないやっ!今すぐ逮捕せんかいっっ!!」

いや。いやいやいやいやいやいや。あんたマジで逮捕されまっせ。
と、またその場で耳ダンボになっていた全ての人が、そう思っていたに違いありません。
ついにキレたおまわりが、「お前らここで待っとけ!」と命令して店内に入った途端、ドレッドたちは
「待たんかいっ!あいつらと話するんやったら私らにも聞かせろっっっ!!」
とおまわりさんの後を追いかけ、しまったドアを引っ張るわたたくわ。
ブチ切れしたおまわりが、ガッシーン!とドアを閉めたのに、それを引っ張るたたくわめく怒鳴る。
根負けしたおまわりがまた出て来て
「だから、わめかずに説明をしろと言ってるだろう。ちゃんと話をしろ!」
と言った時、やっとずっと聞きたかった言葉がドレッドの口から出ましたよ。

「あの連中は、私を万引き犯人扱いしよったんやっっっ!」



ああああああああああああああああ。
ああああーーーーーああああああああーそうあーーーーそうかそうかあああああーーー
なるほどなるほどああああああーはーーーーなるほどーーーー。

天に誓って言いますけどね。
その瞬間、42丁目と3番街の角には、↑この↑言葉と感想が超超超渦巻いていました。

そして、それを聞いて大満足した見物人一同は、なぜかホッと一安心。三々五々、それぞれの場所へと戻って行きました。
もちろん、大通りをわたって1ブロック離れた角まで野獣達のわめき声が聞こえて来たことは、言うまでもありません。
あーびっくりした。
ああそうそう。
でも思うんですが、きっと彼女達、数時間後の地下鉄か車の中では、ぎゃははははーっと大声で笑いながら、今日起こった出来事を話し合っているに違いありません。
怒ると恐ろしく獰猛だけど、根はシンプルで陽気なんですね。はい。たぶん。


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↑この窓のすぐわきにお巡りがいて、


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↑このドア付近で大乱闘。奥の赤いものはショッピングカート。これをつかみあげたあの姿は、まさしく野獣……。