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わたくしの三大恐怖対象はといいますと、
『大王イカ』
『高所』
『暗闇』
『閉所』
あれ。三大じゃなくて四大になっとるがな。
まいいか。
つまり怖いんですよ、暗くて狭いとことか高い所とかが。
暗いのは怖いっていうのもありますが、それはひとえに暗闇で目がきかない、ってことが理由です。
何せなーんにも見えないんです、ちょっと暗くなるだけで。
一緒にいるお友達が全然平気ですたすた歩ける薄暗がりも、私は何がなんやらさっぱりわからず、恐ろしくて前に足が出ません。
そんな私が無謀にも挑戦したのは『ナポリ地下帝国探検』です。

……って大げさに書いとりますが、これはナポリ観光名所の一つで、人気ツアーの一つなんですよね。
NAPOLI SOTTERRANEAナポリ・ソッテッラーネア (Sotterranea=地下のという意味らしい)という名前のこのツアーは、実に5000年前に穴堀りが始まった街の下に眠る古代遺跡ツアーです。

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↑入り口はこんなん。

雨にビショビショにぬれている洗濯物がベショベショぶら下がっている路地裏にある地下帝国の入り口は、有名ピザ店がひしめきあう通りの奥にひっそりとあります。
ツアーは約1時間半程度かかり、1日3-4回英語とイタリア語でのツアーがあるとのことで、私は2時の英語ツアーに参加することにしました。
入り口前に1時半頃行ってみるとボランティアぽい風体のイタリア人青年が一人。ツアーについて聞いてみようと近寄って行くと、突然脇のドアから私好みのイケメンが一人湧いてでました。
「ツアー参加希望ですか?」と流暢な英語で訊かれ、内心小躍りしながら「はいはい。2時からのツアーに参加したいんだけど、チケットください」と返事しました。
参加希望時刻にここに戻って来てくれれば、その時説明します。お金もその時支払ってください。
と説明され、そんじゃちょっとお茶でもいただいて、そこらへんのお人形売り通りをウロついてみようかなと思い、その場を離れました。
ちなみにこの『お人形売り通り』ですが、これがまたスゴいんです。
Nativity Setと呼ばれるそのお人形セットは、まあ言ってみれば大きめの精巧なドールハウスなんですが、お人形というよりはナポリの名産品であり、芸術作品です。これを売っているお店がずらずらずらと並んでいる通りが、地下帝国入り口の近くにあります。見ているうちにマジで欲しくなってしまいましたが、暖炉やオーブンの炎がゆらめくような電池仕掛けもあったりして結構大掛かりなものが多いし、何よりちゃんとした作りのものはお人形一体が7-800ドルほどもして、全く手も足も出ません。
こりゃ無理だわ、と独り言を言いつつなんかどうでもいい感じのカフェ……というか、私の受けたイメージでは『コーヒー屋』て感じのお店でカプチーノを一杯いただき、地下帝国入り口横の教会でお茶を濁してから2時2分前にイケメンの元に戻ってみました。

お。いるいるイケメン。
にこやかに近づいて行くと、「そっちのベンチに座って待っててください」と言われたので、石のベンチに大人しく腰掛けて待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。
待ちました。

百年待っても何も始まりません。
まあイタリアだし、多少は覚悟していましたが、それにしてもこんなに遅れるんならそもそも時間を設定すること自体意味が無いのでは?というぐらいさんざん待たされている間に、日本から一人旅で来られているという女性と知り合いになりました。
結局イタリア人学生集団全員が揃うまで死ぬかと思うほど待たされ、挙げ句の果てにとっくに集まっていた私たち英語ツアーを追い越して、わらわらと学生どもが地下に入って行くのを指をくわえて見送らされ、ようやくツアーが始まったのは定刻を30分近くすぎてからのことでした。
先導してくれたのが流暢な英語をあやつる先刻のイケメンくんだったのが、せめてもの救いか。

異様に長い階段を何段も何段も降りて行く地下帝国。
なんでも地下40mほどの深さだとか。そりゃああた、深いわ。
地下深くなるごとに空気もひんやりしていきます。


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↑荷物置き場みたいな地下部屋ですが、たぶん岩の切り出し場。じゃないかな。


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↑一生懸命説明してくれるイケメンくん。いや。マジでタイプだわー。

しかし、彼の説明なんかまあはっきり言って聞いちゃいませんでしたわ。
だってなんちゅうか、あまりにも地下深くてですね。寒いし薄暗いし足下が見えにくいしこの先どんな所に連れて行かれるのかわからんし、何が起きても速攻で逃げ出せるように心の準備をしておかねば、てことで頭がいっぱいでして(なら最初から行くな)。

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↑こんな所も歩かされるし。

そして、圧巻はこのローソク部屋の後です。

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↑まるでなんかの儀式のような……。

「ここからはとても狭くて暗くて長い通路を通らなければなりません。暗闇や狭い場所が苦手な人は、ここで待っていてください」と彼が言うのを聞いて、思わずその場から走って逃げようかと思いました。でも、ローソク部屋で一人待たされるほうがもっとコワい。と気付き、結局ローソクを手にみんなの後をノソノソとついて行きました。

いやー。これはマジで恐ろしかった。
狭い通路っていうけどこれ、狭いなんてもんじゃありませんよ。だって私が正面向きで歩けるか歩けないか……ていうぐらいの幅で、両側はもちろん岩壁。大多数のアメリカ人達は、そんなに太っている人はいなかったものの私よりはるかに骨格が大きい人ばかり。私以外全員カニ歩きです。一番狭い場所では、私もちょっと斜めにならないと通れないか?と思うぐらいの狭さでした。
同じグループに1歳未満の赤ちゃん連れのシングルマザーぽい女性がいましたが、赤ん坊袋を前にぶらさげ背中にはパンパンのバックパックという出で立ち。ローソク部屋までは問題なくついて来ていましたけれど、この通路はちょっと無理。先頭を歩いていたイケメンくんが何度も振り返って
「彼女、大丈夫?ベイビーは?」
なんて気にしていましたけど、彼のすぐ後ろにいたアメリカ人カップルの彼氏が
「いやいやいや。絶対無理だって。来ない方がいいよ。無理無理無理。あり得ない」と必死で引き止め、あとは伝言ゲーム状態で一番後ろについてきていたベビー連れママに伝えました。
確かに進めば進むほど通路は狭くなり暗くなり、最後の貯水部屋みたいなところにたどり着く直前は、手元のローソク周辺以外は真の闇。前方を歩いていたイケメン君に必死のパッチでついていっていましたが、しまいにゃもー誰でもいいから待ってーーー状態です。
アメリカ人カップルの彼女ちゃんが、背後でぎゃーぎゃーわめいている私を気にして、時々ローソクを照らして待っていてくれましたが、彼氏とイケメン君は異常に早足で前進しつづけ、彼女もそれに歩調を合わせてぐねぐねと曲がりくねった迷路のような通路を進んで行ってしまい、彼らが前方の角を曲がってしまうともうマジでマジでマジで真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗ギャー何も見えないよーたすけてお母さん私が悪うございましたどうかどうかおゆるしくださいいいいいいいい。となりました。マジで。
貯水部屋にたどり着いた時は、かなり涙目です。ゼーハー言いながらたどり着いた私には目もくれず、イケメン君は淡々とガイドを続けます。

隣の教会地下にあるワイン貯蔵庫を案内してくれた後は、一旦外に出てまた別の地下街へ。
もう地下はいいかも……と思うぐらいローソクプレイが衝撃的でしたが、せっかくなのでイケメン君にのこのこついて行きました。
そこはローマ時代の劇場跡で、普通の民家の地下に長い間眠っていたんだとか。


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↑ホントに普通のお家です。

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↑まるで隠れ家のようにベッドをずりずりとしまい込むと

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↑かくれ階段が登場。

地下のローマ劇場はこんな感じでした。

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↑大きな劇場のほんの一部ですけど。

ナポリの典型的な庶民の民家の地下に、こんな遺跡が眠っているとは誰も知らず、ほんの数年前まで何も知らず家族が普通に暮らしていたなんて、やっぱりイタリアですねえ。

そして外に出ると地下巨大劇場の上の民家はやっぱり洗濯物一家……。

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↑正面右手、黄色い毛布の下が劇場出口。マジで人が住んでますな……。

いやー。地下帝国、スゴかったです。
あんな狭くて暗くて長い通路、きっとこの先一生歩く事は無いと思います。
多分この世で一番狭い通路じゃないかしら。
今思い出してもグエエとなるぐらい狭かったなー。
両側から壁が迫って来ておしつぶされる系の拷問には私絶対耐えられない。って改めて確信しました。はい。