ここ数日、風邪のせいもあって部屋にこもっていて改めて気づいたこと。
それはご近所さんの様子です。
ニューヨークのアパートは、概してあまり隣近所との交流が無く、同じ階に住んでいても廊下で出くわしたりエレベーターに乗り合わせたら『ハーイ』と声をかけあう程度。お醤油やミルクをかりに行くなんてことは滅多にありません。
その点ポール（マッカートニーじゃないほう）なんて、今住んでるアパートに１５０年ぐらい住んでるから（そしてきっとこれからも２００年ぐらい住み続ける）、上の階の人にミルクを借りに行ったのを一度目撃して、めちゃくちゃびっくりした記憶があります。
でも、私もブルックリンに住んでいたころは隣近所とのおつきあいが結構あったので、他人行儀（ていうか他人だけど）なご近所事情はマンハッタン特有のものかもしれません。
さて。
私の部屋の前のお部屋の住人は、背の高いハンサムな黒人男性。一人暮らしのようです。
彼はとっても愛想が良く、スイートでジェントルマンな感じの方で、廊下でばったり出くわし率ナンバーワンです。
服装もおしゃれだし、笑顔を絶やさない素敵な人なんですが、その生活は謎に包まれています。
つまり、彼も私のように９時から５時までの仕事ではなく、なんとなく不規則な時間帯にうごめいている謎な職種のよう。
そして、とってもスイートでジェントルマンな割に、ドアの開閉がとても乱暴です。
ドッカーンバッターンガッシャーン！！と毎度毎度エラい勢いでドアを乱暴に開閉するので、その度に我が家のドアがガタガタガタッッ！と激しく揺れます。
そしてその度に、誰かが家のドアを無理矢理こじ開けて乱入してきた！？と思ってビクーッとするんです。
お願いだからもうちょっとドアを静かに閉めてもらえませんか、と一度言おうかなと思ってはいるんですが、どうもちょっと言い出しあぐねています。
そして、さらに謎っぽいのは、彼のお家に女性が訪ねてくる率がとても多いことです（だんだんデバガメみたいになってきた……）。
いや。覗き見してるわけじゃないんですよ。
でも、私が出入りする時に、彼の部屋を訪ねてくる女性を頻繁に目撃するんです。
そしてその女性達は毎回違う人物なんですが、共通しているのはとってもとても背が高いということです。もしかしてモデルエージェンシー？とも思ったんですが、どうも……その……なんというか、女性達がモデルっぽくはないんですよね。長身だけど。
今のところ私の予測は、
１：彼はサイキックで自宅に客を呼んでセッションを行っている
２：彼はマッサージ師で自宅に客を呼んでマッサージしている
３：彼はデザイナーでフィッティングモデルを自宅に呼んで仕事をしている
４：ただのスケコマシ
さて。どれですかね。
さて、次はお隣のお宅。住民は姉妹のような不思議なインド人女性二名です。
彼女らも滅多に外出しないのか、私が出入りする時にドアの前を通ると、ほぼいつも話し声が聞こえてきます。テレビの音も同時に聞こえてきます。
そして、これまでに３度女性がドアを開けて出てくるところを目撃していますが、その３度とも、出る前にドアをほそーーーーーーーーーーーーーく開けて廊下の人影を確認し、体の幅ギリギリに開けたドアの隙間からスルリと抜け出すように出てきます。
一度、廊下を歩いてくる私に気づかずそうやってドアから出て来て、私と目があった瞬間、ぱっと部屋に戻ってしまったこともありました。
思わず「あ……なんか……すいません……」とつぶやいてしまいましたよわたくし。
私の部屋は廊下の一番奥にあるので、ゴミを捨てに行く時やエレベーターに行く時は、必ず彼女らの部屋の前を通らなければならないので、なんだか結構気を遣ってしまいます。
彼女達の部屋の前を通るときは、なんとなく急ぎ足になっちゃったりなんかして。
もう一人は同じ階ではなく、４階ほど下の階に住んでいる男性です。
お茶の水博士みたいな髪型の、これまたインド系ぽいおじさんなんですが、なぜかこの人ともエレベーターでの遭遇率が異常に高い。そして、遭遇するたびになぜかおじさんは
「ソーリーソーリー」と謝りまくってくれます。
思わずこちらも「ザッツオッケー」とか言っちゃうんですが、別に何も悪いことをされていないのに、なぜ？
エレベーターに乗り込んでくるときも「ソーリー」。私が後から乗り込んで行っても「ソーリー」。おじさんが先に降りるときも「ソーリー」。何から何までソーリー。
ああいやでも、そうか。この間日本人の男性が道ばたで誰かと携帯で会話をしているのが聞こえて来たんですが、その時の一方的な会話の９０％ぐらいが
「すみません」でした。
口調からすると決して何か悪いことをして謝っている風ではなく、相づちというか間の手というか、そんな感じで「すみません」を連発している感じでした。
「あっそうーですかあはいはいすーみませんはいもうあはいそうですねあはいはいそうもうあーすみませんはい了解しましたはいはいであそうもうはいええはいはいそうですはいもうはいあーすみませんはいそうですはいはいはいでもああもうすみませんはいええはいすーみませんですはいはい」
ていう感じです。
てことはお茶の水博士おじさんもそういう気分なのかな？
いや。
でもちょっと違うか。
いずれにせよ、今までとはちょっとちがった雰囲気の同じアパートのご近所さんたち。
これからどんな人と遭遇するかな。
同じ階の人とはもうちょっと仲良くなれるかな。
色々楽しみです。
↑廊下番コチョビ。