ペタしてね読者登録してね

今日、お夕飯をいつもの大食い一家=タカコ&ジュミペアと一緒にいただきました。
初めて行った高層階(39階)にある高級コリアンレストランでいただいたんですが、おごちそうもさることながら、その内装の東京っぽさと夜景の美しさ、食事している人々のノンキな様子が、何万人もの人にいまだ不自由さを強いている大型ハリケーンがつい数日前にやってきた同じマンハッタンとは思えず、全体的にびっくりしました。
コリアンタウンも、まるで何事も起きなかったかのような状態で、ネオンサインはピッカピカだし、レストランは当然全店オープン。人出の多さも、例年の年末にむかっている今時の様子とまったく同じでした。
なんだか信じられないねえ、と話ながら食事を終え、その後てくてくと一人家路についたんですが、ここからがまたびっくり体験です。
まだ暗くなる前にコリアンタウンに向かって歩いている時も、ミッドタウンイーストサイドは39丁目以南が停電で、信号ももちろん不点灯状態。おまわりさんが交通整理をしているんですが、それでも渋滞がひどくて全体的にカオスな感じでした。
それが、マジソン街を通り過ぎた途端、34丁目以南も通電している様子で、5番街に至っては、まるで全然普通の日常が展開しているのにびっくり。こんなに違うんだ。と思ってはいたんです。
そして、帰り道ジュミさんが、「途中暗いから気をつけてね」と送り出してくれたのに、うっかり忘れて35丁目をてくてくと東に向かって歩いていたら、マジソン街に出た瞬間、あっと思うぐらい突然の暗闇になってしまいました。
通りを渡った所におまわりさんが二人立っていたんですが、その向こうが真っ暗。
もちろん車も走っていますし、ちょっとだけ月明かりもありましたから、真の闇というわけではありませんが、でもいつものマンハッタンでは考えられない真っ暗さです。
周りのアパートの窓も全て真っ暗。
ロビーも真っ暗。
街灯も信号も、とにかく何もかもが真っ暗暗暗。
こんなマンハッタン、未だかつて見たことがありません。
2004年の大停電の時も、多分こんな感じだったんだと思うんですが、あのときは我が家も停電だったので、あまり思うように外出できませんでした。
それに停電は一晩か二晩だけだったので、コタさんとコタパのように、チョビと二人で室内にこもっていたせいか、夜間の暗いマンハッタンを歩いた記憶がありません。

慌ててマジソン街を、蛾のように明かりがある北に向かって歩き始めたんですが、どうにも足下がおぼつきません。
こ、こんなに暗いマンハッタン。あり得ない……
とつぶやきながら、携帯の懐中電灯アプリを必死で立ち上げようとしたんですが、慌てているとアプリがなかなか見つからないんです。
どうしてそんなに慌てる?と思われるかもしれませんが、人気が少なく暗い通りを歩くのは、ニューヨークでは御法度。どんな危険が潜んでいるかわかりません。
ブルックリンに引っ越したばかりの頃、真夜中過ぎに地下鉄駅から出た途端、マンハッタンと比べてあまりの人気のなさと薄暗さにビビりまくり、徒歩3分の距離をチビりそうになりながら猛ダッシュしたおぼえがあります。
それぐらい、暗闇と人通りのない場所には極力近寄らないようにする習慣がついているものですから、マジソン街といえど、これはビビりました。
立ち止まって必死でアプリをさがしている間も、おまわりさんのいない交差点では両方向の車が猛スピードで侵入し、あわや衝突事故寸前、という状態が繰り返されています。
ひー。ひーーーーー。ひーひーひー。おかあさーんひーーーー。
とまたもやチビりそうになりながらアプリを探し、やっと探し当てて点灯。
あーびっくりしたあーびっくりした。
とまた独り言を言いながら必死で数ブロックを歩きました。
考えてみればたったの5ブロックだったのに、なんと長く感じたことか。
その間、すれ違った人は3人。全員懐中電灯を持っていました。
そしてやっと40丁目にたどり着き、東に向かって右折。
ああ。。。。
明るい……。。。
なんて明るいの……。。。神様、ありがとう。。

まるで別世界です。
ふと背後を振り返ると、そこからダウタウンは真っ暗。
人っ子一人見当たりません。
前を見ると42丁目の明かりがギンギンギン。
大勢の人々が、わんさか行き交っています。
その違いに本当にびっくりしました。
こんな風景、滅多に見られるものじゃありません。

電気が無いと、人間ってこんなに困るものなんですね。
私なんて暗闇が元々苦手で、ちょっと部屋の電気が消えただけで、目の前真っ暗でパニクります。暗闇では視力が急激に落ちるんです。
野生の世界では、絶対に生き残れません。
ああ。文明とは、なんと便利でなんと不自由なものなんでしょう。
人間は動物なのに、もうすでに動物ではなくなってしまったのね……。
明るい通りを死ぬほどほっとして歩きながら、そんなことをつらつらと考えておりました。