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毎日あれこれ用事だらけ仕事だらけで、このところちょっと玄界灘。
少しだけ息抜きにキレイな空気を吸って広い海を見たいと思い、ポールに頼んでビーチまでドライブに連れて行ってもらいました。
ところがですね。
これがとんだ息抜きになりました。
いえ、一瞬の出来事だったんですけど、そりゃもう死ぬかと。

さくっと息抜きに出かけたのは、ブルックリン近郊のロッカウェイというビーチ。
ベルトパークウェイというハイウェイを走り、その後マリーンなんとかかんとかブリッジという橋を渡ったところにある、割合に綺麗で静かなビーチです。

ベルトパークウェイをドライブしている間も、あまりにもやることがたくさんありすぎて頭の中がパンパンな私は、ボーっと前方を見ているだけ。
でも、ポールはこのところ仕事の忙しさも落ち着いて、毎日ビーチに行ったり本屋さんに行ったり、結構余裕しゃくしゃくの日々らしかったんですが、彼はまた別の意味でボーっとしていたようです。
彼は消防車を運転するだけあって運転はとっても上手。アメリカ人には珍しく(というと失礼かしらん)、縦列駐車も神業と言えるほど上手です。
ですが、とにかく運転が荒い。
そして前方に走る車はなんでもかんでも追い抜きたいし、背後につかれるのも大嫌い。
どないせいっちゅうんじゃ、という感じですが、とにかくエラいスピードでめちゃくちゃ乱暴な運転をするんです。
ただでさえそんなポールが、この日はまた中途半端にハイウェイがすいていたもんですから、気がついたらそこら中の車をごぼう抜き。常日頃から、「もうちょっとスピード落としたほうがいいよ」とか「前方に車がいるからって、なんでもかんでも追い越そうとするのやめなよ」とか忠告しているんですが、私のそんな忠告なんて聞く耳もちゃしません。
というか、言えば言うほどよけいにやるタイプです。
この日も、ダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!と狂ったようなスピードで走り、右へ左へと車線変更の蛇行運転。
でも、私もボーっとしていました。
ポールの運転が荒いことにもいい加減慣れていたので、忠告もせずにただ助手席で惚けていました。
そして、はたと見ると前方で車が突然渋滞していたんです。
思わずドアにしがみつきながら前方を指差し「ちょっと!!!」と大きな声を出しましたが、ポールの反応がメチャクチャ鈍い!
普通だったら、あっ!と思って即急ブレーキのタイミングと距離感、スピード感なのに、1-2秒そのままぶっ飛ばし、ああもうダメだ……、と思ったのが多分0.1秒ほどのこと。
なんとかかんとかーーーーーーっっっ!
とわけのわからん呪いの言葉を(もちろん英語で)わめきながらポールが急ブレーキをふみ、タイヤからは白い煙がもくもくもくもくもくーーーーーーーーーーっっっ!
キュキキキキキキュキュキュキーーーーーーーーーーーーーーーー!!とまるでドラマの中のようなタイヤのきしむ音。
ハンドルコントロールを失いかけたポールが、必死のパッチでハンドルをグラグラ左右にまわしている様子や、右隣に居た車の運転手が、びっくり仰天してこちらを見ながらパーっと車線変更して離れて行く様子、2車線離れた車もスピードを落として私たちの車から離れようとしている様子。全てがスローモーションです。

もしかしてこのままぶつかったら死ぬか、あるいは大けが。
かも。
いや、どうしよう。
死ぬのもちょっと嫌だけど、痛いのとか苦しいのはすごく嫌だし、ていうか、いやっ、ちょっと、マジっっっっっ?
なんて考えながら、両手でドアの上のハンドルにしがみついていました。

前方に停まっていた車が眼前に迫った時、ポールがようやくブレーキを離してグラグラになっていたハンドル操作を取り戻し、やっと車がスローダウン。ギリギリでぶつからずにすみました。
そしてポールが一言「ザッツオッケー」

アホかーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
アホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホかアホか!!!
どこがザッツオッケーじゃっっっっっっっっっ!!
し、し、し、し、死ぬかと死ぬかと死ぬかと思ったわっっっっっっっっっっっっ!!!

「いや。でも今死んでないからよかったじゃないか」

そういう問題じゃねえだろうっっっっっっっっっっっっっ!!!

「エブリシングイズオーライ」

ばかっっっっっっっっっっ!!!ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかっっっっっっっっっっっ!!!
死ぬんならおのれ一人で死ねやっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!
乱暴な運転はおのれ一人の時にせんかいっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!
あ、あ、あ、あれだけ私が日頃から忠告してるのに、言う事訊かんばかりか、逆らうような性格だからこんなことになるんじゃっっっっっっっっっっ!このっボケっタコッカスッラッパッッッッ!!!!

口をきわめてののしらせていただきました。
その間、ポールはひたすら「でもほら。もう大丈夫だよ。死んでないじゃないか僕たち。全てはオッケーだよ。何も心配することはないんだからね」と言いまくっていましたが、ただでさえ疲れ果てた私の脳みそは、緊張とある種の興奮と恐怖でピリッピリ。
そして、ピリッピリなのになぜかボーっっっと集中力がさらになくなり、必死で言い訳をしているポールの言葉も半分以上は頭に入ってきませんでした。

ということで、ビーチで海を見るどころじゃなかった私のつかの間の休息。
やっぱり中途半端にサボろうとしたのがいけなかったのかしら……。

ああ。
チョビちゃん。
お空から「またあんなことやってるし……」って、あきれてみてるかなあ。
とにかく、死ぬほどコワかったけどお陰さまで無事だったので、チョビちゃんが守ってくれたんだと思うことにして、心安らかに休ませていただきます。
はー疲れた……。