今日チョビとお散歩に出かけたときのことです。
雨模様だったんですが、気温はさほど低くもなく、どちらかというとモアーとした湿気の高いチョビがあまり好きでない御天気でした(私もあんまり好きじゃない)ので、運河の方までテケテケと歩いた後、大通りの方を回って帰路につきました。

私の自宅ビルの一階は、メディカルオフィス。つまり病院です。
ブルックリンにある大きな病院の分室みたいな感じなんですが、オープン以来お年寄りの集会所と化しています。
新築の病院ですので、表は奇麗に舗装しなおされたコンクリートの舗装歩道です。
その歩道がチョビのお散歩ルートの一つなのですが、今日そこをテケテケテッテケーと歩いて居ると、前方病院前に濃いカップルが見えました。
濃いというのはですね、まあつまり濃いチューをしていたわけですよ。
それも、アンタそんな昼日中から公衆の面前でそこまでやるか?というぐらい濃いチューです。
チョビと二人で思わず立ち止まり、
うわっ。
と声が出たほどでした。(←ちょっとおばさん化?)

うーん。
道ばたチュー自体は別にいいんです。
見慣れてますし自分もしようと思えばできます(相手がいれば)。
でも、あまりのそのディープさに、もうちょっとよく観察したいようなしたくないような…。って感じだったんです。
チョビに
『どうするチョビ?近くで見る?』
とアホな相談をもちかけながらテケテケと近づいていったんです。
あんまりじろじろみちゃ悪いかな、と思いつつ、チラっと盗み見したところ…

げっ。
若っっ。

男性のほうの顔が見えた瞬間、ギョっとしました。
若っ。
ていうか、お前いくつだよっっ!
ていうかていうかっっっ!子供だろお前っっっっっっ!!!

なんか知らんけど、高校生にすら見えないガキが、年寄りの集会所前でディープなチューを繰り広げているんです。

おいこらっっっ。
場所をわきまえんかいっっっ。
いやそうじゃなくてっっっ。
子供のくせにチューするなよっっっっっ!


どうしよう。
近寄って頭はたいてやろうか(←ますますおばさん化)。
でもなあ。
女の子のほうが体がデカくて怖そうだし。
返り討ちに遭ったらどうしよう。
というより、ほっとけよ自分。


頭の中で色々な言葉が駆け巡りましたが、操り人形のようにギクシャクと歩くことしかできません。
ちらちらと見ながら通り過ぎようとしたまさにその時。

「ちょっと!あんたたちどこの子っっ!」

ドスの効いた声が前方から。

おお!
ドスドスと歩いてきたのは黒人看護士おばさん。

「どこの学校の子なのっっ!?」
大きく手を振りながら詰問するおばさんに、濃いガキカップルはパッと体を離し、無言で同時に同じ方向を指差しました。
それは私の自宅裏にある名門(←本当か?)中学校のある方向。

「あっそ!はよ家に帰りなはれっほれほれほれっっっ」

おばさんに追い立てられ、あたふたとガキカップルが立ち去りました。
エラいなあおばさん。
立派だよ。
アメリカでは体が大きいせいもあって子供の成熟度も早いのか、若いカップルの妊娠騒ぎや夜遊び問題がどんどん低年齢化の傾向にあります。子供が若いときから将来設計をしっかりと考え、方向性に従った進路選びを自分で考えるという良さもありますが、わけのわからんうちから大人の真似ばっかり上手になるのも考えものです。特に濃い目のチューとか。
自分に関係ないよその子にも、ああやってしっかり注意してあげられる大人って案外少ないと思うんですが、あのおばさんはその点立派だと思いました。

その後、病院の角を曲がったところで、ガキカップルが私の自宅前ゲートから中を覗き込んでいちゃつける場所を探していました。
私もおばさんの真似をして
「あなたたち、ここに住んでるの?」
と訊いてみたら、二人して無言で首を振って立ち去っていました。
側で見ると二人ともまだ幼い顔立ちで、素直そうな可愛らしい中学生でした。
こんな子供があんなチューを…。親は心配の種が尽きないなあ…。

で、その後、チョビとベランダに出て外を眺めていたら、またガキカップルが前の通りで濃いチューを展開していましたが、同級生に目撃され囲まれ、激しくからかわれていました。
いじめられていなけりゃいいけどなあ、としばらく眺めていたら、ほどなく全員家に帰って行きました。
あーあ。
チョビが人間の娘だったら、わたしゃ心配で心配で一人で学校になんて絶対行かせられないです(←過保護親)。
そうそう。
過保護な親のことを最近ホバリングペアレンツって言うんだそうです。
子供達を見張って目を離さない過保護ぶりを、ヘリコプターのホバリングに例えてるんですね。
チョビが人間だったら、私は間違いなくホバリングママです。