うーん。まだ熱があるんですが、ちょっとボーっとしてる感じが心地よくなくもないという、ちょっと変態風味な状態です。
実はチョビも昨日は半日具合悪そうにしてました。
夕方、私が具合悪くなりはじめてからチョビは元気になり、夕飯夕飯夕飯夕飯お散歩お散歩お散歩お散歩、とうるさくされてフラフラでしたー。
今朝もどたばたうれしそうに走り回ってるチョビを、体温計をくわえて眺めてました。外は御天気もいいし、早く良くなりたいです。


さて、ヘアサロン潜入記です。
その2週間ほど前の前調査に話はさかのぼります。
怪しいサロンに潜入して、60ドルで購入したVIPパッケージとは一体全体どんなものなのか。
騙されるのか?
騙されるとしたら一体どんな風に?
騙されて大失敗な髪型になったらそれはそれで笑えるか?
等々、あれこれ考えながらサロンを直接訪ねてみることにしました。
私の自宅から徒歩10分。エリアとしてはマーレイヒルの端っこ(マーレイさんという大金持ちがこのあたり一体の大地主だったのでこの名前がついたそうな)とコリアンタウンの境目あたりです。

かんばん
↑看板です。手書きの小汚い文字がショボい…。

この看板を見た瞬間、ダメかも…、って思いました。そこらじゅうにダメ感が漂ってます。
もうこうなったら、大失敗して笑いのネタにするしかないか…、とそれはそれで楽しみになってきました(やっぱり変態風味)。



二階窓
↑一応表通りに面している窓。
大きな壁一面の窓ガラスも、外から見ると微妙なダメ感がただよっているのはどうしてでしょう?


入り口
↑入り口はさらにダメダメな雰囲気。生きて帰ってこられるんだろうか?


エレベーターは、80年位待たないと降りてこない旧式の鈍足エレベーター。がしゃがしゃとやかましい音をたてて降りて来たエレベーターに乗り込み、二階のサロンへ向かいました。



frontdesk
↑フロントデスク。悪くないといえば悪くないけど、なんかごちゃごちゃしてます。もうちょっと片付けて欲しいです。


さて。フロントでは、無駄にセクシーな美人金髪お姉さんが、意外に(?)にこやかに出迎えてくれました。
「ハーイ」とにっこり微笑みかけられ、VIPパッケージのことで取材をしたいんだけど、と胸から下げたプレスパスをチラツカセてみました(職権乱用)。
ちょっと顔色をかえたお姉さんが、奥にいたものすごくうさんくさい雰囲気の男とつかまえて、スペイン語でなんやらかんやらまくしたてています。スペイン語を勉強していても、一言も理解できない私。情け無いです。

「ハーイ。VIPパッケージのことで取材ですか?どんな取材でしょう?」
ニコニコしながら胡散臭い男がやってきました。どうやらマネージャーのようです。名前はレイナールド。名前も濃くて胡散臭いです。
実はこのパッケージを道ばたで買ったんだけどね。自分のヘアも体験としてやってみたいんだけど、ついでだからこういうパッケージの道ばたセールスの実態のも取材してみたいと思ってやってきました。大体こういうのってインチキが多いっていうのが一般的なイメージだと思うんだけど、どうですか?
と単刀直入に訊いてみました。するとレイナールドさん。江戸っ子のようにモモをパシーンと叩いて言いました。
「よくぞ訊いてくれた!いやー素晴らしい!そうなんだよ。こういのをscam(スキャム/詐欺)だというふうに皆思っているだろうし、実際多くの詐欺が横行しているんだ。僕たちのように真面目にプロモーションしているサロンにとっては、本当に迷惑な話なんだよねっ。こうして訊いてもらえて皆に詐欺じゃないってことを伝えてもらえると、僕たちも本当にうれしいよっ」というセリフを、百万回繰り返してくれましたレイナールド。
それから「道ばたでパッケージを売っている連中は、僕たちが雇っているわけじゃないんだよ。プロモーターを雇う会社が別にあって、その会社がうちのパッケージをまとめて売るためにやとってる連中なんだ。彼らの中には嘘をついて客を取ろうとする連中もいるらしくて、それがまた僕たちには凄く迷惑なんだけど、そういうトラブルを防ぐために、ほら、ここに全部注意書きを書いてあるんだよ」
つばを飛ばしてまくしたてつづけるレイナールド。ちょっと落ち着けよ、と言いたくなるぐらい喋り続けています。

さて、彼が指差したパッケージチケットの裏には、こう書かれています。
『No verbal agreements with the promoters will be honored』
『プロモーター(道ばたでパッケージを売ってるあのうさんくさい連中)との口約束は全て無効です』といつまり、道ばたのインチキくさい連中が、パッケージがその場で売れりゃいいと思って適当なことを言って客をゲットして、その尻拭いがサロンに来るのを防ごうというわけですね。気持ちはわかるけど、この文章が、パッケージのインチキ臭さをいや増しているんですが。
「レイコ。僕たちのゴールはね。新規顧客をゲットすることもなんだけど、なんといってもカスタマーに満足してもらい、ハッピーな気持ちでこのサロンのドアから出て行ってもらうことなんだ。そうすればまた来てもらえるだろう?インチキでその場限りの60ドルを儲けることなんか、僕たちは考えていないんだよ」
うんまあそりゃそうだろうけどな。でもこの全体に漂うインチキ臭は、誰にもどうにもできんのではあるまいか?
「私の読者の方で、昔このパッケージを買ってひどいヘアカットをされたうえに、パッケージに入っているかどうか明確にせずにカラーをして、法外な請求をされたって人がいましたよ?それについてはどう?」
「オー!!なんてことだー。オマイガー」
いや。オマイガはいいから…。
「なんて申し訳ないことを。一体いつのことだろう?僕が働き始める前のことに違いないっ」
そ、そうか…?
「彼女は旅行で来ていたんだろうか、それともNYに住んでいる人なんだろうか?」
うーんとえええーと…。
「是非もう一度機会があったらサロンに来てもらえないだろうか。お詫びしなければ」
うーーーん。お詫びはいいけど、もう来たくないんじゃないかなあ…。
「僕が働き始める前は、このサロンもちょっと酷いことをしていたって聞いたことがある。でももう違うんだよ。絶対に絶対にお客さんを騙したりしない。だからほら。パッケージの裏に全部全部はっきり書いてあるでしょう?あと、追加サービスについても明記してあるし、値段も全部書いてあるんだよ」
確かにそうです。
「この個人プロモーターが売ったパッケージの価格なんだけど、君はいくらで買ったっていってたっけ?」
「60ドルプラスタックスで65ドル」
「その65ドルなんだけどね。それはこのサロンには一銭も入ってこないんだよ。それは全てプロモーターとその会社の収入になるんだ。僕たちは、このパッケージを買って来てくれたお客様が、僕たちのサービスを気に入ってまたリピーターとして顧客になってくれることを願ってこのサービスをしているんだよ。だから騙すなんてとんでもない」
とんでもないと私も思うよ。
「この裏に書いてあるでしょ?『サロンは、プロモーターの口約束は一切関知しません、というのと、初回サービスフィーの15ドルプラスタックスはいただきます』っていうの。これをちゃんと呼んでくれれば間違いは起きないんだよ」
でも起きたんじゃん。
「本当に申し訳ないことをした。一体だれなんだそいつは?」
お前じゃないのか?
「こうして『一切関知しません』って書いてあるけどね、実はサロンとしてはそうもいかないんだよ。なぜならプロモーターが勝手な契約をして、わざわざこのサロンに来てくれたお客さんに、イヤな思いをさせるわけにいかないからね。だからほら、ここにプロモーターの名前と一緒に別の名前が書いてあるでしょ?」
おお。ホントだ。裏にジョンって名前も書いてある(私にパッケージを売ったインチキ男はダニエルって名前)。
「このジョンがサロンが契約しているプロモーターの会社なんだよ。だから、もし万が一お客さんがプロモーターに騙されて嘘の契約条件でパッケージを買った、っていうことが判明した場合は、プロモーターに直接電話して、もししらを切られたりしたら、このジョンに電話しさせすれば解決するんだよ。ジョンがこのダニエルに電話して、お金を全額返金してもらえるようになってるんだ。どう、安心でしょ?」
ほうー。本当に返金してもらえるのかなあ?
それに、ダニエルってやつ、すでに私に二つ嘘をついてるぞ。
「えっ!どんな嘘!?」
まず一つ目は、初回サービスフィーは10ドルだって言ってたし、2つ目は、このパッケージに書かれている11のサービス(イメージコンサルテーション、シャンプー、コンディショナー、カット、ブロードライ、スキンチェック、ミニフェイシャル、眉毛脱毛、唇脱毛(こわい)、マニキュア、上半身15分マッサージ)全てを1日で受けられるって言ってた。でもさっきレイナールドは一回で3つから最高でも5つしかサービスを受けられない、って言ってたじゃん。
「オマイガなんてことだっオマイガオマイガっっっ」
いやまあ、ねえ…。あのうさんくさい連中がマトモな商売するとも思えんし…。アンタもマジで信用してたんだったら、相当マヌケだねえ…。
「よしっ。今からこのダニエルってヤツに電話してみよう。こいつのことは知らんけど、話してみよう。今からスピーカーフォンで電話しよう」
ええええー。や、やめようよう。気まずいよう(←突然日本人ぽくなる)。
「いーや。電話しなければっ。もし彼が本当に嘘をついて君にパッケージを売ったんだとしたら、金を取り戻してぎゃふんといわせてやらなければっっ」
ぎゃふんとねえ…。しかし気まずいねええ…。

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