松岡正剛氏

 

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ついにこの日が来てしまった。

そんな12月25日。

8月突然逝ってしまわれた松岡正剛氏の

玄月惜影會」へ。

("玄月"は松岡氏の雅号です)

 

「ファンシイダンス」の連載中、

若い修行僧を漫画で描いていることに

興味を持たれて、

仏具店のカタログのための取材を受けたのがご縁。

 

確か松岡氏の著作

「空海の夢」が出版された頃。

 

洗練された松岡正剛事務所で開かれた

各界の知識人、アーティスト、

学者、研究者、エキセントリックな人々が

大勢招かれ集った、年末の忘年会に

何度か誘っていただいた。

 

雑誌「遊」 工作舎 

時代の先端を切り開く

識者たちがわさわさと集まって

「知」の白い火花が飛び舞っていた空間。

 

松岡氏には

文化デザイン会議の夜学に

招いていただいたり

「妖魅変成夜話」の4巻には

あとがきを寄稿していただいた。

 

赤堤のISIS編集工学研究所

壁も柱も全て本に覆われ、

建物全体が書物で埋め尽くされて。

本の館 イシス館

 

松岡氏の姿なき呼吸の中で

久々にスタッフの 賢女皆さんに再会。

懐かしい逸話が交わされた。

 

館内には蔵書の無い壁に

松岡氏の事績の全てが

時系列で展示され、

モニターで上映され、

松岡氏の声がそこここに響き、

 

置かれている本の全てにも

松岡氏が宿っていて

呼吸していて

訪問者たちを包み込んでいる

そんな感覚に包まれた。

 

仕事を縫って描かれた

書や、作品たちも、

蔵書の間のオブジェとして。

 

美しい、洗練された

松岡氏の描かれた作品たち。

 

どれもこれも、

描線も空間も生きていて

 

松岡氏のとても古い魂の

長い長い記憶からの

知的な深みが漂って美しい。

完璧主義の傑作たち。

 

書斎の美。

階上の本棚に

さりげなく挿架された

瞠目の洋書たち。

 

松岡氏の事績の数々に隠れた

作品や、

珍しい蔵書を

写真の許可をいただいたので、

そっとここにシェア致します。

 

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書斎にあって、
撮らずにはいられなくて。

 

 

 

知と遊びが融合した
思わず笑みが湧いてしまう
お洒落な作品。

先生ったら、
こんなのお描きになって
いたんですね

 

 

古代エジプトと、
日本が融合して。

描線が美しくて。

 

 

とても古い
物事の真実を識る魂の
長い長い記憶が
肉体を通して
こんな美しい躍動的な
牛の姿を。

 

 

非の打ちどころ無い
モチーフ構成のバランスと
漂う知と遊びの感覚

 

 

 

 

書斎のデスク。

 

 

自ら作られた
鉱物の標本や

 

( 標本の紙は
タバコの火で穴を開けて
石の大きさに合わせて
石をはめ込んでいたそうです! )

 

 

何かの標本のオブジェ

中に"同行二人"有り

 

 

立体のオブジェ
イシス観音

 

 

書棚のこんなところに
セイゴウさんが・・・
と思ったら
アルチンボルドーでした。
似ていて。

 

 

あまり人のいない
細い廊下の書棚には
瞠目の蔵書たちが

美しい装飾の
ラヴレーの
" ガルガンチュア と
パンタグリュエル " が。

隣には
"ロビンソン・クルーソー"

 

 

ジョセフ・キャンベルの隣に
“ ニーベルンゲンの指輪 ” と
フィールディングの ”トム・ジョウンズ ”

アポロニウスの ” アルゴノウティカ ” !

 

 

目が吸い寄せられてしまうのは
“ Captain James Cook IN THE PACIFIC ”
ジェームズ・クック船長の
航海記でしょうか。

 

 

そして、瞠目の古書
“LA COMEDIA DI DANTE “
ダンテの”神曲”・・・。

気になって調べてみると
「 LA COMEDIA」は
ダンテのオリジナルの
タイトルなのだそう

1555年以降の出版から
美称 Divina が付けられて
「 La Divina Commedia 」 
 (聖なる喜劇)
となったのだそうです。

それらは
膨大な知識と事蹟と、
コレクションの中のほんの一部

主人を待つ聖なる古書
言葉になりません。

仙人が故郷の仙界に呼ばれて
遷っていかれた。

まだまだ止むことなく
知を求めて 学び
知の中で 遊んでいると

書物の森の中から
また ふっと、
あらわれてくれるかもしれない。

松岡正剛先生
ありがとう。

感謝とお祈り捧げて。

 

 

 

 

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"妖魅変成夜話 第四巻 "に
ご寄稿くださった あとがき
ここに残します。

 

 

実は、私は
水墨画の技法を
何一つ知らなて、
あの頃、等伯も応挙も宗達も
よくわかっていなかったので、

なんだか(私には)難しいけれど
水墨画に通業されている
先生は、様々な技法と比べて、
ありがたいお言葉を
お書きくださったなあと
思っていました。

「玄月惜影會」へ伺って、
どうして帰り際に
書棚の ダンテの神曲 を
示唆されたのか

あとがきを読み直すと、
繋がりあって

松岡氏の粋な計らいに
やっと気付くなんて。
愚鈍な私を

きっと仙界で タバコくわえて
ふっふと笑って
おられるのかもしれません。

頓首

 

 

 

 

 

 Reiko Okano

 

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