翠玉色の島「台湾」へ

                        感謝と、愛をこめて《その1》

 

 

 

台北国際ブックフェアーの季節に、何度か訪れていながら、なかなか紹介記事をまとめることができなかった台湾

 

どうしても、記しておかなくては、と、昨年末サイトの管理者に、年明け春節までに「台湾」の記事を書きますね!と宣言。

 

今日こそと、書き始めたその日、台湾の花蓮市付近で大地震が起きてしまいました。 なんと言葉を捧げたらよいかわかりません。

 

ただ、心から、被災地の花蓮県の皆様、台湾の皆様に、お見舞いを申し上げます。そして、地震の衝撃に、自粛してしまうことなく、「台湾」への思いをここに綴ります。

 

 

『妖魅変成夜話』の台湾版が出たときも、日本語よりもオリジナルに見えるくらい中国語が似合う台湾版に惚れ込み、(もちろん、『陰陽師』や『陰陽師 玉手匣』も出ておりますが!)OGDOADで紹介する準備をしながら、執筆の忙しさにいつの間にか流れてしまいました。

 

(※台湾版は、こちら◎台湾大手通販サイト「博客來」の
 岡野玲子著作リスト
をご紹介します。)

 

2006年のブックフェアーでは『陰陽師』関連で訪台したものの、一緒に訪れていた映画版『ブラックジャック』御一行様(声優の大塚明夫さんや水谷優子(故人)さん)のアテンドに入れていただき、夜に車を飛ばし平渓で夜空に天燈(てんだん)を上げたり、烏来で温泉に入ったりと、とても幻想的且つ、ゆったり美味しい観光も堪能させていただいておりました。

 

さらに、2006年の訪台の時は、帰国してから、まるで、台湾の女神様から、たくさんの宝物を添付したメールをいただいたかのように、その後の『妖魅変成夜話』第4巻以降の物語の展開が心に一度に押し寄せてきた経験があり、執筆の上でも、縁の深さを感じていました。

 

 

さて、満を持して、今回「シェア玉手匣」で取り上げるのは、2011年の台湾、台北国際ブックフェアー(台北国際書展)のことです。(やっと、サイトに上げられると思うと、鳥肌が立ちます。)

 

 

2011年の台北国際ブックフェアーは、内内には、台湾の国の100周年のお祝いにもあたり、100人のファンの皆さんへのサイン会のため、Taipei Book Fair Foundation(財団法人台北書展基金会)に招かれたものでした。

 

その時は、白泉社で『陰陽師 玉手匣』の連載が、まだ始まったばかり。

 

連載第2話目「源博雅 琵琶の名器 牧馬にめぐりあふこと その二」の原稿入稿翌日、台湾へ向かったのでした。

 

前年からの過密スケジュールの故に、日本を発った時、私の右手首は、腱鞘炎を起こしていて、右半身は強張ってという有様。でも、ホテルで一晩寝れるし、オーガニックコットンの包帯を巻いておけば、翌日のサイン会までには回復するだろうと思っていたのです。

 

サイン会当日、ブックフェアー会場に向かうためホテルを出る直前に、ブックフェアースタッフの皆さんのため、急遽35枚分の色紙のサインを頼まれました。

 

この日のために、わざわざ作られた色紙には、晴明と博雅に、Taipei International Book Exhibision 2011 と、百年幸福の文字がプリントされていて、とても綺麗な色紙でした。

 

 

慣れるためにも丁度いいとサインを始めたところ、私の右手首は、その時まで経験したことがないくらいダメージが残っていて、どんなに丁寧に書こうとしても、止めがきかずに手首が暴走して、35枚全て、それはとても皆さんにはあげられない、というようなサインになってしまったのです。

 

そんな経験は初めてでした。まさか手首がそこまで壊れているとは。

 

 

…これではせっかく集まってくれた100人のファンに綺麗なサインをしてあげられない…と、会場へ向かうマイクロバスの後ろの席で、私はさすがに泣いていました。

 

この日の記憶は、細部まで克明で。移動の間のバスから見える台北の街並みや、天候。少し寒かったことや、バスの中、同乗者の様子まで、覚えていて。

 

 

到着した台湾ブックフェアーの会場は多くのブースが設けられていて、それぞれにファンの方たちが集まって、独特の熱気に包まれています。

 

その一角にサイン会やイベントの為のステージが用意され、すでにたくさんの報道陣やファンの皆さんが集まっていました。

 

司会の女性に呼ばれるのを待つ間、私は手首の調子を探っていました。

 

 

続きます。

 

 

 

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