ハワード・ジョーンズ 「Hide and seek」
 

「シェア玉手匣」第5弾、ご紹介の前にまず『陰陽師 玉手匣』の原稿のお話から

 

『陰陽師 玉手匣』第30話(メロデイ12月号掲載)の最後の見開き、晴明と博雅の降り立った大江山の底の底、星界の穴を覗かせる宝珠型の根の山。

 

この根の山は、『陰陽師 玉手匣』第2巻の第8話「安部晴明、京の闇に 鬼の慟哭するを聞く その2」の導入部にも描いたものでした。

 

トーンや製版時の網のかかっていないクリアーな製作途中の原稿をオマケでお見せ致しますね。

 

叶うことならいつかどこかで、実物原画のクリアーな絡まり合う根の姿をお見せしたいものです。

 

さて、その宝珠型の根の山から始まった『陰陽師 玉手匣』第8話の、真葛が語る、ウーラノスとガイア、伊邪那岐命と伊邪那美命の破局、二組のカップルの間に関わるアプロディーテと菊理媛の物語を描こうとした時、頭の中に流れてきた曲がありました。

 

1983年、ロンドンのエレクトリック・ポップアーテイストの一人、ハワード・ジョーンズの「Hide and Seek」(邦題:かくれんぼ)。

 

80年代にロンドンで流行っていたロックやエレクトリックポップミュージックとは異色の、リズムの静かなこの曲は私には印象的で、歌詞をよく知らないままに作品『消え去りしもの』の執筆中にも繰り返しかかっていた曲でした。

 

即、曲を求め、辞書を片手に歌詞の意味を確認したところ、なんと、切なくも創造主とガイアの一番初めの創造の歌。嗚呼、今でこそよくわかるけれど、83年にハワードがこんな曲を書いてくれていたとは……!

 

調和の中に、融け込んで、跡形もなく姿を消してしまうのは、神、基い、存在の愛の本質。愛しい妻を思い天空をめぐる伊邪那岐と愛しい夫と別れ黄泉に降りた伊邪那美の、背景になった上立神岩のシーンは、この曲なしには描けなかったものでした。

 

というわけで、今回ご紹介の「シェア玉手匣」は◎ハワード・ジョーンズの「Hide and Seek」(かくれんぼ)

 

カール・セーガンの「コスモス」を思い起こさせるような、懐かしいプローモーションヴィデオがYoutubeに上がっていましたのでご紹介いたします。

 

一体何を歌っているのかわからない方も多いと思いますので、歌詞も。ご参考までに意味も載せましたので、どうぞ合わせてご覧ください。

 

 

 Hide and Seek

 

 There was a time where was nothing at all, nothing at all, 
 Just a distant hum.

 There was a being and he lived on his own
 he had no one to talk to and nothing to do.
 He drew up the plans,learnt to work with his hands.
 A million years passed by and his work was done.

 

 and his words were these…

 

 "Hope you find it in everything,
 everything that you see
 Hope you find it in everything,
 everything that you see
 Hope you find it, hope you find it
 Hope you find me in you."

 

 So she had built her elaborate home with it's ups and It's downs,
 It's rain and it's sun.

 

 She decided that her work was done,time to have fun, 
 and she found a game to play.
 Then as part of the game,she completely forgot
 where she'd hidden herself.

 

 and she spent the rest of her time trying to find the parts. 

 

 "Hope you find it in everything,
 everything that you see
 Hope you find it in everything
 everything that you see
 Hope you find it, hope you find it
 Hope you find me in you."

 

 There was a time when there was nothing at all, nothing at all,
 Just a distant hum.

 

 

 かくれんぼ

 

 遠い微かなうなりの響き以外何も無い、
 何も無い時があった

 

 そこには存在があり、彼は彼そのものの中に生きていた
 何一つとて話すことも無く、何をすることも無く
 彼は計画を立て、自らの手で行うことを学んだ
 何万年もの時が過ぎ、彼は作業を完了した

 

 そして彼の言葉は…

 

 "あなたが全ての中に、あなたが見る全てのものに、
 それを見つけるのを願って、
 あなたが全ての中に、あなたが見る全てのものに、
 それを見つけるのを願って、
 それを見つけてくれるのを願って、それを見つけてくれるを願って、
 あなたが、あなたの中の私を見つけてくれることを願って。"

 

 彼女は彼女の精妙な住まいを建てた。
 起伏と、雨と太陽によって。

 

 彼女は彼女の作業を成し遂げてと決断して、楽しむ時が訪れた
 そして彼女は遊ぶためのゲームを創った
 そのゲームの一部となって、
 彼女は、自分自身の中に自分を隠したことを 完璧に忘れた

 

 そして彼女は残る余生をそのパーツを探すことに費やした

 

 "あなたが、全ての中に、あなたが見る全てのものに、
 それを見つけるのを願って、
 あなたが、全ての中に、あなたが見る全てのものに、
 それを見つけるのを願って、
 それを見つけてくれるのを願って、それを見つけてくれるを願って、
 あなたが、あなたの中の私を見つけてくれることを願って。"

 

 遠い微かなうなりの響き以外何も無い、
 何も無い時があった

 

 

◎ハワード・ジョーンズ オフィシャルサイト

                   2015年11月8日Reiko Okano