「オーストラリアのおかしな家族14:偏った愛情は、パーソナリティ障害を増長させてしまう」はコチラから
DV元夫と当時7歳の娘の面会は、ベビーシッターの『監視』の元で、2週間に一度の土曜日に行われた。
だが面会の影響は、ほどなくして表れた。
娘が私を責め始めたのだ。
娘:「ダディはマミーの事を愛してるって言ってる。ずっと一緒に暮らしたいって言ってるのに...。全部マミーが悪いんだ!」
「愛してる」と、口で言うのは簡単だ。
けれど、
「愛してる」を、行動で相手に分かってもらうように示すのは...難しい。
それを、当時7歳の娘に説明するのは...本当に、とても難しかった。
私:「マミーを愛していると言っているのに、マミーを殴ってけがをさせたりするダディは、本当にマミーを愛していると思う?」
娘:「...思わない」
私:「マミーを愛していると言っているのに、そのマミーを悲しませたりするダディは本当にマミーを愛してると思う?」
娘:「思わない。」
私;「マミーを愛していると言っているのに、何でダディはマミーの事悪く言うの?それで本当に愛しているって信じられると思う?」
娘:「...思わない。」
娘に、『愛している=暴力や悪口を容認する』 という元夫の思考が定着する前に、自分で考えさせなければいけないと、私は思っていた。
更に、
娘:「ダディが、マミーは”金の亡者“だって言ってた!」
と言われた時は、お金の流れから説明した。
私:「お金はどこから来るか知ってる?」
娘;「銀行?ダディはいつも銀行からお金を出してた。」
私:「うん。でも、銀行はお金を預かっているだけだから、銀行に最初にお金を入れないと引き出せないの。誰が銀行にお金を入れていたと思う?」
娘:「...政府?」
私:「うん。ダディは仕事しなくなってから政府から少しお金を貰ってた。でも、殆どはマミーが働いて、銀行にお金を入れてた。ダディはそれを使ってたの。家賃を払っていたのも、ダディが使っていたインターネット代を払っていたのも、食べ物を買っていたのも、全部マミーのお金。それでもマミーは”金の亡者“だと思う?」
娘:「...思わない。」
マミーとダディのどちらの言う事が理に叶っているのか?
時間がかかるが、こんな風に常に娘に考えさせた。
一度だけ、
娘:「どう思う?って聞かないでよ。もうウンザリ。もう考えるのは嫌!」
と、怒った事だある。
私:「人間には考えるための脳があるの。考えなくなったら、他の動物と変わんないでしょ?」
と返した。
それ以来、娘は考える事を嫌がらなくなった。
大人になった今は、人に考えさせる会話が大好きだ。
実は私も子供の時に同じ経験をした。
父が私に言う事と、母が私に言う事は、180度違っていた。
お互いを悪く言っていた。
子供心に、どちらが本当に悪いのか考えていた。
母はヒステリックに叫ぶ。
父は何を言っても無視。
当時は母の態度が嫌だった私だが、年齢を重ねると共に、父の偏った考え方が悪いと分かって来た。
今の我が父は、
「愛してるから離婚しないんだ」
と、いう。
とても偏った愛情だ。
だけど、父に問題がある事は理解しても、母の心の苦しみを理解するまでには、当時の私は至らなかった。
今の我が娘の方が、当時の私より親の心情を理解出来ている。
我が娘が、
「DVパートナーとは、子供が物心つく前に別れたほうが良い」
と言う背景には、こんな風に180度全く正反対の思考を持つ両親の狭間に入れられた子供の、精神的な苦痛を知っているからに他ならない。
家庭内暴力を経験した子供は、何かしらの『PTSD』を抱えている。