▼ アルブミン
潰瘍性大腸炎が再燃し、緊急入院になったちゃちゃさん。診察時に大急ぎで受けた血液検査の結果のひとつにアルブミン値が、1.7という驚異的な数字がありました。
解説:アルブミン値
- アルブミンの正常値は 4.0g/dl 以上で、3.5g/dl 以下は『低栄養』。
- 肝硬変により肝臓機能が低下すると、疲労、食欲不振になったり、体重が減少したりなどの症状や合併症を引き起こす。
- アルブミン値が3.5g/dl以下のときは、肝臓機能低下を疑う。
- 2.4g/dl 以下だと半数が亡くなっていた。
なぜアルブミン値が低くなると、命が危険にさらされてしまうのでしょう
▼ 血液成分
血液は、遠心分離器にかけると、赤血球、白血球/血小板、そして、残りの血漿に分かれます。
◎ 図: 輸血用の血液パックの成分構成
図の黄色の部分は血しょうで、100種類以上のタンパク質からなっています。
血しょうの60%から70%を占めるのはアルブミンで、酸素や栄養素、二酸化炭素、ステロイド、薬、ゴミ、毒などを運搬します。
◎ 宝船アルブミン
▼ 赤血球とアルブミン
アルブミンは、酸素と二酸化炭素を運ぶ。
あれ? 赤血球も確か同じものを運んでいたのでは?
◎ 図 毛細血管の中
赤が赤血球、薄水色がアルブミン。上下の灰色楕円がある黄土色は血管の内側を覆う細胞たち
O2は酸素。CO2は二酸化炭素。
アルブミンは、赤血球に酸素と二酸化炭素を渡しています。補給係なのかな?
▼ 体内のアルブミンの分布
アルブミンは、血管の中よりも血管の外のほうが量が多い。筋肉や細胞と細胞の間にある水分の中にも含まれます。
体内のあらゆる場所にあり、酸素、二酸化炭素、栄養や薬を届け、毒(薬)やごみを回収する。万能型配送係です。
▼ アルブミンが運ぶもの
万能運搬係は、具体的に何を運ぶのでしょう?
- 栄養: アミノ酸(タンパク質)、脂肪酸、ブドウ糖(炭水化物)
- 微量原子:亜鉛や鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、ヨウ素、コバルト、モリブデン、セレン、他。
- 酵素、二酸化炭素
- 100種類以上のホルモン: 例:ステロイド、インスリン、ドーパミン、アドレナリン、ビタミンD3、成長ホルモン、女性ホルモン、男性ホルモン・・・
- 薬:ステロイド剤、鎮痛剤、心臓や腎臓、腸などの薬、全身麻酔薬、高血圧抑制剤など。
- 毒(薬を含む)
- ゴミ: ビリルビン(赤血球が壊れた時に出る)
▼ アルブミン不足
アルブミンが減ってしまうと、以上の物質が体内の必要な場所に送られなくなる。
どれもこれも、からだを生かすために必要な物質です。
アルブミンの正常値は 4.0g/dl 以上で、3.5g/dl 以下は『低栄養』。
検査値が低すぎる場合は、即刻、治療しないと大変なことになる!!
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0939641116305173