●ステロイド)減薬1:副じんがステロイド長期投与で萎縮 | 潰瘍性大腸炎 & クローン病&過敏性腸症候群の改善・完治・根治

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ステロイドと減薬について調べていて、とてもわかりやすい説明をみつけたので紹介します。

 

川合眞一 東邦大学名誉教授 医学部炎症・疼痛制御学講座教授

 

▼ 長期間投与を中止する場合は「減薬」が必要です

 ステロイドの投与を突然中止すると、副腎不全をきたし、死に至ることがあります。

 

 

▼ 副腎の萎縮

ステロイド療法中の場合、副腎は外部からのステロイド補充によりホルモン分泌が抑制され、機能低下が長期間続くと萎縮が生じます。

そのため、長期間投与後にいきなりステロイドを中止すると、萎縮した副腎機能の回復が追いつかず、副腎不全や全身倦怠感、脱力感などのステロイド離脱症候群が引き起こされることになります。

 

▼ 副腎が委縮後の回復期間

 特に、膠原病などの自己免疫疾患では、症状をしっかりと抑えるために数カ月単位での投与が行われます。

こうした長期にわたるケースでは、副腎が萎縮していると考えられます。その副腎が回復してステロイドホルモンが正常に分泌されるようになるまでには、相当な期間が必要です。

 

▼ 副じん回復までの期間

1960年代の検証ですが、ステロイドを大量投与して副腎萎縮になった患者さん、もしくはクッシング症候群(ステロイド分泌過多による病気)で原因となった腺腫がある側の副腎を取り、反対側の副腎が萎縮していた患者さんが、回復するまでの期間を観察したところ、完全な回復には9 カ月を要したという結果が出ています。

 

*副じんは、背骨の左右2か所にあります。片側の副じんでステロイドホルモンの分泌が過剰になると、反対側の副じんはステロイドの産生を止めて萎縮してしまいます。前述のケースでは、片側の副じんに腫瘍があったため手術で摘出。

手術後、萎縮していた副じんが回復し、完全に機能するまで9カ月が必要だった。

 

▼ ときには1年

回復力には個人差があるので、安全域を考慮すると回復期間は1年程度と考えられます。

 

▼ 副腎萎縮の場合、ステロイドを投与しながら減薬

このため、症状が治まったタイミングですぐに投与を中止するのではなく、徐々に薬を減らす「減薬」をしていくことになります。

 

▼「減薬」はどのように行うか知っておきましょう

 減薬の目安としては、初期投与を2~4週間続けた後、1~2週間ごとに約10%ずつ段階的に投与量を減らし、再燃の徴候がなければ中止します。

 

 また、最近では、シクロホスファミド(がん治療)など強力な免疫抑制薬が出ており、それらと併用することでステロイドの初期投与量が少なくなり、減薬速度も速くなってきました。

 

▼ 服腎不全

 減薬の際に注意したいのは、副腎不全とステロイド離脱症候群です。

 

副腎不全は、一般的に、プレドニゾロン10mg/日で6カ月以上の投与、あるいは総投与量が1000mgを超えるケースで起こるとされます。

 

▼ ステロイド ホルモンは1日あたりプレドニゾロンで2.5mgから5mg

「減薬」とはいうものの、その発症や再燃のリスクを減らすためには、正常時に体内で分泌されるコルチゾール1日量に相当するプレドニゾロン2.5mgからその倍量である5mgぐらいは維持したほうがよいと思われます(維持量)。

 

▼ ステロイドの維持量とは

離脱が難しく、一定量以下の投与量で再燃が多い場合は、その投与量を継続投与する。

 維持量が十分に下げられない場合は、免疫抑制薬などの併用療法を行うことで、ステロイドの減量を試みる。

 

▼ 再燃時

特に再燃の場合は、以前よりも確実に病状が悪化し、ステロイドの投与量も初回より多くなります。

 

▼ 維持量は再燃防止に必要

維持量についての見解は明確ではありませんが、再燃防止のためにも、多くの場合維持量は必要と考えられています。

 

▼ ステロイドの中止にはガイドラインがない

ステロイドの中止についてはガイドラインがあるわけではなく、これまでの臨床経験に基づいて最良と考えられる方法が取られています。

 

◆check◇ すぐに中止可能なケースもある
 ステロイド療法には、すぐに中止しても問題がないケースもあります。

例えば、白血病治療では2週間、突発性難聴では1週間という期間でステロイド投与を行い、すぐに中止します。

これは、投与期間が1~2週間と短期であることで、副腎が萎縮までには至らず、分泌能力が十分に保持されており回復が早いと考えられるためです。実際1~2日間は倦怠感などがあるかもしれませんが、問題なく回復します。

 現在、どのくらいの投与期間、総投与量で副腎が萎縮するかといった明確なエビデンスはありません。しかし、これまでの臨床経験の集積によって、2週間程度の短期間であれば、すぐに投与を中止しても問題がないとされています。

 

 

 


くとよいと思います。