数年前に自転車で転んで、左手首の小さな骨を折ってしまいました。
カナダで痛み止めの薬と言えば、イブプロフェンかタイレノールです。医者からは、イブプロフェンを使うように言われました。タイラノールは使はないようにと念押しされて。
同じ痛み止めなのに、違いがあるの?
当時、医者からは、ステロイドの話は出なかった。なにがどう違うのでしょう?
▼ 薬局で買える痛み止め
市販の痛み止めの薬は、主なものは3種類あり
1) ステロイド (塗り薬で他の成分入り。飲み薬は、処方箋がないと買えない)
2) 非ステロイド NSAID'S
1.アセチルサリサル酸
2.イブプロフェン
3.ロキソプロフェン
3) アセトアミノフェン
▼ 商品名
商品名を紹介します
1) ステロイド: プレドニゾンⓇなど
2) 非ステロイド NSAID'S
全部で3種類あります。
- アセチルサリサル酸: アスピリンⓇ
- イブプロフェン: EVE イヴⓇ、 ロキソニンⓇ、コルゲンコーワIB錠Ⓡ/総合感冒薬、ノーシンⓇ、ファーマチョイス解熱鎮痛剤Ⓡ、リングルアイビーⓇ
- ロキソプロフェン: ロキソニンⓇ
3) アセトアミノフェン: バッファリンルナⓇ、タイレノールⓇ、カロナールⓇ、ナロン顆粒状Ⓡなど
▼ ステロイド
市販されているのは、塗り薬で他の成分も混ざっている。
ステロイドのみの塗り薬、飲み薬、点滴用は、医師の処方箋が必要。
▼ 非ステロイド NSAID'S
市販されている。
痛み、炎症、むくみに効力がある
潰瘍性大腸炎/クローン病/ぜんそく/SLEは、使用要注意
▼ アセトアミノフェン
市販されている
痛みや熱を抑える
▼ 働きの違い
◎ ステロイド:
細胞の膜の中にある油アラキドン酸は、炎症が起きると、ハサミで切られ、細胞の中に入る。炎症時のSOS信号に気がついた将軍も細胞の中に入り、炎症をさらに起こす物質を作らせる。
ステロイドは、それを防ぐため、油アラキドン酸が、細胞の中に入らないように邪魔する。
- (難解)ステロイド-GR複合体が遺伝子に結合し、転写を活性化することによって、炎症を抑える蛋白の合成を促す。しかし、このとき解糖系酵素の遺伝子転写なども亢進するため、副作用の発現もきたす。
- 実際に作用を発現するまで30分から2時間程度の時間を要する。ちなみにヒトでは、ステロイドを経口投与した場合、投与後4時間でその作用が最高に達するとされている2) 。
◎ 非ステロイド:
炎症が起きると、脳に神経を通して痛みを伝える物質が作られる。
一方、油アラキドン酸は細胞の中に入ると、変身してプージンになる。プージンは血管の中に入り、脳の中に送られてきた上記の痛みを伝える物質に加勢をして痛みを強くする。
非ステロイドの薬は、油アラキドン酸がプージンに変身しないように邪魔する。
◎ アセトアミノフェン:
詳しい働きについてはわかっていません! 予測されるのは、痛みを起こしている部位の神経に働きかけ、その信号が脳に痛いと感じさせる。その痛みを弱めるため、痛みの部位に信号を送る。
▼ 非ステロイドとアセトアミノフェンの違い
非ステロイド
脳やからだの部位に働きかける
65歳以上は、副作用が心配されるため、北米では使用を勧めなかったり、使わないようにと指示している。
▼ アセトアミノフェン
脳に働きかける
胃に比較的優しい
非ステロイドよりも安い
▼ 症状別
打撲の時は、腫れと痛みがあれば、非ステロイドがおすすめ
頭痛は、アセトアミノフェン
胃腸障害や腎障害の副作用はありません。しかし、アセトアミノフェンの副作用として肝障害には注意が必要
▼ 非ステロイドとアセトアミノフェンは一緒に使用できるのか
両方を一緒に使うことができます。ただし、量は減らすこと。
薬を2種類使うときは、それぞれの決められた飲み時間の間隔をしっかり管理する必要がある。
たとえば、1種類が8時間ごと、もう1種類が6時間ごとの場合、スケジュール表を作って飲む。
▼ 痛みが強くなってしまったら効果がない
薬はできるだけ飲みたくない。そんな気持ちから、痛みがひどくなるまで待ってから飲む人がいます。それでは、手遅れです。
痛み止めの薬は、痛みが始まったらすぐに飲みます。待っていると、からだの中で痛みを起こす作業が進行してしまい、そうなると、薬を飲んでも効果はありません。
もしも、痛みが起きることが予想される場合は、あらかじめ、痛み軽減のため躊躇することなく使うべし。
ひどく痛くなってしまったら、市販の薬は効きません。なので、飲むのをあきらめる。
激痛の場合は、やり過ごせないのであれば、救急車を呼ぶ。