▼ 1975年潰瘍性大腸炎患者数は965人
1975年、潰瘍性大腸炎は難病と指定され、基準に達した場合、軽症でも薬代や診察代がすべてカバーされました。
難病とは、患者数が日本の総人口の0.1%程度に及ばないと定められています。
1975年の当時の人口は、1億1152万人で、0.1%は、1万5千人。潰瘍性大腸炎の患者は、1975年当時は、965人。そのとき、将来その数字が万単位になるとは、ひとりして思わなかった。
▼ 2000年 患者数は6万人を突破
しかしその後、患者数は増加の一途をたどりました。
難病のシステムが開始されてから25年後の2000年。患者数は6万人を超えました。潰瘍性大腸炎の原因は不明のままで、完治のための治療方法はなく、治療薬は、ペンタサ®やアサコール®ぐらいしかありませんでした。
当時、厚労省の担当部署では、このままではとんでもないことになると、論議が交わされていたと想像します。
▼ 2011年 患者数は13万人に
2011年。潰瘍性大腸炎の患者数は13万3543人。2000年は6万人だったので、わずか11年間で2倍増でした。
日本の総人口は、1億2780万人。潰瘍性大腸炎の患者数は、0.1%を突破。
当時の治療には、新開発され販売されていた生物学的製剤が使用されていました。レミケード®、ヒュミラ®、シンポニー@。薬代は、ひとり当たり月額で6万円から11万円と高価でした。一方、安価な薬の開発はなかった・・・。
厚労省の担当部署や関係者らは、患者数増加と治療費上昇というデータを目の前に、このままでは財源が破綻してしまうと大激論になっていた。
▼ 指定難病リストから削除されそうに
厚労省は、指定難病の枠である総人口の0.1%を超えてしまったこと、将来的に患者数はさらに増えることを想定し、潰瘍性大腸炎を指定難病から外すしかないと判断。
これに対し、全国組織の潰瘍性大腸炎の患者の会が猛反発。最終的に、指定難病から外されることはありませんでしたが、医療受給者証の交付条件が厳しくなり、軽症の患者の一部は、交付を受けることができなくなりました。
2022年末の潰瘍性大腸炎の医療受給者証の交付人数は、14万1387人でした。人口は1億2494万人だったので、0.131%です。0.1%を超えていた・・・。
もしも、2015年の新基準が採用されることがなかったら、その数字はどのぐらいだったのでしょう。
2016年に厚労省は、潰瘍性大腸炎の総患者数は、22万人と推計していました。
2022年に、ある調査会社が、医療側と患者側に大規模なアンケートを実施し、潰瘍性大腸炎の治療を受けていた人の実数を把握しました。結果としては、当時の患者は、28万人だったと推測されています。
2022年の潰瘍性大腸炎の総患者数は、28万人。総人口の0.23%です。一方、医療受給者証の交付人数は、14万人。
医療受給者証の交付を受けなかった潰瘍性大腸炎の患者は、十分に治療を受けることができていたのでしょうか?
2016年 22万人 厚労省
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2016/162051/201610043B_upload/201610043B0011.pdf