2024年6月の第二定例会において会派で行った一般質問について掲載します。

正式な議事録は区議会HPから後日ご覧になれます。

 

空き家対策について 

 

  質問

 

総務省が今年4月に発表した「令和5年住宅・土地統計調査」の速報集計の結果によると、昨年10月時点の全国の空き家の数は総住宅数の13.8%にあたる900万戸となり前回2018年の調査から51万戸増え、過去最多となりました。 

空き家問題が深刻化する中、昨年12月、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部が改正されました。 

また、国は所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制を見直し、今年4月から相続登記の申請の義務化をしました。家や土地を相続した所有者は「相続登記」や「住所等の変更登記の申請」が義務付けられ、期限内に登記がなされない場合は過料が課され、将来の売却にも影響が出てきます。 

政府広報オンラインによると、現在、日本では空き家が増え続けており、使用目的のない空き家の数はこの20年間で約2倍に増加しているそうです。空き家を放置すると、倒壊、景観悪化、不法侵入など様々な悪影響が生じるおそれがあり、大きなトラブルにつながりかねません。特定空家になってからの対応には限界があります。全国の基礎的自治体には、これまで以上に、地域の実情に応じた、空き家の活用や、適正管理の推進を強化していくことが求められています。 

SNS全盛の時代、常に誰かとつながっているようでいて、気づけば近所に気軽にあいさつできる相手もおらず人間関係の希薄化は現代人の抱える悩みであり「居場所」を感じられるような「コミュニティーカフェ」が首都圏でも広がりをみせています。 

世田谷区のある商店街は空き店舗を活用して、コミュニティーカフェが月に2回ほど「コミュニティディナーを開催して地域の方が食卓をともにしているそうです。 

また、埼玉県川越市では、市民団体を中心に180人が年会費3000円を払い、昼間はシニア層向けの定食屋、夕方や週末は子どもたちの学習指導や子ども食堂として運営しています。地域の課題を解決することが、自然と人と人を結びつけており、人とのつながりが見直されるなか、コミュニティーカフェは一層広がりをみせることが想定されます。 

一方で、練馬区でも同様に、平成28年から「空き家活用相談窓口」を設置し、空き家を貸したい人借りたい人のマッチング事業を行われており、地域の子育て広場に生まれ変わった事例が紹介されています。しかし、実際に契約まで至った件数は7件とマッチング率は低く、活用がなかなか進まないのが実状です。現状、需要と供給のバランスがとれておらず、貸す側と借りたい側で金銭的に隔たりがあることが多いと聞いています。空き家の利活用の推進に向けては、何年も同じ議論がされていると思いますが、先般の法改正を受け、区として“空き家の利活用をより一層強化していく課題”にどう向き合っていくのかご所見をお伺いいたします。

 

先般の条例改正では、区独自の取組として、区長が管理不全空家等として認定するなど、今後は特定空家等に至る前の事前対策をこれまで以上に強化するものとなりました。地域の良好な生活環境を確保し、安全で安心な地域社会の実現に向けて、早い段階から、空き家の所有者にアプローチし、適正管理に導いていただくことを要望しますが、区のご所見を伺います。

 

空き家の未然防止対策について。 

区内の高齢化率は増加傾向にあります。高齢者の方々が元気なうちから今後のことを親族と一緒に考え、いつ発生するかわからない相続問題に向き合っていくことが不可欠です。親族がいない方や親族に相談できない方は終活相談を活用することもできます。そうした、いわゆる終活の中で、空家対策を含めて考えることが必要だと考えます。 

今年4月より、地域包括支援センターに、「生活支援コーディネーター」が配置もされました。 

同センターでは権利擁護事業も行っていることを考えると。一人暮らし高齢者世帯の方へ、空き家の相談事業を案内するなど発生予防段階からの対策を強化してくことも検討できるのではないでしょうか。区のご所見をお伺いいたします。

 

 

 

  答弁

 

●環境部長

平成27年度に実態調査を行った際、区内の空き家は約1500棟ありました。
平成20年7月に、区は、練馬区空家等および不良居住建築物等の適正管理に関する条例を制定し、空き家対策事業に取り組んでまいりました。調査において特に老朽度が高いと判定された空き家30棟については、法令に基づく指導や特定空家の認定・勧告等に積極的に取り組み、これまでに全ての除却等が行われました。近隣の方から樹木繁茂や越境、建物の老朽化などの懸念が区に寄せられた空き家については、現地確認、不動産登記等の調査により所有者等を特定し、助言や指導を行っています。
区内の空き家の多くは住宅として利活用が可能なものです。不動産市場での流通も見込まれることから所有者等に対して、区と協定を結んだ司法、不動産、建築などの専門家団体の相談窓口を案内するとともに、セミナー、個別相談会を開催して空き家の有効活用を促しています。

こうした取組を通じて、昨年度末までに区内の空き家は約450棟となりました。また、区では、練馬区環境まちづくり公社と連携して、「空き家を福祉的事業等として活用を希望する地域団体とのマッチングに取り組んでいます。相談件数は年々増えており、昨年度は新たに2件の契約に至っています。

 国は、特定空家に至る前段階での対策を強化するため、空家等対策の推進に関する特別措置法を改正し、令和5年12月に施行されました。法改正によって、適切に管理がされず、放置すれば特定空家等となる恐れのある状態の空き家を、新たに管理不全空家等と定義し、その所有者に必要な措置をとるよう指導・勧告ができる規定が追加されました。区は法改正を踏まえ、条例改正を行い、区独自に管理不全空家等の認定・解除を行う規定を設けました。現在、区内の空き家の状況や、それぞれの老朽度について再度実態調査を実施しています。調査結果を踏まえて、令和7年度に空家等対策計画を改定し、管理不全空家等への対策に取り組んでまいります。
 空き家等の適正管理と利活用の推進とともに、空き家の発生を抑制する取組が肝要です。

お住まいの所有者がお亡くなりになり、相続した子どもや兄妹などが空き家としている例が多く見受けられます。自身が住まなくなった後の住まいの対応や家財の整理について、あらかじめ取り決めておくことが必要です。今年度、練馬区社会福祉協議会が終活相談窓口を設置しました。社協と連携し、窓口においてお住まいに関して区が実施する空き家の相談会への参加を促してまいります。引き続き、空き家の適正管理と発生抑制に努め、地域の良好な生活環境を確保してまいります。