2024年2月の区議会第一定例会において会派の一般質問が行われました。

一般質問で取り上げた内容について答弁とあわせて掲載します。

正式な議事録は区議会HPよりご覧になれます。

 

 

単身高齢者への支援について

 

 

  質問

 

未婚率が上昇し、都の推計では、都内の65歳以上の高齢者は2030年には約337万人まで増え、高齢者の3分の1の約97万人が単身世帯になると見込まれています。

区においても、高齢者の単身は増加傾向にあり、世帯統計では、いずれもが高齢者の夫婦のみで構成されている世帯や夫婦以外の世帯より単身者で構成されている世帯が多く、もしもの時のトラブルの増加が懸念されています。

区では、保証人が見つからないため、民間賃貸住宅に入居することが困難な高齢者世帯等に対し、区と協定を結んだ民間保証会社と協力し民間賃貸住宅への入居を支援しています。

しかし、保証料の一部を助成するこの制度は所得税非課税者のみが対象であり、全高齢者が対象にはなっていません。単身高齢者が困るのは万が一の身元保証や意思決定です。

保証人がおらず家を借りることができない、入院や介護施設に入れない、また死亡後の手続きは誰に頼んだらよいのかわからないという身近な問題が山積みです。単身高齢者が増加している状況に対して、区の認識をお伺いいたします。2050年には30万人を超す人が生涯結婚しないまま亡くなる見通しです。

ほぼ5人に1人が「ひとり死」を迎えることになり、後顧の憂いをなくそうと、血縁によらない埋葬や、第三者に遺品処理を委ねるケースが増える見込みです。誰しも同じ状況に置かれる可能性はあり、社会が向き合う必要があります。

同研究所の試算では、未婚で亡くなる65歳以上の人は50年で約32万人となるそうです。

20年に比べ4.1倍に増える見込みです。高齢者の総死亡数に占める割合は18.1%と3倍弱の水準となり、背景には未婚率の上昇があります。

国立社会保障・人口問題研究所によると、50歳時点での男女の未婚率は1990年で4~5%台。2020年には男性で28.3%、女性で17.8%に高まりました。

経済力や子育てへの不安、女性の社会進出、生活の利便性向上など様々な要因から「結婚して当然」の意識が薄れています。

5人に1人が「ひとり死」に至れば、社会や慣習への影響は小さくありません。身寄りなく暮らす人の異変をどう察知するか、孤立は認知症や孤独死のリスクを高めます。

同調査会社の2022年の調査では、一人暮らしの高齢男性の15%は2週間内の会話が1回以下で女性の3倍、高齢夫婦世帯の5倍であります。男性は地域との接触が少ないことが考えられます。

未婚者の終活で特に問題になるのが男性です。1990年ごろから女性よりも生涯未婚率が高くなり、現在は50歳時点で3~4人に1人が未婚となっています。

2050年ごろには単身で介護が必要な80歳前後の男性が増え、遺体を引き取る人がいないケースも増えると見込まれます。対策として重要なのは、自立して生活できなくなった後に自分がどうしたいかを考えることです。

エンディングサポート支援として、介護はどの施設や業者を利用するのか、病気で余命宣告を受けたら延命処置はするのかなど、元気なうちに決めておくべきことは多く、成年後見などを活用することが必要になります。

単身高齢者が、将来の準備ができるよう、自分のことは自分で決められるよう区としての働きかけをお聞かせください。都は、単身高齢者等の総合相談支援事業で、終活支援の総合相談窓口の設置等を行う区を財政的に支援することで、おひとり様シニアの安心を作る取り組みを始めます。

今後増加が見込まれる単身高齢者に対する支援を都の補助事業を活用するなどして充実していただきたいと思いますが、区の考えをお伺いいたします。

 

 

  答弁

 

●福祉部長

現在、区内のひとり暮らし高齢者は約5万7千人で、団塊ジュニア世代が高齢者となる令和22年には約9万人に増加すると見込まれています。

ひとり暮らし高齢者は、家族などと接する機会が少なく、日常生活の悩みごとや困りごとを抱え込みがちです。高齢者が孤立せず、住み慣れた地域で安心して暮らすためには、地域で見守り、支える体制の強化が必要です。

これまで区は、地域包括支援センターが、ひとり暮らし高齢者等実態調査の結果に基づいて、区民ボランティアとともに、ひとり暮らし高齢者等を訪問支援する事業を実施してきました。昨年度は、介護サービスや生活保護を受けておらず、健康にリスクを抱えるひとり暮らし高齢者等の約1万3千人を訪問し、介護保険の申請や地域の活動につなげました。

更に来年度からは、高齢者の支援を行うNPO等の地域活動団体と、活動意欲のある区民を結びつける生活支援コーディネーターを各センターに1名配置し、支援体制を強化します。

 

高齢者の意思決定支援について。

 区は、令和2年度から、練馬区社会福祉協議会が運営する権利擁護センターを成年後見制度の利用を促進するための中心となる役割を担う中核機関として位置づけています。
権利擁護センターは、説明会・講演会の開催、パンフレットの発行などにより、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業など高齢者の意思決定を支援する事業の周知・普及に取り組んでいます。個別相談では、制度の概要説明のほか、関係機関の紹介や申し立て手続きの支援なども行っています。
さらに、来年度からは、都の「単身高齢者等の総合相談支援事業」を活用して、身の回りの持ち物の整理や自分の葬儀のことなど、将来に不安があるひとり暮らし高齢者等が相談できるよう、権利擁護センターに終活相談窓口を設置します。
また、自分が亡くなったときや判断能力が低下したときに備えて、家族等に必要な情報を書き残しておくため、エンディングノートの記入支援を行うセミナーを終活支援を行う地域団体と連携して開催してまいります。